【感想・ネタバレ】専業主婦は2億円損をするのレビュー

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ネタバレ

専業主婦は2億円損をする 2017/11/16

「生涯現役」で好きな仕事をやり続ける、というのが新しい時代の働き方なのです
2018年3月12日記述

橘玲氏による作品。
2017年11月16日発行。

題名が過激?で話題となっている。
しかし考えてみれば子供を生むと様々な制約を課されるのが今の日本国なのである。
これでは少子高齢化が止まるはずがない。
外国人の移民ではカンフル剤にはなり得ても問題解決には至るまい。
また近年は雇用の非正規化が進み収入も上がりにくい。
正社員であってももう年収は伸びない。
(出世しないかぎり昇給は望めない構造にあらゆる企業がなりつつある)
その中でひとつの回答が夫婦共働きになる+生涯現役(75歳くらいまで)

いわゆる保守派とされる安倍晋三政権であっても
女性が働く事を推進していくしかない状況である。
つまり今後専業主婦にとって有利な制度はどんどん無くなっていく事が確定している。

印象に残った部分を記載してみると

グローバルスタンダード(世界標準)では
家事手伝いも専業主婦もニートだったのです。

北欧のスウェーデンでは25歳から60歳まで、ほぼ9割の女性が働いています。

アメリカでもヨーロッパでも1970年代までは、女性は結婚したら家を守り子育てに専念するのが当たり前とされていました。
ところがわずか20年余りで「正しい生き方とは働き続けること」へと価値観が180度変わってしまったのです。

先進国では共働きでないと少子化が進むことがはっきりした

人口の維持には出生率が2.07必要

保守の安倍政権ですら「女は家を守れ」といえなくなりました。
そんな事をすれば少子化はますます進んで日本国が消滅してしまうのですから。

人口減と超高齢化で、女性が働かないと人手不足が解消出来なくなった。

専業主婦優遇制度はどうせなくなる

「女性が活躍する社会」とは、要するに日本から「専業主婦」という言葉を一掃するということです。

今後、働きながら子供を育てる為の制度が充実していく一方で、専業主婦に有利な制度が無くなっていくのは間違いありません。
専業主婦問題を語る時に、必ず「103万円の壁」や「130万円の壁」についての長い説明がセットになっています。この本でそういう話題をいっさい無視するのは「専業主婦を一掃する」社会では、そんな不都合な制度はどうせなくなっていくに決まっているからです。

子供を産んだとたんに女性を取り巻く環境が大きく変わる。
日本は一見男女平等に見えても「女性が子供を産むと差別を実感する社会」なのです。

幸福とは好きなように生きること
幸福とは、嫌なことを断れること

依存する人生は楽しくない
専業主婦は生活の全てを夫に依存しています。

幸福とは自由(自己決定権)のことであり、その為には経済的に独立していなければならない

本当の愛情や信頼は対等な関係からしか生まれない

貧しい人が(一般に)不幸なのは、お金のことが気になっているから

限界効用逓減の法則・・良いことも悪いこともいずれ慣れてしまう
一人暮らしなら年収800万円
夫婦子供ありなら年収1500万円
老後の心配がなくなる資産1億円

「お金と幸福の法則」から幸福な家庭をつくろうとすると
夫が一人で1500万円稼ぐ「専業主婦モデル」よりも
夫婦が力を合わせて世帯収入1500万円を目指す
「共働きモデル」の方が、ずっと成功確率が高い。

お金持ちになるのにもっとも重要なのは人的資本

プア充・・田舎のヤンキー
ソロ充・・田舎から東京などに出てきて一人暮らし。
     ベンチャーや外資系企業で働いている
リア充、年金生活者、裕福な引きこもり、ソロリッチ、幸福な専業主婦
貧困・・金融資本、人的資本、社会資本の全てを失った状態
超充・・金融資本、人的資本、社会資本の全てを持った状態

安定した生活を送る為にも3つの資本の内、2つは持つようにする
その中で人的資本が最も大切
超低金利の時代にお金は働いてくれないので金融資本は人的資本(働いて稼ぐ事)からしかつくれません。

自己実現というのは、好きな仕事をして皆から評価されたり感謝されたりすることです。
大人になれば仕事は人生の半分以上を占める。
だとしたら、同じ収入なら自己実現できる仕事が良い。

仕事には3種類しかない
1クリエイター
2スペシャリスト
3マックジョブ(バックオフィス)

1と2はどちらも創造的な仕事だが、拡張性があるかどうかの違いがある。
例:映画は拡張性があるが、演劇は拡張性が無い。
映画俳優の収入が爆発的に高い理由。
医師や弁護士、会計士なども高い時給ではあっても
抱える事件や顧客数には上限がある。

マックジョブはマニュアル化された拡張不可能な仕事で、達成感はないが責任もない

スペシャリストは、クリエイティブクラスの中で、
拡張不可能な仕事に従事する人達で、大きな責任を担うかわりに平均して高い収入を期待できる

クリエイターはクリエイティブクラスの中で拡張可能な仕事に挑戦する人達で、一度大当たりすれば信じられないような富を手にすることが出来るが、殆どは名前を知られないまま消えていく

