【感想・ネタバレ】レオナルド・ダ・ヴィンチの秘密 天才の挫折と輝きのレビュー

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Posted by ブクログ

ダヴィンチの絵の技術、表現を基調として、歴史的事実や手記を補足して彼の生涯とそれを取り巻くフィレンツェ、ローマの政治芸術環境を描き出している。
ダヴィンチの性格としては凝り性かつ移り気であり、若い時から期日どおおり完成させることは稀であるが、下絵ベースですら(特に聖ヒエロニムス、アンギリアーリの戦い)、全く新しい表現の切り口と技術を表現している。元が私生児であり、正式な古典教育を受けていないため、ロレンツォ・メディチのフィレンツェではボッティチェリのような古典を再解釈した知的な寓意を表現せず、またパトロンと語れなかったため評価はされず、ミラノに軍事家としていき、パーティプランナーをやったる。
ウィトルウィウス的人体図に表現されるように、彼は解剖を繰り返し、人体というものを当時最も理解した一人であり、おそらくは神ではなく人間そのものに世界の秘密があると考えたと思われる。絵画表現はその世界の法則を表現するためであり、スフマートも実際の視覚を表現するために編み出されたものである。
著者はモナリザは個人を書いた人物画を超越した生涯手を入れ続けた作品であり、それが何かにはあまりこだわっていないが、最近の調査ではヴァザーリ説で有力じゃないかと提示している。

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2018年01月10日

Posted by ブクログ

レオナルド・ダ・ヴィンチについては、彼の天才振りが様々な本に書かれていて、世間の常識になっているが、実は大変な苦労人であった。もともと私生児で貴族の養子となったが、当時の教養人の然るべき教育(ラテン語が判らなかったらしい)を受けておらず、絵画工房に弟子入りしてから才能を認められて地位を築く。若い頃から自分の作品に強い拘りがあり、真の芸術家ではあったけれど、ビジネスでは挫折も多かったようだ。原因は依頼された仕事に時間が掛かり過ぎることや約束を守れない、好奇心や興味や関心の分野が広すぎて一つのことに集中できない
など、現在にも通じるビジネスに求められる要件がよく判っていなかったことにあるようだ。
拘りの強さは彼の作品に表現されていて、誰もが驚嘆するものだが、ビジネスマンとしては成功するタイプではなかった。この本には、彼の絵画の謎解きを含めて、あまり知られていないエピソードが紹介されていて大変面白く読めた。
不出世の天才でも見方を変えれば凡人でもあり、とても人間味を感じた。

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2016年11月22日

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