【感想・ネタバレ】わざわざゾンビを殺す人間なんていない。のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

この人は明らかに、作品、作品で自分の作風、文体を自在に変化させている。おそらく遠慮なく物語を書かせれば、とんでもないものを書くのではないか富と思うのです。
ゾンビという設定を科学の中に落とし込み、それが出現した社会の法体制、揺らいでしまった「死の基準」を司法がどうするのかということまで書いていきます。そしてキャラの設定も抜群。主人公キャラについてはある短編を読まないこと。それから、なんでこんな表紙絵にしたんだ!ということで表紙絵をあまり見ないこと。これが大事です!
理系出身で博覧強記の方だと思います。そしてその知識をドブにすてない。知識が邪魔になるような読者対象を想定している場合、持っている知識を一切つかわないで、なんだ?って話も書ける。何冊か読んで、底知れぬ筆力に驚くばかりです。
SFミステリという中でも、屈指の名作ではないかと思います。ラストはある意味感動的。
ただ、描写の筆力が高いうえにキツイ場面を書きまくりますので人を選びます。でもって、ギャグセンスもある「ゾンビの踊り食い」ってなんだよ!って突っ込みましたわw

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2021年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ゾンビウイルスがまん延した世界。
描写がグロテスクで飛ばし読みしてしまったところもありましたが、遺体活性化現象、活性化遺体とゾンビという言葉を用いず、これ以上うまい表現があるだろうかと変なところに感心してしまいました。

ゾンビウイルスが世界に与えた影響、経済や特に食料問題などのことも細かく設定としてしっかり描かれており、実際に同じようなことが起こったらこうなるんだろうなあと思いながら読んでいました。

瑠璃のキャラクターも魅力的でした。
瑠璃と沙羅の2人が話す内容から、瑠璃は沙羅のもう一つの人格なのではないかと思っていたのですが、彼を家に招いたシーンで彼の肘が瑠璃の顔に触れた的な描写があり、手術の跡があるから服を脱ぎたくないと沙羅が言うシーンがあったりしたものの、どういうことかわからず、ラストで理由がわかった時はそういうことかー!と思う気持ちと、それはわかんないよーと思う気持ちが交錯しました笑

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2022年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

根幹を成すネタバレになるけど、これピノコの話だ。彼女の存在意識して読むと、すべての感動がネタバレになってしまうので言いたくはないけど、ピノコの話だ。

ゾンビの存在が認知されている社会。その認知が食料として浸透している社会。食人という倫理観が崩れていく過程が淡々語られている部分に、静かな恐怖感じます。あぁ、人間ってどんなタブーでも理屈さえつければ、それがマジョリティになってしまえば、順応していくんだなあ、という怖さ。
自分たちとは違った倫理観の社会の中でも、さらにきわどい感覚を持つゾンビイーター。ただ、そんな感覚の持ち主でも殺人犯に対しては持つ恐怖感は変わらないというのに、殺人を犯すということの重さ感じました。
踊り食いの残酷さ、パーシャルゾンビ食らいの凄惨さ。その二つを通じて倫理観を超越しているように見えただけに、余計にね。

身内という言葉に対して強い反感を示す場面。これもピノコということを鑑みて読むと、なるほどと頷けます。覚悟がない、というのもね。
でも、最後はちゃんと身内になれてよかったのではないのでしょうか。
なれたというか、ここからがスタートなんだけども。

ま、お幸せに。

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2017年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〈140文字要約〉
ゾンビ化した一人の男を「彼は殺されたのだ」と主張する八つ頭瑠璃。〈体の一部がゾンビ化する〉パーシャルゾンビが事件に関わっていると確信した瑠璃は、ゾンビの研究を行う公的機関や、ゾンビの踊り食いを楽しむ女性に接触し推理を組み立てていく。両親の仇を打つために真実を暴いた瑠璃は涙を流す。

〈140文字感想〉
ゾンビとミステリが切っても切れぬ時代に突入していこうとしているのか、と。そもそもゾンビと密室は相性がいいし、なんならゾンビ自体密室のようなものだし、と思いきや意外にも密室で殺されたのはゾンビの方だ。あれよあれよと展開も推理も進むうち、気づけば僕はゾンビのように文字を貪るのでした。

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2019年11月28日

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