【感想・ネタバレ】君と漕ぐ―ながとろ高校カヌー部―(新潮文庫nex)のレビュー

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Posted by ブクログ

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好きだ―青春もの!!さわやか。水しぶき、青空、川の流れ、なびく髪、すべてが美しい(と想像する)。女子だけ、部活だけってのがまたいいなぁ。競技のカヌーがこんなに難しいとは。長瀞のラフティングを、細長い船に変えて・・・なんて想像して読んでいったけれど、当然競技となれば恐ろしく過酷そう。カヌーに乗り込むことも、スタートラインにとどまることも難しいし、500メートル全速力がどんなに苦しいか、武田さんの表現の中でこの競技を知って、魅力的にも感じました。良く知らないからこそ、美しくかっこいい姿が思い浮かびました。
部活動に対する思いはひとそれぞれで、どれが正しいわけでもなく、誰が悪いわけでもない。しかし、それぞれの考えが影響し合うのもまた確かで、4者4様のの在り方に、共感したり、違うなと思ったりしながら、応援するような気持ちで読み進めました。終わりも爽やかです。細かいことは説明いらない!っていう気持ちよさがあります。しかし、この本は序章。4人の部活動生活はまだ始まったばかり。彼女たちの戦いを見守っていきたいと思います。

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2020年10月15日

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天才肌の1年生が入ってきて、努力型の先輩とのコラボでミラクルが起こるような青春部活物としては、『はねバド!』や『風が強く吹いている』とか、天才肌ではないけれど周りへの影響力がある1年生のパターンでは『響け!ユーフォニアム』や『弱虫ペダル』『僕のヒーローアカデミア』なんかを連想。「プロローグ」によってその他の未来の可能性が狭まっちゃうような気がするし、ない方がシリーズ物として長く続けられそうな気もするけれど、あえて変化球なのかな。プールで一緒に練習しているときの千帆と舞奈とか、希衣と千帆が好きなものを店で注文して取り替えっこする場面とか、繊細な心の動きがいかにも女の子っぽいし、女性作家ならではという感じ。初心者であるがゆえに、努力はしているけれど、力不足をじれったく感じる舞奈は『ユーフォ』の葉月に通じる。

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2019年04月28日

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小学生からのペアが存在する鶴見希衣と今まで一人でやっていた湧別恵梨香が、「"君と"漕ぐ」ことを選択することによって、一方は今までのペア(親友)という呪縛からの解放、もう一方はペアで(他人と)組むことを通して自己を外に向けて解放するお話。
読み始めは初心者の黒部舞奈のお話かと思っていたが、上記の通りのお話であった。
同じ時間を過ごしていても、知ることが増えるだけで、分かりあえるわけではない(pp.246-247)のは、まぁそうだよなぁと思った。
カヌーに対しての基礎的な知識がないため、イメージが少々掴みにくいところはあったが、大会当日、レース前の緊張感は文面を通して伝わってきた。文字を読み進めるごとに、開始の時が近づき、緊張感がピークに達した選手の鼓動の高鳴りを体感した。
個人的にはカヌーの知識がなくても、レース前の緊張感を作中の人物と共有できた部分の評価が高く、ここだけで読んだ価値があったと感じた。
武田綾乃先生の著作では『響け!ユーフォニアム』以外では初めての作品でしたが、武田先生らしい作品で十分楽しめました。
体育座りを「三角座り」と表記するあたり、ユーフォを書いた武田先生らしいと思いました。

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2019年04月06日

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ながとろ高校入学前日に出会った黒部舞奈と湧別恵梨香。二人が入部したカヌー(カヌースプリント)部の先輩で、小学校からオリンピックを目指してカヌーを続けていた鶴見希衣と天神千帆。この4人の少女達の間に生じる人間関係を追う形で話は展開する。

初対面でも興味を持った人には無遠慮に近付いていく天真爛漫な舞奈(カヌー初心者)。小6での不登校を機にカヌーを始め、人と交わらず大会にも出ずたった一人で漕いできた恵梨香。そして、小学生時代からずっとペアを組んできた千帆と希衣。「千帆と一緒に上を目指す」という想いを抱く希衣と、そんな希衣の想いを「重荷」と感じる千帆のすれ違い。そこに、過去はベールに包まれているが圧倒的な実力を持つ恵梨香が入部することで「女の子同士」特有の距離感が、少女小説らしい心情描写の丁寧さ、関係性の変化を追う丹念さで描かれている。

恵梨香に対し最初はどこか疎ましさを感じていた希衣が、大会前日の出来事がきっかけでその夜、自分が向き合うべき者に向き合うことになる。この時に「君と漕ぐ」(恵梨香とのペアで上を目指す)が確信となり、大会当日を迎えるという展開である。物語の方はインターハイと関東大会の予選を兼ねた大会で終わるが、小説の冒頭は、恵梨香が高校3年生の時に東京オリンピックに出場する場面が描かれている。続編にも期待したい。

4人の人間関係だけでなく、カヌースプリントという自然の中で行うスポーツということもあって、練習場所周囲の美しい自然風景の描写が見事である。カヌースプリントのルールや技術的な面も、関係者からの聞き取りが綿密・正確に行われており、初心者にとっても大変参考になる内容である。

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2019年03月09日

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