あらすじ
立浪和義、片岡篤史、野村・橋本・岩崎の投の3本柱……。1987年、甲子園を春夏連覇したPL学園は「史上最強」と称されていた。チームの正捕手を務めた伊藤敬司もまた、中心メンバーとして歓喜の輪の中にいた。しかしいま、伊藤は難病ALSとの戦いを強いられている。過ぎ去りし青春と友情の日々、彼を励まし続ける仲間たちの物語
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Posted by ブクログ
神様は僕に勉強のために難病を与えた。でもそれだけだと可哀想なので野球でいい思いをさせてもらった、、って。
この箇所を、泣きながら読んだ(;ᵕ;)
PL学園春夏連覇をキャッチャーとして経験。大学野球、社会人野球、仕事、結婚、娘の誕生。
野球のケガや 厳しい父親との関わりなどもありつつも、
華々しい成果もあり、着実に歩み、順調な人生に思われた人生。
なんとなく体調の悪さが続いて、
いよいよおかしいぞ、と病院にかかる。
再検査するなどして、難病(ALS)と診断。
「なぜ俺が難病、、?あんなに野球も出来るほどの強いフィジカルなのに??」
という絶望や、葛藤、肉体の痛み。思い通りにならない苛立ち。
ペンを握ることもできなくなり、家族との会話も、この本の執筆も 文字ボードで1文字ずつ相手に伝えるという手間のかかる作業。
動かない身体、寝たきりで 核家族での自宅介護(吸引などもあるため24時間体制)を受ける中での 妻、娘、 代わる代わる訪問してくれる親、兄弟、義両親への負担。生じる摩擦や問題。申し訳なさや負い目。続く苦悩。
読売巨人のスカウトであり実父である伊藤菊雄氏との確執。
福祉があまり充実してなくてサポートを受けづらい現実への落胆も。
そんな中で、PL時代の同級生が自宅を訪ねてきてくれることの喜びなど。
(伊藤さんの同級生は四人もプロにいっている(PL史上最多の学年なのかな?高卒プロ・大卒プロ含む)。立浪和義さん、片岡篤史さん、野村弘樹さん、橋本清さん。一学年下には宮本慎也さん(大卒社会人経由プロ)。)
ただただ、この動けないまま生きることしかできないという諦観。でも死ぬわけにいかん。だから生きる(しかない)という希望。
長引く闘病生活の心境が綴られている。
辛いこと・弱さの受け入れ・楽しかった思い出、プラスなこともマイナスなことも、相反する色んなことが自分の中に両立・乱立している。抱えながら今日(執筆当時)もベッドの中で毎日生きている。
本人の葛藤がスラスラと分かりやすく読みやすく言語化され、記されているが、文字盤で意思疎通しながら代筆者(ライター)が居ての執筆。このライターさんの力も絶大なものなのだと思う。
キャッチャー経験者である伊藤氏の 思考がこの面を見たり、あの面を見たり。妻の言葉から、様子から、推察して、妻の苦労を想像したり、じゃあ自分はこうしようと判断したり、色んな可能性というか、
事象を内包して、 在る、というのがキャッチャーらしいなと個人的には思ったり。
キャッチャーらしい、よく考える、というのも、難病、闘病という環境に置かれたら 嫌でも人はしうなるものなのか。
同じALS患者さん(女性)がインタビューで話していた一文が紹介されている。
内容は↓
「他の家族ではなく、私がこの病気でよかった」と。
それ聞いて著者・伊藤敬司氏も 自分もそう思うと。
家族にこの苦しみを味わってほしくない、自分で良かったと。
本の最後のほうにあるのは、関わって助けてくれた人たちへ、一人ずつに宛てた感謝の言葉。
KKコンビがPL学園在学中にドラフトにかかる場面についても。
巨人に入るつもりの清原さん(3年)。でもドラフト当日(当時は昼にやってたっぽい)蓋をあけると巨人に行くのは桑田さん(3年)。
そのことを知るやいなや、怒り心頭に達した清原さんが「どないなっとんねん!!!」と
1年生である著者の伊藤さん(巨人スカウト伊藤菊雄氏の息子なので)が授業を受けている教室にやってきたんだという。
怒鳴り声に縮み上がる著者、、、。
これは、とんだとばっちりだ(泣)
著者には関係ないよ〜〜。
チームメイト(後のプロ5人含む当時のPL学生)との練習や寮のエピソードなどもあり、面白かった。
Posted by ブクログ
PL学園最強世代と言われる春夏連覇を達成した立浪・野村・片岡・橋本の4人のプロ野球選手を輩出した学年。そのレギュラーキャッチャーだった伊藤氏は卒業してから難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を発症し現在も闘病中です。野球選手として活躍し社会人でも充実していた人生が一変して、常に死を意識しながらの闘病生活を送ることになります。PL学園時代の野球部の話から、社会人としての日々、そして自分の体の変調を自覚してからの病気の進行と体の衰弱の様子。介護する家族の気持ちと、家族との伊藤氏自身との思いなど非常に考えさせられる内容の本でした。以下抜粋です「闘病生活は、どんなに綺麗事を並べられても、また、どんなに周囲の人に良くしてもらっても、感謝は大いにするが、心が本当に快晴になることはまずない」、介護をしてくれる家族に対して「自分のために誰かが大変な思いをしているということを、分かりすぎてしまうと、今度は自分が生きにくくなってしまう。それゆえ、わからないようにしている。しかし、それをずるいと責めるのは酷だ」、一人娘さんへ「かわいがってあげられなくてごめんね。そして、大好きなママまで獲ってしまってごめんね。それでもパパは、いつもあなたのことを思っています。」など。取材当時は会話もできず、文字盤を使っての意思疎通でここまで克明に伊藤氏の心境を追った著者の矢崎氏の取材力と筆力に脱帽です。ALSでなくとも介護はいろんな形で多くの人に関わる問題ですから、多くの人に読んでもらいたいと感じました。