【感想・ネタバレ】教養としての 世界史の学び方のレビュー

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Posted by ブクログ

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タイトルが流行りをおったようなものだったのでカジュアルな内容かと思いきや、大学学部導入レベルぐらいの内容の濃さと専門性に圧倒された。

理系の自分にとっては、そもそも日本で言うところの文学部系の学問は「自分が学んだ"学問"と同じものなのか」という疑問があったのだが、最初のほうでしっかりその疑問をといてくれており、歴史学とは何かということをちゃんと解説してくれている。

その後はヨーロッパを中心としたこれまでの歴史学を批判(というか乗り越える)という共通の問題意識から、様々なトピックが提供されている。新書でのお手軽の歴史本とは全く違うので、全ての人が咀嚼可能な内容ではないけど、しっかり勉強したい方にはおすすめ。参考文献も充実している。

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2019年08月01日

Posted by ブクログ

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会社の研修で推薦図書になっていた一冊。

印象に残ったところ。
・経験というのは個人の体験でしかなく自ずとその範囲も規模も限定されてしまうが、歴史は少なくとも過去5千年にわたる文明史のあらゆる人々の経験の集大成なので、個人の経験より遥かに多くのことを学ぶことができる(p.14)
・「歴史に学ぶ」ことができないのは「人は見たいものを見るのであって現実そのものを直視する人は少ない」から。現実から「意味」を見いだすことができていない(p.17)
・「四大文明」という歴史用語を使うのは日本だけ。四大文明も五賢帝も世界史に不慣れだった日本人が世界史を理解し整理する段階で生み出した一つの分類方法(p.57)
・情報収集力が国家の安全保障を大きく左右するものとなっている。ある意味、物理的な軍備より、情報収集力のほうが重要な時代(p.82)
・マハトマ・ガンジーの言葉。Live as if you were to die tomorrow. Learn as if you were to live forever. (明日死ぬと思って生きなさい。永遠に生きると思って学びなさい)(p.118)
・「過去の事例を見ていくと民族の移動によって言語や文化、そして宗教が入り混じっていったとき、どのようなことが起きるか、ある程度の想像がつきます。ですから、今後、イスラム教がヨーロッパの中に入っていったときに、ヨーロッパの中でイスラム教国家が生まれてくる可能性もあるのです。」(p.184)
・新渡戸稲造『武士道』。宗教でないとしたら、何がわれわれの礼節の背景にあるのか。そう考えた結果たどり着いた答えが『武士道』だった(p.192)
・ポリュビオス『歴史』の政体循環論。ギリシアは独裁制、貴族政、民主政と色々な勢力が権力を持つことを繰り返してきたため常に内紛状態になりやすく大きな国家として成長することができなかった。それに対しローマは独裁制、貴族政、民主政というギリシアが一つずつ行なってきた三つの生体をバランスよく組み込んだ政治(共和制)を行なったので国家を大きく成長させることができた(p.239)
・どんな時代にも立派な人物はいるが繁栄とともにそうした人の絶対数が少なくなっていき社会全体のモラルが低下していく。興味深いのは、モラルが低下していくとともに人々が優しくなっていく傾向がみられること。(中略)退廃に向かう社会では人は自分にも他人にも優しくなる(p.298)

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2020年01月05日

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