【感想・ネタバレ】対立の世紀 グローバリズムの破綻のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年11月07日

現在の地政学を、米国を中心に我々対彼らの対立の枠組みの中で捉える動きと評価している。つまり、デマゴーグの考え方であり、ネガティブな感情を拠り所としており、危険な考え方。しかし、その根底にあるものとは何か?どう対処していく必要があるのか?

現代の政治の大きな流れを理解するために、是非読んで欲しい本。

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Posted by ブクログ 2019年05月01日

元上司が心酔していてコンサルティングを受けた縁もあって一読。
原題の「us vs them」のusには合衆国の含意もあるんだろうと思って読んだが、そういうわけでもないのかな。(読み落としかもしれない。)
「俺たち 対 やつら」の対立構造で世界を捉えるやり方は人類のDNAに組み込まれたもの、という進化...続きを読む論的文化人類学者(ジャン ジャレド
ダイアモンド氏とか)の考えを信じているので、これを相克するのは簡単ではなさそうです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年12月29日

イアン・ブレマーの書。ページを開くのが楽しみでした。

グローバル化はこれからも進むことと思いますが、まっしぐらというわけには行かないでしょう。ちょっと立ち止まって、今、世界中で起こっているポピュリズムについて考えてみるきっかけとして、最適な1冊ではないでしょうか。

トランプ大統領がなぜ支持される...続きを読むのか。
対立の構図がわかれば、トランプ支持者の声も理解できます。

しかもそれは、米国だけの問題ではない。各国で、さまざまな社会で、いまだ「対立」は存在しています。マイルドかもしれませんが、日本でも。

対立の構図を作りあげることによって、物事が有利に運ぶ場合も、確かにあるでしょう。

AI技術や自動化は、単にロボットが労働者を追い出すのではなく、新しい職種を生み出すだろう。しかしそれで安心してはいけません。新しい職種に就けるだけのスキルや能力を身につけられる人と、そうでない人との間で「対立」が起こるからです。

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Posted by ブクログ 2018年07月02日

グローバリゼーションは人々を幸せにすると思ってたのに、今世界で起きていることはその逆。。AIも脅威になるというのは皮肉。。

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Posted by ブクログ 2022年01月28日

対立の世紀とは、「わたしたち」対「彼ら」という「分断」で、それに気づくことが肝要。
分断があるほうが統治しやすい。
二項対立の考え方になっていないか意識する。
ファクトフルネスと一緒に読むといい。事実を見る。
御厨さんの解説で、今は工業化と情報化の狭間というのが印象に残った。

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Posted by ブクログ 2021年03月15日

2018年の書でありCOVIDや2020年米国大統領選挙前の筆者の見立てを辿ることができた。若干左傾的記述あるも US vs THEM という視点は今後の世の中の動きを見ていく上で新たなツールを得た所感。

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Posted by ブクログ 2019年09月24日

トランプ大統領のの出現、ブレグジット、ポピュリストの台頭、グローバル化の反動が露わになってきている。企業は儲かっても、中間層には何の恩恵もなく、世界中に不満が渦巻いている。
その解決策は明確には示されておらず、落ちるところまで堕ちないと駄目ということが言いたいのか?
何とかトランプの再選を阻止するこ...続きを読むと、そこから始めないとこの流れは変えられない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年01月13日

