あらすじ
一国の今は過去を抜きに語れない。華やかに語られることが多いフランスも例外ではない。第一次大戦の激戦地では現在も、不発弾と兵士の遺体で住めない村がある。第二次大戦中のユダヤ人の強制連行への加担の事実は、その重さゆえに負い目としてフランス人の心にのしかかる。アルジェリア戦争を戦った現地兵「アルキ」への冷たい処遇は人権の国の根幹を揺るがす。それらが「悪に抵抗した少数の英雄」レジスタンスの記憶にすがりたい心情につながっている。歴史に苦悩するフランスの姿を、多くの証言から紐解くルポルタージュ。
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Posted by ブクログ
20世紀フランスの歴史の暗部をたどるルポ。
一次大戦の不発弾処理で今も犠牲が出ていることや,ナチ占領下の対独協力,ノルマンディー上陸作戦後に皆殺しにされた村,アルジェリアからの撤退で見捨てられ,虐殺の憂き目に遭った現地協力者たち…。
知られざる歴史,思い出したくない,否定したい歴史がある。
今と未来が過去の延長にある以上,歴史問題というのは世界のどこにもあるのだし,それぞれ真摯に向き合っていかなくちゃいけないんだなと感じた。
Posted by ブクログ
戦争は良いことなんてひとつもないと心底思う。人を殺すのと同じ。フランスは華やかな憧れの素敵なパリだけじゃなく、たくさんの見えない過去を持っている、当たり前だけれど。ナチスに自ら協力しユダヤ人を絶滅収容所に送ったペタンや、アルジェリア戦争のことはこの本を読むまできちんとは知らなかった。見えないふりを、見ないふりをしても過去は消えないし、それならば直視してそこから良い未来へ踏み出すのが人間の賢さなのではないか、と思う。世界から戦争やテロや、差別をなくしたら何が残る? ほっといても地球は温暖化していて終わりに向かっている今、私たちがしなくてはいけないことは争ってばかりでうんざりする世界を変えることじゃないかと強く強く考えた。