あらすじ
2018年、ファストファッションの象徴とも言えるH&M銀座店が10年の歴史に幕を下ろした。
「次の流通革新」はなにか。
メルカリ、エアークローゼット、ZOZO……
売上を伸ばすために、進化をとげるアパレル業界に迫る!
◆2018年はファストファッションブームから10年目の節目。世界のファッション流通市場はこれまで10年周期で流通革命を繰り替えし、消費市場を牽引してきた。新サービスの登場で、大手百貨店をはじめ、アパレル産業はますます変化を求められている。本書では、これまでのファッション流通市場の構造や消費の課題を明らかにしながら、勝ち組デジタル(ファッションテック)企業大手が取り組むソリューションや次の一手、その先にあるビジョンとゴール(未来予測)について解説する。
◆アパレルの未来は、デジタル抜きでは語れない。メルカリの登場で、消費者は「売ることを前提に」モノを買うようになった。SNSに投稿するためだけに洋服を買い、一度だけ着用した後にフリマで売り出す「ワンショットファッション」。少し高い買い物や、似合うか分からないネット通販の服も、売ることを前提に考えると購入のハードルが下がる。ファッション性の高い衣料品や有名ブランドの商品などを借りるシェアリングサービスも人気だ。いつもおしゃれでいたい! と思いながらも、仕事や家事で余裕がない30代の女性を中心に人気があるのは、「エアークローゼット」。15万人を超える会員を獲得している。プロのスタイリストが選んだ服を、毎月9800円、交換無制限でレンタルできる。本書では、アパレル業界をとりまく最新のデジタル事情を紹介する。
◆著者はファッション流通コンサルタントの齋藤孝浩氏。日経ビジネスや日経MJでも、アパレル分野で頻繁に取材を受けているほか、繊研新聞や業界紙への寄稿も多い。近年は明治大学、青山学院大学等でファッションビジネスに関する講義も受け持っている。第三者の立場から、客観的かつ切れ味鋭く各社の強み・弱みを解説することに定評がある。著書に、2014年11月に刊行された『ユニクロ対ZARA』。
【本書で登場する企業やサービス】
エアークローゼット/メルカリ/H&M/アマゾン/ルルレモン/プライマーク/NIKE/ASOS/Missguided/boohoo/ZARA/next/ミニクラ/ゾゾタウン/センシークローゼット/XZ/リネット/ユニクロ など
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
本書よりも後にコロナによりアパレルは大きな影響を受けていますが、本書で紹介されている海外のブランドはある種対応力のあるビジネスモデルを構築しており、その強みが理解できました。
Posted by ブクログ
日本のアパレル業界は10年に一度程度のサイクル
で、大きな変革が発生していると言われます。
古くはDCブランドやファストファッションの台頭
グローバル企業の進出などです。
そして現在はネットショップの隆盛といったとこ
ろでしょうか。
その間、主役はコロコロ入れ変わっていますが、
この変化はまだまだこれからも続くと著者は分析
します。
過去の変遷から次世代の主役へと共通するのは、
「いかに消費者の購買時のストレスを軽減させる
か」です。
確かに服を買うのって結構面倒ですよね。
店舗へ行って、選んで、試着して、家に持って
帰るという一連の流れが一回で成立すればまだ
良い方ですね。
好みの品が無かったり、サイズが合わなかったり
在庫が無かったりすると無駄足になります。
これらのストレスを軽減したのが現代の勝ち組
企業です。納得しますよね。
さらに次世代は、さらなる消費者のストレスを
無くすだろうと予測します。
例えば手持ちの服を管理して、似たような服の
カブりを無くすなどのサービスと一緒に服を売
る企業の出現などです。
アパレル業界だけではないです。消費者が「モノ
を買う」時の悩み、ストレスをどれだけ軽減でき
るかが、次世代のビジネスのキーポイントになり
ます。
そのヒントが満載の一冊です。
Posted by ブクログ
「アパレルのこの先10年の流れを知る」をテーマに読んでみた。
【10年後のファッション消費の未来】
・パーソナライズ
・多品種少量生産
・新品を買った人がその服を手放す時、第三者に価値を伝えやすいブランドが今後生き残っていく時代が来る
【メモ】
・コミュニティ作り(コト実践)で購買に繋げる
・クリック&コレクトのお渡し時の差別化 VIP待遇
・店舗受け取りサービスのメリットは安さ+時短+利便性
・中古のクオリティが上がっている
・中古市場が活性化したことでクリーニング産業も活性化(良い状態だと高く売れる)
手放すことを前提とした買い物(かつ、手放すときに高く売れるもの)
・オンラインで欲しい服を決め、オフラインで試着する(最終の意思決定をする場所として使う)
・オフプライスストアのシェア率15%が物語る消費者の購買欲求
Posted by ブクログ
「デジタル資本主義」で分析されていた生産者余剰が成長を作り出す世界から消費者余剰が経済を回す時代へのシフトの実例集でした。20代の同僚の女性からサブスクリプションで洋服を届けてもらっている話を聞いて、そういうサービスが当たり前のことになっているのだ、としみじみしていた直後だったので、その変化を引き起こす産業構造の変化を本書に丁寧に説明してもらった気分です。アパレル・サバイバルという書名ですが、この潮流は「腐らない商品」すべてに当てはまるはずです。いや、同僚の女性は服だけじゃなく、花も定額制で届けてもらっているという話をしていたので「腐る商品」も対象か…。「流通革命が起こる舞台は、これまでのような企業が商品をつくって届ける、顧客との接点である店舗の店頭ではなく、顧客のファッションスタイル環境全般に及ぶ」(P207)という指摘にアンダーラインを引きました。顧客のクローゼットの最適化という視点を持たなければ生き残れない時代、これもう始まっています。