原作のタイトルは「US vs. THEM」であるとおり、全編通して「われわれ対彼ら」という構図でこれからの世界情勢を見通している。
これまで全世界で進めてきたグローバル化が破たんし、現在はそれに世界が逆行した動きを見せている。米国でのトランプ大統領の就任、ブレグジット、難民の受け入れ拒否など、自国を...続きを読む守るために、政治家は巧みに「彼ら」を作りだしている。
これは現在に限った話ではなく、これまでもその時代その時代で政治家は「彼ら」作りだし政権を確立してきた。そしてそれに失敗した政権はデモが拡大し最悪の場合は政権を奪われることになる。
日本人の視点から見ると、島国であるため「彼ら」の存在が他国に比べて分かりづらいが、外に目を向ければ「北朝鮮」や「中国」、「ロシア」や「韓国」もそうであり、国内では「高齢者」や「ニート」なども該当する。
政治家がどれを「彼ら」に設定して国民の同意を得られるかは時代によって変わる。
訳者あとがきにあるとおり、現在は時代が大きく変わろうとしているパラダイムシフトの時代であり、「工業化の時代」と「デジタル化の時代」が併存しており、「工業化の時代」に作られた社会システムを「デジタル化の時代」に合わせた社会システムに、移行していく過渡期である。非常に不安定な時代であるため、様々な軋轢が世界各地で起こっており、社内制度の変化をソフトランディングできるかが肝要である。
「工業化の時代」に生み出された中間層が「デジタル化の時代」によってその職をロボット(AI)に奪われ、優秀な者のみがエリート層に仲間入りし、その他大勢は低所得層に落ちていく可能性がある時代である。


・オンラインのアルゴリズムは、検索履歴を記録して私たちの「いいね!」の中身を解釈し、同じような考えの仲間の中に留める。ソーシャルメディアは、私たちに意見の合う人間だけフォローして合わない人間を無視するという選択肢を与え、考えを深め思い直す機会を我々から奪っているのだ。

・とりわけ裕福な企業は、政治的影響力を使い、節税対策のために国外に資金を持ち出すことのできる税制度を求めることができる。ロドリックが書いた通り、政府の歳入は、個々の国民の賃金と消費にかけられた税金に大きく頼ることになるだろう。こうした傾向は、富の移転をさらに広げ、格差をさらに広げることになる。

・好況時代は、与党やリーダーたちに、政治力を確保するだけでなく、厄介な問題を回避することを可能にした。今よりずっと多くの人々に対して税金を払うよう、いつ頼むべきか。国民の多くがいまだにその日暮らしをしている国で、いつ食品や燃料などに関する助成金を削減すべきか。翌年まで待てるのであれば、利益をあげていない工場をなぜ今閉鎖し、労働者たちを路頭に迷わせなければいけないのか。早い話が、なぜうまくいっているものに余計な手出しをする必要があるのか、というわけだった。
・世界中どこでも、景気が落ち込むと政府の評価が下がる。政治指導者らはそれに対応しようと、助成金などに無理にでも大量の資金を投入する。手つ取り早く景気を刺激するために中央銀行に紙幣の増刷を強いるが、これはインフレを煽り、同じ額で買えるものが先週よりも少なくなることで国民が不安を暮らせることにつながる。国内の既得権益、労働者や特定産業部門を守るために外国投資を制限することは、長期的には経済の競争力を低下させることによって問題をさらに悪化させる。

・公害、汚職、経済問題―これらは、たとえ技術進化が混乱を巻き起こすことが予想されていなくても、発展途上国にとって十分な不安材料だ。このままでも、多くの脆弱な国家は深刻な問題に直面することになる。

・発展途上国の多くの問題を抱えた政府は、豊かな国の政府よりも追い詰められたり、権カの座にとどまり刑務所に入らないように弾圧に走ったり、そこから回復することができない危機や問題を招きかねない政策を制定したり、権力を隻中させて経済をより硬直化させてしまったりする可能性が高い。
・これは、発展途上国にはポピュリズムに基づく弾圧の歴史があり、それが繰り返されるかもしれないという警告でもある。発展途上国の経済の先行きに対する不安が、カリスマ性のあるポピニリストたちに「彼ら」を悪者扱いすることで「われわれ」の票を勝ち取る機会を与える、ということに気づく。

