【感想・ネタバレ】アガサ・クリスティーの大英帝国 ──名作ミステリと「観光」の時代のレビュー

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Posted by ブクログ


ミステリ小説になぜ「観光」が出てくるのか。
著者の考えは、実際の(もしくは仮の)場所を設定することで、読者に内容の広がりを与え、興味を持たせるため。そしてもう一つは、これは結果論ではあるが、観光地が「聖地」になるため。


ミステリ作品の中で、こうした場所は多く取り上げられるが、例えばシャーロックホームズシリーズでは、観光地、特に田舎は、都会と比べて劣っていて、犯罪の温床となっていると捉えている、と著者は述べている。

しかしその一方で、アガサ・クリスティーの描く、観光地はそれとは全く異なる描かれ方がされている。

ミステリと観光にはどのような関係性があるのか。

アガサ・クリスティーの作品を、年代別に分類して考察していく様子はなかなか面白く、(あくまで著者の推測ではあるものの)歴史的背景と、それに影響される作品という捉え方は、今までになかった。

読書の新しい視座を得た気がした。

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2022年10月02日

Posted by ブクログ

アガサ・クリスティーの作品を3つの大きなグループに分類しつつ、時系列に作品を解説する書。3つのグループとは「観光ミステリ」「田園ミステリ」そして「都市ミステリ」。

僕自身は小学校の頃親から勧められた「そして誰もいなくなった」を読んだ・・・のかどうか記憶があいまいという程度、ほぼ読んだことがないと言っていい。クリスティーが亡くなったという報道はなんとなく覚えていて、その時は「生きてる人だったのか」と思った。

その程度なので、いわば入門書的に良かった。映画リメイクで新訳が出るようなので「オリエント急行」も読んでみようかと思っている(さすがにトリックは知っています)。

ふたつの大戦を挟んだクリスティーの作品の変遷、またヨーロッパにおける「旅」の主体や内容の変化(一言で言うと大衆化)の対応がおもしろかった。
「観光地が発展するには4つのs=sea, sand, san, sex が必要」とのこと。
なるほど。

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2018年01月18日

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