あらすじ
歴史的転換点「医療4.0」到来! 未来を描く30人の医師による、2030年への展望
2030年の医療現場は、第4次産業革命で登場する人工知能(AI)やIoTなどの技術革新により、大きく変わります。このテクノロジーが医療現場に導入されると、「医療4.0」が到来し、多角化、個別化、主体化が進んでいきます。テクノロジーを適切に活用し、医療現場の課題解決に結びつけるにはどうしたらよいか。未来を見据える医師30人の提案とともに、医療の未来を展望します。
<主な内容>
第1章 日本の医療における変化と課題 … 2030年の医療を予測する材料として、「人口動態」を中心に増え続ける社会保障費や医療提供の方向性について整理します。今後、急激な人口減少を経験し、日本各地で地域差を持って高齢化が進む日本で、現在予想されている医療の姿をあらためてまとめます。
第2章 医療とテクノロジーの現状と展望 … 第4次産業革命とは、IoT、AI、ビッグデータ、ロボティクスなどの新技術を活用することで、産業構造だけでなく、生活や人との関わり方まで含めた事柄が根本的に変わる大改革です。VR(仮想現実)・AR(拡張現実)・MR(複合現実)、次世代移動通信5G、ブロックチェーンなどの新たな技術革新も合わせて、医療分野でのテクノロジー活用を俯瞰し、未来予測を提示します。
第3章 未来を描く医師30人の展望 … 医療現場の課題から、テクノロジーを用いた解決に取り組む医師30人とのインタビュー。第4次産業革命のテクノロジーが医療現場を変える可能性と、それぞれが描く2030年の医療の姿とは。
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Posted by ブクログ
日本の医療を取り巻くマクロ環境の変化に対して、イノベータの方々の所見・打ち手の提案が集約されています。
少子高齢化による医療・介護を中心としたヘルスケア領域の激しい変化はAIのシンギュラリティなんかよりももっと現実的ですぐ近い将来にある課題なんですよね。
医療の個別化、主体化というお話が出てきますが、この辺の領域を保険制度に依存しない領域まで広げていくことが近未来のヘルスケアのあるべき姿だよなあという感想です。
Posted by ブクログ
1次情報ではないが、現場で働く医師のインタビューが掲載されており大変参考になった。同じサービスも視点が変われば見え方も変わってくるので、医療機関、患者や患者家族、行政、健康関連サービス会社、保険会社等、全ての立場でwin-winを達成できるとよいのだが。
Posted by ブクログ
日本の医療体制が置かれている現状、勃興しているテクノロジーがそれらに対し、どのような解決となり得るのか。
本書は、医師の立場から、現在の医療環境に存在する問題を解決するべく、事業を果敢にも立ち上げている医師たちが多く登場する。
とかく「4.0」と命名されているように、テクノロジーばかりに目が行きそうであるが、そうではない。今、医療の現場は、何が課題なのか?それを丁寧に拾い上げていくだけでも、多くのヒントが隠れており、解決しなくてはいけない課題はたくさんある。それらに対し、テクノロジーの側面で問題解決が図れるのであれば、それはどんどん推進するべき。
ヘルスケア×テクノロジー=ヘルステック
というキーワードを多く聞かれるようになってきた。若い医師たちが、問題解決を目指して自分たちなりの解決策を突き詰めていく、そんな姿は多く学ぶところがある。
Posted by ブクログ
国の医療費の現状と展望、患者の立場から見える医療や病院の問題点はニュースで取り沙汰されやすいが、改善にはどのようなアプローチがあるのかを把握したく読んだ。
問題は数多ではあるが、各分野の現場でそれを解決しようとする医師達の見方や取り組み方を知ることができた。
基本的にはテクノロジーの利用で雑務の効率化、自動化を図り、医師が本来取り組むべき、また医師でしかできないことに注力できる仕組み作りで、患者や財政を含めてより良い世界を作ることができるという方向性であった。
