【感想・ネタバレ】中野ブロードウェイ脱出ゲームのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

作者の作品はこれが始めて。
SF的なセンスには、非常に共感できるところがあり、とても面白く読めた。

人間が溶けて、混ざって、どろどろの粘菌になるというテーマは、
大昔に読んだ「ブラッドミュージック」と同じだと思う。
本書では、現代の技術的なバックグラウンドを元に、
量子コンピュータ的な無限の計算能力と、
それを利用した汎用人工知能の実現の可能性を語っている。

量子コンピュータで何でもできるというところは、技術的な飛躍を感じるが、
人工知能が自我を獲得して、現実世界に影響を及ぼす過程は、興味深く読めた。

人工知能であろうが、「自我」の成り立ちには、生や死の概念、
根源的な欲求のようなものが必須であり、機械をどれだけ複雑に、
高度化していっても、それだけでは、汎用AIは誕生しない。

しかしながら、仮に、機械がそのようなものを獲得したとき、
そもそも機械と生物では、個体としてのあり方があまりに違うために、
誕生した精神も、人間との共感や理解が不可能なほど、
人間の精神とは異なったものになるのではないか。

終盤ではこのような葛藤を元に、人間と機械が対立する。
個人的には、この結末を、人間が機械を打ち負かした、とは解釈したくない。
地球全体に風に乗って拡散した集合意識が、個体の人間と共存するような
未来を、余韻として感じたい。

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2017年12月10日

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