・先進国と発展途上国との間には、もう1つ重要な違いがある。アメリカやヨーロッパの政治における「彼ら」は、中に入りたがっている移民であることが多い。
・これに対し、貧しい国々、特に植民地時代に境界線を定められ大国における「彼ら」とは、境界線より古くから存在するルーツを持った民族、宗教、あるいは宗派上の少数派を指すことが多い。彼らはいずれも、厳しい時代に政治家が名を上げるために簡単に標的にされてしまう人々だ。

・新しいテクノロジーが経済成長の単位当たりで今までより少ない雇用しか生まないことが確実な世界では、人口増加は危険な不利益を作り出すことになる。

・世界でも最大規模で、重要性も最も高い12の発展途上国―中国、インド、インドネシア、ロシア、トルコ、ブラジル、メキンコ、ベネズエラ、ナイジェリア、サウジアラビア、エジプト、南アフリカ共和国―に目を向けてみよう。
・メキシコ、ブラジルおよび中国は、他よりも自動化のもたらす変化に対応する能力が高い。

・南アフリカの弱さは、その一次産品輸出に対する世界の需要の減少と、それに伴い政府が投資できる財政資金が減少したことに起因するところがある。
・失業率がすでに非常に高く、ごく基本的なスキルも持たない若者たちの人口が急増している南アフリカは、職場の自動化が招く波乱の影響を特に受けやすい。しかも南アフリカ政府には問題に対処するために必要な初等・中等・高等教育の質の向上や、国内の新しいテクノロジーの開発研究に投資する予算がない。

・輸出収入の90%以上を占める石油価格の低下はOPEC加盟国であるナイジェリアの経済成長に重くのしかかり、教育、インフラの改善その他、北部諸州を中心に貧困を減らす試みに費やすことのできる国の財政力は低下した。南部の主要都市に集中している石油産業とサービス産業の収益は北部の州に分け与えられていないので、北部で学校に通っている子供の割合は南部の約半分でしがない。

・サウジアラビアのような国は他にない。国民1人当たりの平均所得は2万ドルで、エジフトの5倍以上、ナイジェリアの9倍以上に相当するが、その理由は単にサウジアラビアが巨大油田を持つ小さな国であるからでしかない。
・原油は、輸出の90%近く、そして国家予算の歳入の90%を占めている。ほとんど仕事をしていない公務員に支払う金もそこから来ている。

・ブラジルは資源豊かな国として中国に一次産品を輸出する能力と、貧しい人々が食料や水を買い、金を借り、子供に予防接種を受けさせ、学校に行かせるのを手助けする飢餓ゼロや家計補助金といったプログラムを通じて、長きにわたりないがしろにされてきた国民たちに富を与えようという政府の意志によるところが大きかった。だが、貧困から抜け出し、中産階級の仲間入りをした大勢の国民は、さらに良い政府を求めている。そしてこの期待の高まりがブラジルにとってとりわけ困難な時期に起きている。
・政府が大量の富を貧しい人々のところへ届けることと、中産階級の国民が要求するサービスを提供することは、別の話だ。後者のサービスの提供には多額の投資が必要になる。そして投資は丁寧な計画、合理的な政策決定、痛みを伴う改革、そして政治的妥協を必要とする。だが、どれもブームが去った後のブラジルには実行が困難だ。

・メキシコは、ブラジルをはじめとするいくつかの新興国で見られたような、所得と期待の急上昇を経験していない。それどころか、実質最低賃金は過去加年間引き上げられていない。この20年の間、貧困率もほとんど変わっておらず、明日の生活水準が昨日よりも良くなると信じているメキシコ人はほとんどいない。

・厳しい状況と高まる批判に対応する中で、エルドアンは「われわれ対彼ら」の構図を作り出す名人であることを証明した。政敵、ジャーナリストおよびクルド人以外にも、ヨーロッパの様々な政府に派手にけんかを吹っ掛けることによって多くの支持者たち―とりわけ保守的なイスラム教徒と筋金入りのナショナリストーの恨みを利用してきている。そしてこの過程で、エルドアンはすでに分断されている国の二極化を進めた。彼は、権カをさらに増やすために今後とも進み続ける。彼を恐れる人間は抵抗を続ける。そしてトルコの街頭での対立が続くことになる。

