あらすじ
武蔵野の雑木林でデート中の男女が殺人事件に遭遇。瀕死の被害者は「テン」と呟いて息を引き取った。意味不明の「テン」とは何を指すのか。デート中、事件を直接目撃した田島は、新聞記者らしい関心から周辺を洗う。「テン」は天使と分かったが、事件の背後には予想もしない暗闇が広がっていた。第11回江戸川乱歩賞受賞作。
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薬害
今日久しぶりに本のページを開きました、先日テレビでサリドマイドで奇形児として産まれた人達が50歳に
なり其々に色んな道を歩んでいる様子が描かれていました、丁度私達が出産したころです。今73歳の私は涙が流れました、普通の子を育てるのも大変な時自分の飲んだ睡眠薬のせいで奇形児として産んでしまった負い目を子供とシッカリ話し合う事なく母は死んで行きました、白い眼で見る故郷を棄て50年たって帰って見たいと言われた人、故郷の海を眺め待って居てくれてありがとう!と言っていられたのが印象的です。西村京太郎さんが好きで良く読ませて貰いますがこんな分野の事も書かれるんだと新たな思いをしました。46年前の現実をもっと確り見つめるべきですね。
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読みやすい
推理小説で、心情をくどくど描写せず、淡々と起ったことを書いていく。無駄な橋がなく、読みやすい。まづ、そこに好感を持った。
今までどうでもいいことばかりに拘泥する推理小説を読んできて、うんざりしたといふのもある。
解説の通り、本格派で始まり、社会派で終結するが、それも嫌味ではなかった。
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主人公田島は、交際相手の昌子とのデートで、南多摩方面にむかった。しかし、そのデート中、瀕死状態の男に遭遇して、間もなく息を引き取った。その際、男は「テン」という言葉を遺した。田島は「テン」と呼ばれる正体を探るために、警察と協力して謎に迫る。のちの調査で、テン=天使だと判明したが、ではその天使とは何者なのかを、読者は主人公とともに真実に迫る。
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1965年発表、西村京太郎作の長編第2作。素人探偵、警察捜査も丁寧に描かれており、本格的なトリック、動機の特殊性など社会派ミステリという枠組みに収まらない傑作。一方で、雪国へと捜査へ赴く叙景描写も素晴らしく、ここには作者の代名詞でもあるトラベルミステリの萌芽もあるように思える。
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『このミステリーがひどい!』で小谷野さんが絶賛していたので読んでみた本。なるほど。
本格推理小説としてはあらが目立つし、謎の解決のされ方もいまいち盛り上がりに欠けるんだけど、「社会派」としては出色の出来。ラストあたり、主人公が「真実」に気付いてからの展開は圧巻である。よくこの時代にここまで書けたなあ。
西村京太郎、「十津川警部の人」と侮ってはいけませぬ。初期には名作を何本もものしているのだ。
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武蔵野の雑木林でデート中に殺人事件に遭遇した田島は、新聞記者の関心から周辺の調査を始める。
瀕死の被害者は、息を引き取る前に「テン」と呟いた。どうやら「テン」は天使の事のようだと気が付くも、調査の先には予想もしない暗闇が広がっていた……。
第11回江戸川乱歩賞を受賞した、西村京太郎さんのミステリー小説。
西村京太郎さんというとトラベルミステリのイメージが強く、著作を読んだのは初めてだったのですが、予想外に読みやすくてびっくりしました。
初出は私が生まれる前の話ですが、書き方などもそんなに古い感じもなく、すらすら読めます。ジェンダー観や、個人情報保護の緩さ、列車の中でタバコが吸えるなど所々時代を感じる描写もありますが、本当にそのくらい。
ストーリー的には、事件自体より、その背景を描きたかったのかなという感じ。いわゆる社会派ミステリです。
