あらすじ
棘のある舌で少女を舐め苛む怪異な男爵の物語……? 日本の稀覯本『猫舌男爵』の翻訳に取り組む外国人翻訳家ヤン。だが、言葉と文化のギャップは誤解と憶測を呼び、ヤンと本の関係者たちを思いがけない運命へ導く。爆笑必死の表題作他、死期が近づくと水槽に入る奇妙な世界の死生観と孤独を描く「水葬楽」、女性画家の生涯を死亡時点から遡ることで驚愕の真実が明かされる「睡蓮」等、小説の無限の可能性を広げる奇談集。収録作:猫舌男爵/オムレツ少年の儀式/睡蓮/太陽馬
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
タイトルからの直感のみで棚差しから購入。
解説まで読んではじめて、この作品集の肝が理解出来た。
一見すると全くバラバラに独立した五つの短編集のようで掴み所がないが、丁寧に読み込むことで物語同士が共鳴するとは驚き。読み手が気づく事で、各物語の’孤独’が救われる。
第一印象では「オムレツ少年の儀式」「猫舌男爵」が好き。結局、猫舌男爵についてはわからずじまいだったが、みんな幸せな結末を迎えてなにより。
繰り返し読み必至。
1刷
2021.6.12
Posted by ブクログ
短編集。表題作は、読めない日本の稀覯本『猫舌男爵』を巡る外国人翻訳家ヤンと関係者の話。ヤンの余計な気遣いで家庭崩壊しかけているコナルスキ氏が、最後に一応の平穏を取り戻してよかった。「睡蓮」手紙を遡るごとに女性画家の真実が見え、その生涯を噛みしめながら、彼女の美術展に赴いた気持ちになる。「太陽馬」ロシア内戦下で、少尉に随従するコサック兵の秘話。物語を託された側は生き抜いて欲しい。他二作品。