またテクノロジーの利用による患者側の意識改革(時にほぼ無意識での自動計測技術も含まれる)による予防という観点の重要性も把握できた。患者にとっても、医療者にとっても、財政の面でも、治療よりも圧倒的に低コストではあり推し進めていくべき方向性であることは間違いないが、そこに病がないため課題意識、モチベーションがそもそも生まれづらいというのが最大の問題かもしれない。
Posted by ブクログ
2030年の医療について、新進気鋭の若手医師達と著者の対談を集めた一冊。30人の方から話を聞いているだけに、非常に多様かつ読んでいて面白かった。自分も試してみたいと思ったこともちょくちょく出てきた。図が無く言葉だけなので若干分かり辛いところがあるのは、残念。
Posted by ブクログ
世の中にこれだけたくさんの医師がICTで医療を変えていこうとしていることに気づく。
また、医療の現場は我々が思っている以上にムダ、ムリが多く、医師は患者と向き合える時間が少ない。
IoTやAIで医療を変えていくべき、また変えていこうと思える本である。
Posted by ブクログ
日本においての医療1.0 1960年代に国民皆保険制度が実現し、現在の医療提供体 制の基礎の確立。医療2.0 高齢化社会の到来に対応した老人保険法の制定、高齢 者保険福祉の10ケ年計画であるゴールドプランの策定、現在につながる介護施 策。医療3.0 インターネットの広がりによる電子カルテをはじめとした医療の ICT 化の進んだ状況。そして、医療4.0は、まさに始まっている。
医療4.0とは、医療との接点が医療機関以外にも広がる「多角化」個人個人のオー ダーメード化が進む「個別化」そして、医療の主体が患者自身に変わっていく「主 体化」。医者と患者の情報の非対称化(つまり、医者だけが専門的知識を持ってい て、患者がよくわからないという状況)の解消。医者と医者の間での情報の不具合 (専門家すぎて、全体がつかめない状況)の解消。
自分の体温、活動量、血圧、脈拍、血糖値、脳波などの生体データが IoT デバイス で収集され、デジタル情報として可視化され、遺伝子検査による自分の疾患の可能 性や肥満になりやすいとかの傾向把握、およびがん検査によるがんの進行状況の把 握が、できるようになり、携帯電話で個人健康データが蓄積されていく時代にな る。画像診断は、ビッグデータとなり、医師よりも人工知能(AI)の方が、判断が 正確になってくる。病院に行くのが、最小限になり、病院に行って、病気に感染す るという愚かなことが防ぐことができ、オンライン診察が可能となり、自宅での健 康管理がメインになってくる可能性もある。また、遠隔治療およびロボットによる 遠隔手術が5G の通信によって、日本から中国で手術が可能となる。新薬の開発も、 人工知能で行われるようになる。寝たきり老人になる前に、なんらかのロボットス ーツが作られるようになり、歩行などの助けを借り、介護ロボットもできるように なる。また、人間の能力を拡張する医療機器も作られるようになる。コンタクトレ ンズに、涙の成分から血糖値を測定できるようになり、目の機能を高めることもで きる。腕時計などのウエラブル装置 身体の異常を感じたら、自動的に病院に連絡 できるようにもなる。
そういう中で、2030年に医療はどうなるかを 医者でイノベーターである30人に質 問することで、これから医療がどうなっていくのかの仮説を組み立てていくことに なる。そして、未来から、現在を見て、何をしなければならないかを、日本の医療を横断 的に見せてくれる好著である。
医療4.0になることで、未病の段階から、自分の健康管理をすることになる。その ことによって、生活習慣が大きく変わっていくことになる。現実に、感染性の疾病 ではなく、生活習慣による病気による死亡が増えている。生活習慣の確立が、幼児 段階に極めて重要となり、幼児の育成計画がより緻密化されて行く。
今の今を 抉り出すというのは、なかなか難しい。
医療4.0の入門書的な位置を持っていて、さらに、医療4.0のイメージは広がって行くのだと思う。
