あらすじ
SNS、クラウドソーシング、人工知能、フェイク・ニュース、管理・監視社会、電脳世界――
現実のリアルな事象をモチーフにした話から、近未来、超未来を舞台にした物語まで、
SF、ブラックジョーク、パスティーシュなど様々なジャンルを横断する短篇集。
小説デビュー作品『止まりだしたら走らない』が各所で話題となった
今注目の若手作家が鋭い分析力と想像力で紡いだ17篇。
言語学者の川添愛による解説も収録。
《目次》
01 猫を持ち上げるな
02 カステラ
03 この商品を買っている人が買っている商品を買っている人は
04 カスタマーサポート
05 天才小説家・北美山修介の秘密
06 紫色の洗面器
07 みちるちゃんの呪い
08 1日5分の操作で月収20万! 最強ブログ生成システムで稼いじゃおう
09 過程の医学
10 習字の授業
11 ピクニックの日
12 亀ヶ谷典久の動向を見守るスレpart2836
13 GIF FILE
14 有名人
15 最後の1日
16 同窓会
17 クラムゲートの封は切られる
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
私たちそれぞれが持つ普通と、社会全体の普通。ここには大きな認識と感性の違いがあるなと考えさせられた。主人公の立ち位置から見える景色と、読者として数歩下がって見える景色の違いに驚嘆するばかりだ。
Posted by ブクログ
現代の技術で、今後ありそうな世界が展開される短編集だった。
SNSやスレッド、仮想世界や別惑星の生命体など、あらゆる物事において少しホラーというか、エンタメというか、そんな物語だった。
実際にあってもおかしくない話が多く、すごく感情移入させられた。
特にAIがレコメンドされた商品を送ってくるという物語に関しては徐々に怖くなってくる主人公に感情移入してしまって鳥肌が立った。それを指摘してくる人が性格等がすごく似ていた元カノという設定も怖さを倍増させていた。
面白かった。
Posted by ブクログ
品田遊氏の作品を読むのは2回目。インターネット世界の危うさ、虚しさを巧みに描き出している。もしも星新一先生がネット社会を書いたらこうなるかも、と言ってしまうと乱暴であるとは思うが、読み終えた後その感想がまず浮かび上がってきた。『名称未設定ファイル』のタイトルどおり、各章がパソコンに格納されたファイルを読み出してきている気分になる。無題でもなく、乱雑でもなく、でも名前を付けるにはちょっと、といったような感覚の17の短編集。たいへん興味深く読めて、楽しかった。
Posted by ブクログ
良かった。
2chのスレッドやAIの文章生成、SFなど色々。
「最後の1日」が1番好きだった。多分ありがちな話だけど、こういうコミュニケーション不全の話が好き。
「過程の医学」は、恐山の後の著作に通ずるものがある。
これが「品田遊」
退廃的で、それでいて創造的。
自然に紛れた不自然。
こんなにも心地良い不快があっていいものでしょうか。
筆者が限りなく中立で、変な色気や飾り気を持たないことばでできているので、展開に身を委ねて読めます。
星の数ほどある現代の小説の中で一際異彩を放つ品田遊の「世界」を是非お楽しみください。
Posted by ブクログ
品田遊による17編の短編。ネットやSNS、AIなどを題材にした作品集。
ニヤリとするものからうっすら怖いものまでどれも面白く読めるんだけど
皮肉だな大げさだなと思いつつ、いやこれもう「あるある」なのかも…
SF好きな私は「クラムゲートの封は切られる」がお気に入り。
Posted by ブクログ
インターネット社会の複数面を切り取ったような短編集。 筆者は好きだが小説家としての実力は知らなかったため、不安半分であったが、なかなか斬新なアイデアに溢れた作品で、非常に楽しめた。
Posted by ブクログ
(2025/01/29 1h)
構成を楽しんでいる本。
二段組になっているのは本格派SF。
本をサカサマにして某掲示板風のストーリーを読むのも面白かった。
短編と掌編が交互に編んであるので、とんとんテンポよく読めるので本に苦手意識ある人も読みやすい。
好きなのは
「カステラ」「カスタマーサポート」「天才小説家・北美山修介の秘密」
「みちるちゃんの呪い」→「同窓会」
「1日5分の操作で月収20万! 最強ブログ生成システムで稼いじゃおう」「習字の授業」「亀ヶ谷典久の動向を見守るスレ Part2836」「クラムゲートの封は切られる」
17篇中9篇の好き
Posted by ブクログ
全体的にブラックユーモア漂う短編集。
内容が良いのもそうなのだが、話毎に表現手法がガラッと変化したりする様は、「文字表現」というものへの挑戦といった印象を受けた。
現代社会、とりわけインターネット社会ならではのストーリーであり表現だなと感じた。
同作者の他の作品も読みたいと思える短編集だった。
Posted by ブクログ
⚫︎受け取ったメッセージ
ネット、SNS時代のブラックな短編17編。
ダ・ヴィンチ・恐山さんの面白さが
存分に発揮されている!
