あらすじ
『質問が三つあります。彼女はいますか? 煙草は吸いますか? 最後にあなたは――』突然見知らぬ女にそう問いかけられた雪の日。僕はその女、大野千草と夫婦になった。互いについて何も知らない僕らを結ぶのは【三つ目の質問】だけ。まるで白昼夢のような千草との生活は、僕に捨て去ったはずの過去を追憶させていく――大嫌いな母、唯一心を許せた親友、そして僕の人生を壊した“ひきこもり”の兄と過ごした、あの日々を。これは、誰も愛せなくなった僕が君と出会い、愛を知る物語だ。
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Posted by ブクログ
他人を愛することが出来なかったふたりが、愛を自覚した結果、別れを決断する。好きだからこそ、相手の為に別れるしかない。何とも皮肉な結末に、とても哀しい気持ちになった。
それでも、きっと啓太も千草もこれから幸せな家庭を築いてくれるだろうと期待が持てる結末に、ほんの少しだけ安堵しました。
Posted by ブクログ
お互いに足りないものがあって、それを埋めるように結婚した二人。そして、互いに幸せになるために別れた。
この別れを悲しいものと捉えるか、幸福への一歩と捉えるかは人それぞれだと思うが、私は前者で捉えた。
折角、出会えたのだから、この二人で幸せになって欲しいと心から願った。
Posted by ブクログ
過去と現実のお話が交互に展開されていくタイプの物語。
この過去の話からどうやって現実の主人公につながっていくんだろう、と考えながら読めたのが楽しかった。
物語途中にある登場人物それぞれの心理描写も、ぐちゃぐちゃしていてリアルだなと思った。
タイトルにいろんな意味を持たせていておもしろいと思った。ひきこもりである兄の弟という意味、ひきこもっている弟という意味。
でもこれらがすべて、「だった」という過去形の表現がされていることは、この物語の中での救いであって、啓太というひとりの人間の成長なのだろうなと思う。
Posted by ブクログ
もし啓太が弘樹に「学校に行け」「仕事を探せ」なんて言わなければ、あんな風にはならなかったのに。
もし弘樹が昔の弘樹だったら大人になっても昔の弘樹。
千草とも一緒に幸せになってほしかった。
そういえば、最後の所では啓太は誰と結婚したんだろう。
新人社員の白井麻美?
それとも、千草?
相手が千草じゃなくっても・・・・・啓太と千草にはずっと幸せでいてほしい。
Posted by ブクログ
タイトルから引きこもりの弟がいる兄か姉のお話だと思ってたのですが、〝引きこもりの兄〟がいる弟のお話でした。
序盤での3つ目の質問が気になって夢中で読んでしまいました。過去と現在が交互に描かれているのですが、心が痛い。過去がとにかく辛いです。親族に同じような方がいたので何となく分かりますが、そうなんですよね。長男だから、今は辛いだけだから…貴方が言うから…。妙にリアルで読むのがとても辛かったです。
愛ってなんだろうね。難しい。最後、啓太は千種とお別れして別の奥さんと…お母さんとも和解して子供もいて…幸せそうでよかったですが、千種と幸せになって欲しかったです。
Posted by ブクログ
誰もがある程度共感しうる部分。
- 共依存。
- 周りの人に対する反面教師的な考え方。
- 何でもない日常への渇望?
- 幼少期の経験が自分の性格にもたらす影響。
- 他者を愛することと、道具や自分の足りないものを埋めるための道具として利用することの違いとは。
見たいなものがあるので、ここら辺に少しでも考えがある人は共感しやすいのかなぁと。
ストーリー自体は、割かし、シンプルなので、伏線祭りみちな小説が好きな人にとっては、少し物足りないかもと思ってしまうかもしれません。