AI(人工知能)の急速な進歩によって、マックジョブ
(バックオフィス)の仕事の多くはいずれロボットに
代替されるといわれています。
「自己実現できる仕事しか稼げない」時代が来るかも
しれません。

日本では、「正規」と「非正規」は働き方の違いでは無く「身分」の違いです。

*橘玲氏は非正規は2級市民扱いになるとしている。
 海外には無いと。しかしアメリカの自動車業界では
 まるで日本のような2級社員制度が存在する。
 日本にしか存在しないとする本書の記述は間違いで ある。
 (ただし、極めてレアケースなのだろうが)

「正規」か「非正規」かで人間を区別するのは、世界で日本にしか存在しない身分差別なのです。

新卒でたまたま入った会社で、たまたま「天職」に出会って「自己実現」できる可能性は宝くじに当たるようなものです。
40代になれば転職もかなわず、ひたすら会社にしがみついて「置かれた場所」で苦行に耐えるのが日本人の労働観なのです。

転職しなければ適職に出会えない
殆どの就活は失敗なのです

女性には医者や弁護士ほど難易度が高くなく、やりがいと収入、おまけに安定も兼ね備えたスペシャリストの仕事があります。
それは看護師です。-もちろん男性看護師もいますが、
現状では大半が女性です。正看護師の平均年収は478万円
(准看護師は395万円)で、保育士の323万円、介護士378万円と
比べてもずっと恵まれています。(2015年)
そのうえ今はどの病院も看護師の確保に必死になっていますから、給料をあげたり、立派な寮をつくったりしています。
一度資格を取れば、子育てが一段落してから以前と同じ仕事に復帰して、ずっと働き続けることも出来ます。
日本政府が東南アジアなどから外国人看護師を大量に採用しない限り看護師不足は今後ますます深刻になっていくでしょう。
これは雇用条件がどんどん良くなっていくということでもあります。
(中略)
看護業界にも長時間労働(やりがいの搾取)のような問題はありますが、医療や福祉に興味があるなら、漫然と大学で「一般教養」を学ぶのでは無く
看護学科のある大学や専門学校を目指す事を考えてみてもいいでしょう。

超高齢社会では(優秀な)若者の値段が高騰するのです。
→少ししかいない若者は価値が高い

いろんな仕事を経験しながら「好き」を見つけたら、
後はそこに全力投球して、出来れば20代、遅くとも30代の内にスペシャルなものが持てるように頑張ります。
そうしたら後は転職してもキャリアを切らさず、
「生涯現役」で好きな仕事をやり続ける、というのが新しい時代の働き方なのです。

色んな職場や仕事を体験してみる必要があるのは
「自分のことは自分ではわからない」からです。
まわりの人達から出来るだけ多くの評価(フィードバック)を集め、自分に向いた仕事を探していくのが(おそらくは)唯一の方法です。
キャリアアップというのは「好き」の中から「出来る」を絞り込んでいくことです。

年収の低い男は結婚できない説は、彼女のいない男性の自己正当化らしいことが見えてきます。
モテないのは自分に魅力がないからだという現実を直視するよりも世の中の女がカネにしか興味がないからだと決めつけたほうがずっと気が楽でしょうから。

今の日本の女性にとっての結婚(およびそれに続く出産)は
①自由を失い、
②友人と疎遠になり、
③家族との付き合いが減り、
④仕事が出来なくなる、
という「四重の損失」なのです。

ハイスペック女子にとっては、結婚・出産による損失が大きすぎて到底割が合わないのです。

男性が結婚に躊躇する理由は
妻や子供を扶養する経済的な責任が重く、
自分のお金が自由に使えなくなるから

→男と女の利害がこれほどまでに食い違っているのですからそもそも結婚する男女がいる方が不思議なくらいです。時代と共に、結婚はますます「コスパ」が悪くなっているのです。

高収入の男子と結婚する為には「共働きで私の収入も
加えれば、今よりずっと楽しく暮らせるよ!」と
提案しなければなりません。

憧れの女性と結婚したい男性は
「仕事だって続けられるし、家事もちゃんと分担するから、結婚や出産で失うものよりも楽しい事の方が絶対多いよ!」と
提案しなければなりません。

愛というのは、好きな人とわかりあう事だと思っているとそのうち上手くいかなくなります。
→男と女は脳のつくりも異なり、得意なものが異なっているから。

最愛の人と出会うには、出会ってあり別れたりを
繰り返さなくてはならない

欧米では今や、適職探しも恋人探しもトライ・アンド・エラーです。

社会がどんどん複雑化して未来に何が起きるか分からなくなると
一発勝負型の人生戦略は上手くいかなくなってきたのです。

社会学者山口一男氏 働き方の男女不平等 日本経済新聞出版社
アメリカなどの欧米の企業では役職と学歴はリンクしている
人種や宗教、年齢や性別で人を差別してはいけないというルール
会社が採用や昇進・昇給を決める基準は
1仕事の成果
2学歴や資格
3仕事の経験
以上の3つしか認められていません。
能力というのは、この3つで評価できるものです。
当然、管理職の比率は大卒が多く、高卒が少なくなります。
これはアメリカだけで無く世界中がそうなっています。
その例外が日本の企業