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
非凡な活躍を続けるダ・ヴィンチ・恐山こと品田遊がネット世界の虚無を抉り出す幻の名小説集、読者熱望の文庫化!
「本作は、シャープな描写とブラックな笑いが目立つ。理由の一つはおそらく、インターネットという道具を手にして自信たっぷりに行動する人間の空虚さが描かれていることにあるだろう。」 川添愛(解説より)
他愛もない投稿を火種に無尽蔵に炎上が広がるSNSの滑稽さを映し出す「猫を持ち上げるな」、一億総発信者時代の闇が垣間見える「紫色の洗面台」ほか、ダ・ヴィンチ・恐山名義でも活躍する作家・品田遊がネット世界の虚無をシニカルに描く短編17本を収録。
⚫︎感想
個人的に特に面白いと思った短編。
どれもあり得る!と思った。エンタメ最高。
03 この商品を買っている人が買っている商品を
買っている人は
05 天才小説家 北美山修介の秘密
08 1日5分の操作で月収20万!最強ブログ生成システムで稼いじゃおう
12 亀ヶ谷典久の動向を見守るスレ
Posted by ブクログ
著者がYouTubeでやってるラジオを普段楽しく聞いているので元々気になってたやつ。
文庫になったなら!って購入して、楽しくてすぐ読み切った。
サクサク読めるショートショートとドライな感じの文体が自分には合ってたし、後味の悪い系の話もそんな後引かないタイプやつでちょうど良かった。
これを機にほかの作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
ネットとそれに関する短編が17編載った小説。
今この瞬間も広大なネットの大地のどこかでこの小説のような事が行われているかもしれない、読みながらそんな気分になる話ばかりだった。
TwitterなどのSNSに触れる機会が多い人ほど楽しんで読めるような気がする。
どこか薄ら怖いような滑稽なような、不思議な読後感が残るものが多く好みの小説だった。
Posted by ブクログ
インターネットを通して人間のリアリティを見る、そんなことを読みながら考えた。
特に、「名称未設定ファイル_01猫を持ち上げるな」は、ツイートがバズったことから始まる連鎖的な話なのだけど、つい先日ツイートがバズった自分としては、猫を持ち上げたツイートをしてしまった人が炎上し晒しに遭うのが、一歩間違えば自分もこうなっていたかもしれないと他人事だとは思えなくて背筋が凍った。
インターネット怖い、でもインターネットを通してうっすら表れる何か人間の根本精神はとてつもなく魅力的なんだ。
元祖アルファツイッタラーの品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)氏にしか書けない小説だ
Posted by ブクログ
インターネットの空虚さや、技術が発展した先にありうる少し怖い未来などがシニカルに描かれていて、身につまされました。短編でとても読み進めやすいので、是非一度手にとってもらいたい一冊です。
Posted by ブクログ
ざんちによる、ネット世界の虚無をシニカルに描く短編17本。
シャープな描写とブラックな笑いが目立つ話が多い。
架空の話って分かってはいるけど、あまりにもリアルで、実際に「ありそう」な話ばっかり。
乙一をインターネット漬けにした感じの小説だった。
「この商品を買っている人が買っている商品を買っている人は」と「習字の授業」が好き。
一話一話が本当に短いから、さくさく読めた。
Posted by ブクログ
いつもYouTubeで見ている人の本業が作家ということで、いつか読んでみたかった本。
タイトル通りにどんなジャンルなのかを一言では言い表せない短編集だけど、ひとつの共通項が「嫌な人間臭さ」というか「人間は嫌で臭いものだ」という意識を感じるところかなと思う。
