あらすじ
「怒っている人」はなぜ手強いのか?
赤ちゃんは泣くことで不快を訴え、お母さんは「ごめんね」とおむつを替えたりします。この繰り返しで刷り込まれていくのは、怒れば他人をコントロールできるということと、怒っている人には丁重に対応してしまうという不幸なコミュニケーションのあり方。そのせいか日本人は、わけもなく怒っている怪獣や怒り混じりに大声で主張する政治家、街頭インタビューで怒りをぶちまける一般市民などになぜかシンパシーを抱いてしまう、「怒りに甘い文化」を持っているのです。
しかし、怒りにまかせたコミュニケーションは、結局ストレスの元になるだけ。家族関係、友人関係、仕事上の人間関係などで生じるストレスの多くは、不幸なコミュニケーション=対人関係に行き着きます。
自分の心を見つめ、怒りの正体に気付き、怒りをいなしてストレスをためない方法などを、テレビでもおなじみの精神科医・名越康文氏が詳説。大ヒット単行本『自分を支える心の技法』に大幅加筆をした完全版です。
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Posted by ブクログ
小さなことですぐにイラッとしてしまうのをどうにかしたく、ゲームさんぽで知った名越先生の本を読んでみようと本書を手に取った。
個人的には、レッスン4の「怒りの正体を知る」が特に勉強になった。仏教をベースに「怒り」について解説されているが、宗教を問わず真理をついていると思う。
・欲には限りがなく、どんどん欲が出る。そうすると心が乱れ、怒りがわいてくる。ひとつ間違えば、希望を持つことも欲になる。
・実体のない不安の奥にも怒りがある。
・無知だと世の中を知った気になり、人を見下したり軽蔑するようになる。自分が一番正しいと思い込む傲慢さは怒りに近い。
・傲慢な態度は、人の話に耳を傾けることを忘れさせ、人から学ぶ機会をなくし、自分をある意味不幸にする。
怒りの正体が理解できると、イラッとした時にその感情を、少し客観的・俯瞰的に見れるようになり、イラッとしなくなれるとのこと。確かにこうやって書き出してみると、怒りにはいいことが何もない。
ただ、言うは易く行うは難し。自分にはまだまだ辿り着けない境地なので、まずはイラッとした時に気づき、冷静に分析することから始めたい。これはある意味修行である。