あらすじ
劇団・五反田団主宰の劇作家・前田司郎の芥川賞候補作!
愛とは何か? 愛は存在するのだろうか。愛が信じられない男をめぐる三角関係
36歳の京子と、もうすぐ40歳の俊介。
結婚して6年目の夫婦の悩みは、子どもができないことだ。
愛なんてこの世にないかもしれない。
でも、京子に子どもが生まれたならば。
検査の結果、不妊の原因は俊介にあり、しかも治療の余地さえないという。
二人の間に子供が出来ることは永遠にない。
諦めきれない俊介が提案したのは、驚くべき解決策だった。
男二人と女一人。
過去が思いがけない形で未来へと接続される、危うい心理劇。
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Posted by ブクログ
不妊の原因は夫の俊介にあることがわかったけれど、俊介は子どもを諦められないでいた。
俊介が考えたのは、学生時代の友人だった水口と妻の京子で、子どもを作るということだった。
よみがえる学生時代の水口との思い出。
行きつけだった喫茶店でバイトしていた京子との出逢い。
演劇の才能はあるのにくすぶっている水口。
そんな水口に惹かれている京子と、京子のことが好きな俊介。
俊介の京子への自分の思いを、水口は知っていながらも邪魔をするような態度を取っていた理由。
愛しているんだ、と言った水口。
愛の形って、なんだろう。
とんでもない三角関係で、人間くさくて、喜劇みたいで、面白かった。
水口と京子が俊介に内緒で会っていることを知った俊介の家で、京子のあとについて裸足でペタペタ歩きながら言い募る様子がおもしろい。
昔のように3人で過ごした夜。
3人の思いがつまった3人の子ども。
Posted by ブクログ
現代パートと学生時代の回想パートがあり、現代は奥さん、回想パートは旦那さんに語り手が分かれている。回想場面を読んでいると、想定している表現を数段上回ってくる凄い感じがあって、ハラハラする。特に演劇をディスる場面が火が出るようだった。ところが現代パートは、特に不妊治療に首をかしげる表現があって、飲み込みづらさを感じた。結末がバタバタと店じまいするような急展開だった。タイトルもふざけているような、半笑いのすかしている感じがした。全面的に絶賛はできないけれどとても面白かった。