【感想・ネタバレ】侘び然び幽玄のこころ─西洋哲学を超える上位意識─のレビュー

あらすじ

究極の日本精神文化論
あなたは「侘び」「然(寂)び」の違いが説明できますか! ?

真実の歴史は、下層の民衆たちによって創られてきたことを人びとは忘れてしまっている。
曽てこんな「わびさび幽玄」本はなかった。
侘び然びをこうも明瞭に解説し得たものは他にはない。画期的な内容ということが出来る。
従来の説を覆し、本物の侘び然び幽玄を語っている。
風は限りなく風らしく、光は限りなく光らしく、大地は限りなく大地らしく土の薫りを醸し出す。
その人生を癒やす為に日本人の魂に根付いてきた「侘び」観。
人々の苦悩を呑み込み、悲しみを和らいで日本人の精神性と人格とを高めてきた。
日本人の歴史そのものとしての侘びは、天皇から民衆までも隔たりなく同位に包んで現代に伝えられてきた。
禅の哲学を取り込み、無一物への志向を強めながら、人々の超越する想いを表象してきた。
日本史2670年の底辺に生きた民衆の悲しみとその忍耐性、そして1000年に及ぶエリートたちの然(寂)びとを追究する知的ロマンの旅である。 果たしてデカルトやカントにも勝る程の哲学性が有されているのか、その侘びの源流にも触れていく。
日本人の精神の支柱と言われながら、日本人の大半がその説明が出来ないという現実と、侘び然びの高き哲学性。
このままではこの国から絶滅危惧種化しそうな勢いで、忘れ去られようとしている。
いま、ここで立ち止まり、日本民族としての精神について、真正面から問いかけてくる斯書に読者は腕組みをして、真剣に思索への道を歩み出すだろう。 これは日本人としてのアイデンティティを確立する為の必須の書である!

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Posted by ブクログ

侘び然び幽玄について考察し、日本人に侘び然びをもう一度考え直して深く身につけるべきだと主張する。
利休や一休、鈴木大拙への批判は確かにと納得できるところもある。 
ただ利休本人は侘びを主張したことはないという研究者もいて、彼の権力指向の生き方と然びに関してあまり著者の主張は当てはまらない気も。一休も残した歌などから生悟りに過ぎなかったというのも。もちろん肯定的に評価している箇所もある。
然びは掃き溜めに静かに立つ鶴のこと、掃き溜めが侘びのこととか、侘びは質素で孤絶の相、場で広がりを持ち中核は自身の心の中に存在する、然びは孤高でクールで渋みのある相、侘びに包まれた中で微かな光彩を放ち内なる心が外に放射された姿とか、わかりやすく納得のいく定義をしている。
侘び然びは死生観。侘び然びの根本は愛別離苦としての絶望感、孤絶感、孤絶観。これを味わい得る人間が超然として凡俗の塵世を超えることができるようになる。その境地の魂は侘び尽きて魂さびるほどで、そうなればいよいよ禅が求める感情や欲得に支配されない真の侘数寄に至れる、これが侘びの真髄で、日本人の侘びはここまで到達しなければならないと。通常の侘び然びは、悟りの階梯では、未だ無尽蔵にならない、無一物にもなり得ないその直前の状態を指す。未だ完全ならず達観が生まれていないから逡巡があり、そこがエリートに支持されてきた。しかし本質としての侘び然びは未だ無尽蔵なる法をその内に納めることができない状態で自己を離れたった1人の空間にただ1人存在する、その感覚や状態を指す。これを超えた完全体に成り得た時には侘び寂びは消失し、悟りそのものとなって仏教が説く無一物の境に入り、本物の悟りを得るだろうと。
いいことも言ってるんだけど、他者への批判において著者が立っているところが悟りとか侘び然びとかけ離れているのが残念な感じ。利休や一休への批判とか、現代の左翼とかもそうだし、自分がいかに若い時からどのように考えていて侘び然びについて語る資格があるんだと、そんなに偉そうに語れるあなたは何者なの?って。

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2025年01月30日

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