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Posted by ブクログ
テキサス州の人口が200人にも足りないような田舎町で起こった2つの殺人事件に挑む黒人テキサスレンジャーの話。
ミステリーであり謎解き部分もしっかり作られているのだが、主題はアメリカ南部に今も深く根付く黒人差別問題と、恋愛の物語である。そのほの暗さや深さは我々日本人には計り知れないところもあるが、この本を読めばその一端を垣間見てしまう。
自分より劣っていたり、大勢とは違う個性や特質をもっていたり、立場が弱かったり、出身や民族や文化が違ったり、そういう人を差別する感情ってのは、本能に基づく根深いところにある人間のどうしようもない難点なのかもしれない。
でもどうしようもないからと、ほったらかしにするのでなく、他人を尊重し、違う文化や価値観を受け入れ、弱い立場の人であってもきちんと生活する事を受け入れる。そういう風であることを理性や知性で行動する、一歩ずつでもそこに近づいていくことが今後の人間のあるべき姿なんじゃないだろうか?
大手の有名書店ですら、店頭のかなり目立つところに「嫌韓何某」などと書かれた本などを並べていること、そしてそれらの風潮に流されてた自分を思い出すといたたまれなくなる。
小説、それも自分のいる場所から少し離れたところが舞台でありながら、非常に考えさせられる小説であった。
勿論ミステリーとしても上出来で読み応えのある作品である。
またちょっと余談になるかもなのだが、背景として使われる音楽の見事な扱いよう、ブルーズとカントリーをここまで上手く使い分け風景としてにじませる凄さ。例えば民謡と演歌と歌謡曲をここまで書き分けられる小説があればいいのになぁ…とか思ってしまう。
Posted by ブクログ
アメリカの人種差別が描かれているけれどそれだけではなく愛とか憎しみ、家族、住む場所とさまざまなことが重なり起きた事件。絶えることなく繰り返されてきた黒人に対する差別。そこから生まれる憎しみ、怒りの連鎖。そして殺人。人種問題だけではなくて政治、力、財産、土地とたくさんのものが絡んでくる。こういうものだからと諦めたり正そうとしたり。正しいこととは何かと考え向き合い続ける男の物語でもある。
Posted by ブクログ
テキサスの片田舎、肌の色を無視せずにはいられない文化的背景がある町で、黒人の男、白人の女が相次いで殺される。
強盗による襲撃で夫の命を奪われた町のシンボル的軽食堂の女主人ジェニーヴァをルーツにもつれ絡み合う人間模様。
プチアル中の誇り高き黒人テキサスレンジャーダレンが、ともするとヘイトクライムに分類されかねない事件の真相を探る過程で見えてくるきな臭いサイドストーリー。
物語始めのトラブルの結末と、作品全体で主張している黒人への不当な扱いへの訴え、正義の追求との対比がなんとも心憎い結び。
Posted by ブクログ
主人公が黒人(カラード)のテキサスレンジャーというだけで既に異色では?
南部の田舎町で起きた連続の殺人事件に巻き込まれる、事件の謎を丹念に捜査していく。
話しが全体的に地味だけど、比喩や暗喩に富んだ文章が抜群に上手いうえに、キャラの設定も見事。
そのせいか、さほどのストーリーでもないのにラストまで楽しめだ。
Posted by ブクログ
面白かった。が、まだ尚進行している人種偏見への認識を共有していないので感じ方はどうなのか疑問だが。
文中の彼らは大きな家族。黒人を憎んでいることが強迫観念となり逆に縛られている様子は印象に残る。
海外のミステリーが好きなせいもあるが、最近読んだ本も映画も人種間、男女の偏見、差別が基になる話ばっかりやなー。