Posted by ブクログ
medtechのトピックスをサラッと見るのに前半部分は良い。若干古い情報になってきたがコロナによる影響を考えながら読むのも面白い。ただ、どうしても医師の診断の仕事は近い将来全部機械に置き換えられる、、、というような意見には眉唾。対して、機械を導入するハードルを整理し、医師という人材を活かすための技術、無駄を省くための技術、という観点の意見は受け入れやすかった。
Posted by ブクログ
高尾洋之先生の『デジタル医療』を読み、その流れで本書を手にした。テクノロジーが活用されることで、2030年の医療はどうなっているのかを未来予想するという企画。
冒頭は眼科医の加藤浩晃氏による総説、後半は先進的な取り組みをしている30人の医師へのインタビューで構成される。スタートアップの株式会社に携わる、主に30代の若手医師が多く、どちらかというとビジネスよりな内容か。
基本的にはAIに置き換えられる部分は積極的に置き換えて、医師は医療情報のキュレーション等、コミュニケーション部分を担う方向に向かいそうだ。また予防医学の重要性が高まっていることも読み取れた。
刊行は2018年なので、やや古いが、大まかなトレンドは変わっていないものと感じた。コロナ禍にあっても、思ったほどに遠隔医療は進まなかったとも聞く。診療報酬の問題も大きいと推察するが、加藤氏が指摘する「医療機関は変化を嫌う。なぜなら変化の余白も取れないくらいに慢性的に忙しい」という言葉は重い。知人の医師を見ていても、本当にそうだなと頭が下がる。
Posted by ブクログ
医療4.0という形でこれからの医療の方向性と、医療現場における最新のテクノロジーについてわかる本です。
第3章では個々のソリューションについて深掘りされているので、理解を深めることができます。
Posted by ブクログ
ちょっと仕事上で必要に駆られて、手に取った本。
医療やヘルスケアに関わらない限り、こんな本読まないと思いますが、
自分のような素人でも大枠理解できるように書かれていて読みやすいです。
デジタル化に合わせて、医療やヘルスケアの在り方が変わっていくというテーマなのですが、
構成の3/4くらいは、ヘルスケアテック系で起業している(主に)医師出身の人たちのインタビュー。
全部で30人います。
彼らがどんな問題意識を持っていて、どんなビジネスをしているかは、
インタビューを読めば大まかには理解できますが、
ちょっとポジショントーク的に感じるところもあるにはありますが、
それでも現場で起こった課題・問題意識を何とか解決したいという強い志から彼らの事業はスタートしていて、
応援したくなってしまいます。
まだまだ数は多くないのでしょうが、こんなに色々なところで、
変化の芽が起こりつつあることに少し驚きました。
日本の以上財政はこれからますます厳しくなるでしょうが、
こういった草の根から根本的に問題を解決するような動きになって欲しいものです。
Posted by ブクログ
さまざまな技術革新はもちろんだけど、5G通信のインパクトが大きい。それと、人手が必須ではない作業の自動化。医療関係者の中に、ITと絡めて、現状の問題を解決できないか模索しているイノベーター、あるいは、アーリーアダプターがいるのだということが分かって心強く思った。タイトルの通り、2030年の日本の医療の予測。医療業界にもいろいろな問題が山積していて、第4次産業革命の技術を使って、今まで解決できなかったそれらを解決できるか。そこをやり遂げるのはエンジニアの仕事だろう。エンジニアの持っているパワーがそちらの方面に注力されるべきタイミングに来ているのではないか。
Posted by ブクログ
医療にヘルステックが取り入れられる2030年にはどうなるのかを描くインタビュー集。
新しい知見もいくつかあったが、既知のものが多い総集編的な内容。
AIとクラウド技術、ビッグデータ、ブロックチェーン技術、5Gなどが出揃って果たしてどんな医療の未来が実現するのか、非常に興味がある。
その頃までは生きていたいものだ。