【感想・ネタバレ】OLD WESTのレビュー

前田千明

少年と老人の繊細な交流を描いた新人賞受賞作「OLD WEST」。銀行襲撃を目論む強盗団の短編。父を殺された青年の復讐劇。ポーカーゲームに耽溺する男達。そしてオオカミとネイティブアメリカンとカウボーイの描き下ろし活劇を収録。

[ブクログ · ★★★★☆]

南北戦争後、1800年代のアメリカ開拓時代の話。死が身近にあり、ピリピリとした空気をまとった力強い絵で物語に引き込まれる。
５話の短編集。一攫千金を手にするためには手段を選ばない男たちの物語となっている４話目Beautiful Dreamerが印象に残る。
５話目のWind In Wolvesも好きだ。白人とインディアンと狼の物語。

[ブクログ · ★★★★☆]

ストレートな西部劇マンガであるが、開拓者精神のような意志や行動、自我といったテーマは薄く、登場人物たちは運命や社会・自然の動きに流されてゆくことが多い。その点、古典的なアメリカ流の西部劇ドラマとは異なり、むしろ近松のような日本近世の古典に近い味わいがある。２１世紀の日本人が描いた西部劇である。この流れで大陸横断鉄道や南北戦争、黒人を含む南部社会、ヒスパニック系移民などのエピソードも読んでみたい。