自分自身も個人として認識していない大勢の「人間」は無関心ではなくて嫌い寄りなので、あまり感じては行けない類の安心感を得られた。それは良かったとは言えないかもしれない。
Posted by ブクログ
「ネット世界の虚無をシニカルに描く」という言葉に惹かれ購入。
一見すると、いきすぎな思考もありえない世界線も読み進めていくと、案外近くで起きているような出来事なのではと思えてしまう不思議な感覚に魅了されていきました。
ネット世界のお話も多く、テンポ良く進んでいく会話がとても読みやすかったです。GIF動画や習字、ネットのスレッドなど身近なものを題材にしつつも想像を超えてくる展開に、次は何の話なんだろうと頁をめくる手が止まりませんでした。これこそ短編集の醍醐味なのではと。
川添さんの解説も含めて満足のできる一冊でした。
Posted by ブクログ
どれもちょっとブラックな含みのある短編集。
話の中に出てくる、Twitterのトレンドとかネットニュースの見出しとかに思い当たるものが多くて面白かった。
全部インパクトが強かったが、GIF FILEが印象に残ってる。好きかどうかは別として、1回持った希望が虚しさに変わっていく感じがガビガビのあのありふれたGIFファイルを思い起こさせた。
名称未設定ファイルなだけに、どの本棚に入れたらいいかわからず「その他」を作った。今まではどうにかどれかに入れてきたが、今後は悩んだものを次々「その他」に入れてしまいそうで不安。
Posted by ブクログ
星2ではないけど、星4でもないかな。。。
「作者ならではの視点」の味はするし、短編集としても楽しく読めるし、読んで良かったとも思うが、
一生手元に置いておきたい一冊かというとそんなことはないかな…でした
Posted by ブクログ
掌編含む17個の話が収録された短編集
SFっぽいものあり、意味が分かると怖い話っぽいものあり、身近なネット社会が垣間見えるものあり
全体的にインターネットの世界で長らく活躍している著者らしい見方の話が多くて楽しめました
Posted by ブクログ
すらすら読めました。
ただ自分の理解力が足りないのか、よく考えたり調べないと意味がわからない短編もあったり…。
内容はとても面白くて、こんな未来がや現実があったら嫌だなとモヤモヤするところも。
Posted by ブクログ
作者と読者は切り離して評価すべきだと思うし、本書にもそういった内容をテーマにした短編が収録されていたが、それでもあの書き手から生まれて来たんだなあ、ということを意識せずにはいられなかった。インターネットにどっぷりな筆者らしく、そこで話題になりがちなテーマを中心に扱った短編が多かった印象。そもそも、作者と読者を切り離すべきだ、みたいな話もまた、SNSで良く見られる議論でもあるし。
差し詰め、ネットの嫌なあるある博覧会、といった調子だな、と思って読んでいた。そうでない、もう少しSFに振ったものも幾つか収録されていて、それはそれで面白かった。
ただ、「みちるちゃんの呪い」はあまりインターネット的ではないなあ、と思って読み、またそう考えたことで、それだけにとどまらない短編集なのではないか、と思い始めた。
それまでの本作の全体的な感想は、扱っている題材は面白く、着眼点も鋭いものの、いずれの話もどうにもオチが弱いな、というものだった。それは、傾向としては通して読み終えた今でも変わっていないけれど、ひょっとすると、日常生活を送る中で、名前をつけることのできない程度の、小さく、それでいて複雑な感情のスケッチこそが、本作を貫くテーマなのではないかと今は考えている。そうした、なんとなくもやもやした一瞬の気持ちを切り取って、短編という形で保存してあるからこそ、『名称未設定ファイル』と名づけられたのではないかな、と。
もの凄くハマる一冊ではなかったけど、そういう試みのもとで書かれたのなら、良いなと思う。巻末の解説の洞察も面白かった。