当事者の現状を大衆に伝えたいけれど、タブーに触れたい願望とか、好奇心とか、結局は大衆の娯楽として消費されてしまう危険性を考えると、人の目から隠して……というのも理解できる。一方で、田島の言い分も綺麗事だけど正論ではある。
今でこそ若干ましにはなっているのかもしれませんが、それでも人間の本質は実は変わらず、感情で動くものだと考えると現代にも通じる闇を感じます。
読み終わってからプロローグを読み返すとさらに悲しい。
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「西村京太郎」の長篇ミステリ作品『新装版 天使の傷痕(しょうこん)(『事件の核心』を改題)』を読みました。
『鉄ミス倶楽部 東海道新幹線50』に収録されていた短篇『最終ひかり号の女』を読んで、「西村京太郎」の作品を読みたくなりました。
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武蔵野の雑木林でデート中の男女が殺人事件に遭遇。
瀕死の被害者は「テン」と呟いて息を引き取った。
意味不明の「テン」とは何を指すのか。
デート中、事件を直接目撃した「田島」は、新聞記者らしい関心から周辺を洗う。
「テン」は天使と分かったが、事件の背後には予想もしない暗闇が広がっていた。
第11回「江戸川乱歩賞」受賞作。
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1965年(昭和40年)に第11回「江戸川乱歩賞」を受賞した作品です。
■プロローグ
■第一章 陽光の下で
■第二章 悪戯書き
■第三章 エンゼル・片岡
■第四章 バー・天使
■第五章 筆跡鑑定
■第六章 天使の影
■第七章 フィルム
■第八章 疑惑の中で
■第九章 北の風景
■第十章 案山子と海苔巻
■第十一章 A.B.C.
■第十二章 事件の核心
■エピローグ
■解説 仁木悦子
武蔵野の雑木林でデート中の男女が殺人事件に遭遇した… 瀕死の被害者は「テン」とつぶやいて息をひきとった、、、
意味不明の「テン」とは何を指すのか… デート中、直接事件を目撃した「田島伸治」は新聞記者らしい関心から周辺を洗う。
「テン」とは天使と分ったが、事件の背景には意外な事実が隠れていた……。
殺害に使われたトリックも熊を捕獲するための罠だと思えば、犯人の生い立ちとの整合が取れるし、事件と無関係と思われた案山子が盗まれた事件も伏線として面白いし、犯罪の動機や事件の背景となった社会問題については現代にも通ずるものがあるし… と、読みやすい文体ながら、読み応えのある内容で愉しめましたね、、、
そして、読み進めながら徐々に犯人が特定されていく展開だったので、主人公の気持ちにシンクロしやすかったのも良かった… 切ない展開なんですけどねー 350ページ程度のボリュームでしたが、一気に読み終えてしまいました。
単なる責任者への糾弾や差別への批判ではなく、被害者たち自身のこの先の生き方に対する問題提起も含んでいるエンディングも印象的でしたね… この流れで、次も「西村京太郎」の作品を読んでみようと思います。
以下、主な登場人物です。
「田島伸治」
主人公。新聞記者。
「山崎昌子」
田島の恋人。
「久松実」
俗にトップ屋と呼ばれる、週刊誌にゴシップ記事を売り込むフリーの雑誌記者。
田島と昌子のデート中、負傷した姿で不意に現れ、死亡する。
「片岡有木子(エンゼル片岡)」
久松が写真を持っていたストリッパー。
エンゼル片岡は芸名。
「絹川文代」
久松が通っていたバー「エンゼル」のママ。
「田熊かね」
久松のアパートの管理人。
「中村警部補」
久松の事件を捜査する警察官。
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本作も追悼。で、こちらも☆1つ上乗せ。序盤、何とご都合主義な展開だ…と、軽く眩暈がしたんだけど、まあ案の定というか、それが偶然な訳はなかった。でも翻ってその不自然さが、事件の真相を示してしまっているという、どちらにしても満足度には繋がらない展開。当時の時代背景を抜きに、本作の本質を理解することは難しいのかもしれないし、そういう意味ではトリックとかは二の次なのかもだけど、そちらも中途半端。ってか、全然偲んでなくてすみません。ちなみに本作選択は、”このミステリがひどい”で賞賛されていたから。これを賞賛か~…。