・石油価格が急落したため、石油収入は現在ではロシア国家歳入の半分足らずまで下がっている。プーチンがロシアの軍事カに投資したことと弱者のための給付金制度を守り抜こうとしたことで、国家基金の多くは失われた。西洋諸国からの制裁も邪魔になっている。
・貧困率は、近年すでに増加傾向をたどっていたが、今後も上昇を続けていくことになるし、特にプーチンの最もゆるぎない支持者である年金生活者と大都市から離れた地域の住人たちについてそれが言える。高学歴の国民は、より明るい見通しを求めロシアを離れるし、ロシア人の平均寿命は世界153位だ。

・何より重要なのは、国の人口動態だ。これから5年以内に、インドは中国を追い抜き、世界の人口ランキングで首位に立つ。しかも中国やロシアとは違い、インドでは若年人口が増加している。人口の半分が25歳以下で、65%が35歳以下だ。今のところ、これは経済成長にとって有利に働く。
・しかし今の時点でも、毎月新たに労働人口に加わる100万人の国民分の仕事はない。そして国連は、自動化とAIの機械学習が職場に導入されることで、現在ある仕事の69%が失われる危険があると予測しているのだ。
・ほかにも課題がある。インドには、時に流血沙汰になり、人々を悩ませているヒンドゥー至上主義のナショナリストと、少数派とは言っても1億人以上いるイスラム教徒との間の緊張関係以外にも、カースト制度による階級がいまだに存在している。

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Posted by ブクログ 2018年12月02日

いま世界に広がっている「○○ファースト」の現状を解説。「分断」をテーマに世界各所にあふれているリスクを教えてくれます。ただ、概念的な内容のせいなのか翻訳のせいなのか、特に前半が理解しづらい。読みづらい。

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Posted by ブクログ 2018年07月08日

地政学リスクや政治リスクの分析で知られるコンサルティング会社ユーラシアグループを率いるイアン・ブレマーの最新作である本書は「Us VS Them」という原著タイトル通り、自分たちのグループと他者のグループに壁を作り、現状の問題が全て他者に由来するとの被害妄想から他者を攻撃するポピュリズムの危険性と将...続きを読む来性をまとめた一冊である。

King Crimsonを率いるロバート・フリップ翁が記した「21世紀の精神異常者」は20世紀においてはその特異なアルバムアートで表現された架空の存在で済んでいたが、2018年の現代に生きる我々はその男がアルバムアートを抜け出して、ホワイトハウスに住んでいることを知ってしまっている。その住人であり希代のポピュリストたるドナルド・トラソプが得意とする対立の構造は、アメリカのみならず昨今の先進国に共通して見られる事象であろう。

本書が優れる点は、そうした対立の構造が先進国のみならず、新興国も含めてグローバル全体で浸透しつつあるという悲劇的なパースペクティブを明確なファクトと共に示す点にある。そうした誤ったポピュリズムを打破し、健全な民主主義社会を取り戻すためのキーとなるのが、国民・市民が国家に対して期待する役割を更新する社会契約の書き換えである。例えば、デジタルテクノロジーの破壊的発展により雇用すら危ぶまれるという危機に対しては、我々が国家に対する期待を「新たな教育システムを国民に対して提供する」として書き換え、抜本的な教育システムの見直しを現状の税金の使途を抜本的に見直しつつ、実行することが求められる。

結局のところ、社会契約の更新とは、ポピュリズムの中にあっても政府が果たすべき役割を再定義し、それを実行する権力基盤を既存の政治システムの中で構築する、というごくごく当たり前の民主主義システムの実行に他ならない。しかし、当たり前の民主主義システムが徐々に喪失されつつある今、それはそれで難しいことであるのも事実であるが。

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