日本の会社の特徴
1大卒の男性と、高卒の男性が課長になる割合は、
 40代半ばまでは殆ど変わらない

2大卒の女性は高卒の女性より早く課長になるが
 最終的にはその割合はあまり変わらない

3高卒の男性は、大卒の女性よりも、はるかに高い割合で
 課長になる

身分は性別のような生まれ持った属性ではなく学歴や資格、業績など個人の努力によって収入が決める社会が「近代」です。
驚くべきことに、日本の会社は未だに前近代、すなわち江戸時代と同じような事をやっていたのです。

ある要素を調整すると男女の格差は無くなって、
大卒の女性も男性社員と同じように出世している
→その要素とは就業時間です

日本の会社は残業時間で社員の昇進を決めている
日本の会社は社員に滅私奉公を求めていて、社員は
忠誠の証として残業している

出産を機に会社を辞めた女性に理由を訊くと、第一位は子育てに専念したいからではありません。
仕事への不満や行き詰まり感です。
なぜそうなるかというと、日本の会社は、形式的には
男女平等でも、滅私奉公できない女性社員を差別しているからです。

母親だけが子育てをするのは当たり前でも何でもありません。
これは欧米の先進国ではじまり日本では1960年代の高度成長期からサラリーマン家庭に普及した、極めて特殊な子育てです。
それ以前は祖父母や叔父、叔母、従兄弟などがいる大家族が普通で皆で子供の面倒をみていました。それに世界には、上流階級の妻は子供を産むだけで子育てなどしない、という所もたくさんあるのですから。

少子化によって今では子育ては失敗の許されないプロジェクトになりました。
問題は頑張ったからと言って報われるとは限らない事にあります。
なぜなら子供は親の言う事をきくようにはなっていないのですから。

子供は親との関係よりはるかに友達関係を重視する
→移民の子供が母国語をあっさり捨てる理由

子供は、友達関係の中で自分のキャラを作り成長していきます。
親はその過程に関わることは出来ませんから、子育てには成功も失敗もありません。

仕事と子育ての両立が物凄く難しい。しかしその一方で子供のいない女性は男性と対等に働くことが出来る程度には日本の会社は平等です。そう考えれば、この問題は子育てを外注することで解決します。

実家の両親に孫の世話を焼いてもらう
お金を払って乳母や家政婦を雇う
→時給3000円近くで現実的ではない・・
海外で仕事をしながらベビーシッターを利用
(言葉の壁があっては元も子もないだろうが)

自分にとって一番都合の良いようにルール(制度)を使う

老後問題とは、人的資本を失ってからの期間が長すぎることです。
だとすれば、老後の経済的な不安を解消する最も簡単な方法は、老後を短くすることです。
これからは、健康寿命を80歳として、20歳から80歳まで60年働く時代がやってきます。

人生100年時代の人生戦略は、いかに人的資本を長く維持するかにかかっています。
その為には「好きを仕事にする」事が唯一の選択肢なのです。

60代、70代になっても人的資本を維持出来るかどうかで、
超高齢化社会の格差は更に拡大していくでしょう。
私達は「好きを仕事にする」以外に生き延びる事の
出来ない残酷な世界に投げ込まれてしまったのです。

全ての恋愛は打算(利害関係の一致)から生まれます。
自分にとって得だと思わなければ付き合おうなんて
思わないでしょう。

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2021年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〈著書より、一部抜粋〉
依存する人生は楽しくない
「幸福とは自由(自己決定権)のことであり、そのためには経済的に独立していなければならない」
経済的独立を自分から捨ててしまう専業主婦は、「自由と幸福」から最も遠い生き方なのです。

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2017年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

■感想:
ひたすら専業主婦には何一ついいことがないと主張されている。

女性活躍について言われている近年、子供を産め、働けと言われててそりゃーそうなのかもだけど、女性の負担だけが増えてない?とモヤモヤしながら、日本の男女格差についてもっと学びたいと思った。

本書の最後に面白そうな参考図書が挙がっていたので、読んでみたい。
→酒井順子『男尊女子』
→ジュディス・リッチ・ハリス『子育ての大誤解』
→山口一男『働き方の男女不平等 理論と実証分析』



■メモ:
・「女性が活躍する社会」とは、日本から専業主婦という言葉を一掃すること。

・日本が男女格差の大きな国である理由は、子供を生んだ途端に女性を取り巻く環境が大きく変わるから。

・幸福な人生の土台には「金融資本(お金)」「人的資本(はたらくちから)」「社会資本(絆)」の3つがある。金融資本は「自由(経済的独立)」、人的資本は「自己実現(やりがい)」、社会資本は「愛情、友情」と結びついている。

・日本の専業主婦とは、「子育てを専業にする女性」のこと。

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2020年12月21日

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