【感想・ネタバレ】半分生きて、半分死んでいるのレビュー

あらすじ

ある大学で「養老さんじゃないですか、もう死んだと思ってました」と話しかけられた著者。「要するにすでに死亡済み。そう思えば気楽なもの」と嘯き、超越した視点で「意識」が支配する現代社会の諸相を見つめる。人工知能が台頭する時代に「コンピュータは吹けば飛ぶようなもの」と語り、平成においては「万物が煮詰まった」と述べ、人口や実体経済の限界が見えた時代の生き方を考える。現代の問題は「一般論としての人生と、個々の人生の乖離」と述べ、一般化からこぼれ落ちた個々の生へ眼差しを向ける。真理は0と1の間に落ちる。宙ぶらりんの立場で、現代人の盲点を淡々と衝く一冊。 【目次より】●人文学で何を教えるか ●禁煙主義者として ●永遠の杜 ●人工知能の時代に考える ●虫と核弾頭 ●人口が減る社会 ●状況依存 ●米軍の「誤爆」 ●意識をもつことの前提 ●老人が暮らしにくい世の中 ●地味な仕事への対価 ●「平成」を振り返る

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Posted by ブクログ

ネタバレ

意識の世界、言葉の世界、頭の世界は本質でもなんでもないことについて。

この世界に偏重している今日を冷静に指摘していて、

今の主流とは一線を画していてやっぱとても参考になります。

そして、簡単で短い言葉で、伝えられている。

__ときには言葉を止めて、世界に直面してみたらどうか。

言葉を決めれば、世界が決まる。そう思っているに違いない。そう思えるように、社会を作ってしまったのである。

言葉で世界は動かない。

__世界を意味で満たすことは、じつは恐ろしい社会を創り出すことなのである。

__頭の中すぐに煮詰まる。意識は煮詰まるものなのである。

__環境問題がおかしくなるのは、環境という「自分とは別」という文化を、自分なんてそもそもなかった社会にに持ち込んだのが根本だと思う。

__認識は内容ではない。行為である。もっというなら、生き方である。

__ソクラテスは本を書かなかった。書かれた言葉からは、それが発せられた具体的な状況が落ちてしまう。それを知っていたからであろう。

「*技術*が*成功する*ためには、体面*よりも現実*が*優先されなければならない*、*何故なら自然*は*騙しおおせないからだ*」物理学者リチャード・*ファインマンの言葉が引用されているところでは、私は完全にこの穴に落ちているな、と思いました。*

*現場でのプロジェクトが予定通りいかないとイラっとしてしまうところがあるのですが、物理的にできていないものはできていないわけで、概念として勝手に作った時間のほうに合わせたところでどうしようもないのに、これまでの時間などの人工的な概念への依存度合いが強すぎてか、言われてもそう簡単にはがれるものではないのかな。*

単純化、シンプルにしたい!この衝動と、現実の複雑さと、どうバランスをとっていったらいいのか、まずは探りながら日々を送ります。

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2024年09月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 ①死とは親しい人の死、二人称の死に決まっている。人が死を感じ、死が人を真に動かすのはその場合だけ。②意識という機能の大きな役割の一つは、「ああすればこうなる」である。情報化社会は、要すればすべてが意識化される社会。都市文化とは意識の産物。③嫌いなのは好きと同じで、向きは違うが関心は強い。

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2024年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

相変わらずの養老節・・・と言いたいところだったが、少し切れ味が落ちた気もする。著者の本をほぼ全て読んでいる身としては、知っていることが増えてきているから、似たような話に驚きがなくなってきただけなのかもしれない。
ただ、名言的な部分は随所にやはりある。80歳を迎えてもなお、きらりと光る意見を持っている著者はすごい。
個人的には、組織は社会を安定化させるけれども、人のかけがえのなさが失われたという箇所(162-163あたり)が特に良かったかな。こういった発言をぼそっと言うあたりが、著者のポイントというか、養老節なのだと感じた。何はともあれ、面白かった。

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2018年03月05日

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