あらすじ
炎上弁護士──人はいつからか彼をそう呼ぶ。
事の始まりは、ネットで誹謗中傷を受けていた依頼人のために、書き込みの削除請求をしたことだった。
ネット上で大量に書き込まれる誹謗中傷。
拡散される根も葉もない噂、間違いだらけの情報。
自宅に届いた「殺害予告」。
なりすましによる「爆破予告」。
個人情報の漏洩。
エスカレートする悪質な嫌がらせ……。
炎上はなぜ起こったのか。
真の加害者は誰なのか。
ネット被害に人生を狂わされても、まだなお立ち向かうのはなぜか。
本書で初めてすべてを語る。
法律の力を信じ、健全なネット社会の実現に向けて。
【本書の目次】
プロローグ 100万回の殺害予告が来るまで──誕生日に突然、見知らぬ人から郵便物が届いた
第1章 なぜ、僕が炎上弁護士になってしまったのか
第2章 弁護士を目指したきっかけは、弟の死
第3章 落ちこぼれが弁護士になるまでの茨の道
第4章 弁護士になってからも茨の道は続いた
第5章 ネット社会のゆがみ、人の心の闇を思い知らされた
第6章 100万回の殺害予告を受けても、僕は弁護士を辞めない
エピローグ すべては人権のために
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
中身もそんなに濃くはないのですぐに読めてしまうが、結局なぜこの人がここまでの標的になったのかはそこまではっきりしなかった。「弁護士の肩書に権威はあっても権力は無いから」との理由には含蓄はあったが。
Posted by ブクログ
弁護士である唐澤貴洋弁さんの著書。
2013年に2ちゃんねるで行われた高校生に対する誹謗中傷の弁護をするために、サイト上で必要な申請を行なったことに端を発して自身が大炎上してしまう。
その経験から、ネットを利用する人への警鐘と危険性の啓蒙、法律の不完全さの指摘、これからのインターネットについてのメッセージを発信されています。
読んでいくと、SNSでたまにみかける、話題になるような燃え方をしてそれが止まることを知らず
燃え尽くしてしまうような激しい迷惑行為をされ続けていることがわかる。
自宅の特定、鍵穴を塞がれる、親の写真も撮られて公開される、引っ越しを余儀なくされる。酷い内容でした。自分がこのようなことをされたら耐えられないほど恐ろしいと思う。
正しいことを言っている。でもそれが認められず、どれだけやるせない気持ちになられたのだろうと想像しては恐ろしくなる。
ただしいことが正解とは限らないということが世の中にはありますが、唐澤貴洋弁護士はそれなのだと感じました。どれだけ正しいことを言っても、政治力、権力、その他のしかけがなければ声は届かない。同情しながらも、炎上する火種になるような言動をされたのだろうなとぼんやり思った。正しいことを言っていても、餌なったら終わりだと思う。
ラスト、正義感に溢れた正しい文章が並ぶ。
本当に成し遂げたいならば、自分の正義を内に秘めて結果の出せるやり方を探った方が良いような気がしました。折角正しいことを言っていても、自分に酔っているところがあるのが火種の原因に思えた。
プロバイダ責任法について、インターネット犯罪の犯人を特定することの難しさを垣間見ることが出来たのは勉強になりました。
ツールはただの道具で、インターネットでなくてもどこでも起こり得ることが かんたんに出来てしまうことが問題。それが個人個人で止められないのであればやはりルールが必要。表現の自由との線引きはなかなか難しいと思いました。芸術を押し込めない形で実現できる日を望みます。
装丁はジリジリと燃えるような遊び紙が印象的。カバーを外すと灰色で、いつまでも消えない炭の中に赤く燃える火のようです。イメージにあっていて良かった