あらすじ
・自動運転車によって、都市の車両数は90%減少する。
・誰もがARグラスを使用するようになり、その技術はやがて眼球自体に組み込まれる。
・プライバシーは、飛行機のビジネスクラスや別荘のように、富裕層だけの贅沢品になる。
...etc.
グローバルエリートを中心に、世界200ヶ国以上で読まれている英『エコノミスト』誌が、人工知能(AI)、バイオ、農業、医療、エネルギー、軍事、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)など、20の分野の「2050年のテクノロジー」を徹底予測! 未来のテクノロジーは経済・社会・人間の幸福にいかなる変化をもたらすのか!?
【目次】
はじめに 破壊的で大規模な記述の変化「メガテック」
第1章 日本のガラケーは未来を予測していた
第2章 ムーアの法則の終わりの先に来るもの
第3章 第七の波、AIを制する者は誰か?
第4章 なぜデジタル革命では生産性向上がみられないか?
第5章 宇宙エレベーターを生み出す方程式
第6章 政府が「脳」に侵入する
特別SF1 傷つく自由(アレステア・レナルズ)
第7章 食卓に並ぶ人造ステーキ
第8章 医療はこう変わる
第9章 太陽光と風力で全エネルギーの三割
第10章 車は編まれ、住宅は印刷される
第11章 曲がる弾丸と戦争の未来
第12章 ARを眼球に組み込む
特別SF2 博士の救済(ナンシー・クレス)
第13章 人工知能ができないこと
第14章 プライバシーは富裕層だけの贅沢品に
第15章 10億人の経済力が解き放たれる
第16章 教育格差をこうして縮める
第17章 働き方は創意を必要とされるようになる
最終章 テクノロジーは進化を止めない
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
興味深い未来像やその材料となる現在の技術開発の状況がわかった。
ナノテクノロジーとバイオテクノロジーにおける革新が重要な影響を生む。脳とデジタルデバイスの直接接続により人の感覚と経験は理論上は宇宙空間にまで拡大し、食糧問題は人造肉と野菜工場で解決し、医療はカスタマイズされた幹細胞による治療とスマートデバイスとスマートホームによる健康管理が行き渡り、エネルギー問題には衣服やカーテンに実装可能な太陽電池の開発や家庭に分散配置される蓄電池によって再生可能エネルギーの不安定性を吸収する解決策が示され、軍事では曲がる弾丸や昆虫型スパイロボットや犬型攻撃ロボット(落ち葉や木材を燃料とする)の開発と兵器の無人化による変質があるほかサイバー空間で勝敗が決する次元の変革も訪れる。人々のあらゆる活動とデータが収集され記録され「監視」されると同時に必要なものや欲しいものが然るべきタイミングで届けられるという便利さも手に入れることになる。AIのインパクトとして、人にとって代わることはないが、多くの人の雇用に影響があることは間違いがなく、いかに使いこなし、新たな人間の仕事を見つけていくかが極めて重要である。
技術はそれ自体意思をもつものではなく、人がそれを対症療法的に利用するものである以上、社会の仕組と人の認識をデザインする必要があるということが強いメッセージとして伝わってきた。
Posted by ブクログ
良書 現実に進行している事項をもとに”予測”している。
ワードを拾っていくだけでも参考になるとおもいます。
自分がハイライトした点は次のとおりです。
・ビックデータ(IOT,医療AI)
・スマホへの多くのセンサーの実装
・医療情報と創薬との連携
・新素材の開発から、CADCAMへの流れ
・ナノテクロノジーと、電池の改良
・教育のデジタル化と、コストの低減
・遺伝子組み換えによる、食料の生産性向上飢餓の解消 等
Posted by ブクログ
世界一有名な経済誌と言ってもよい、英「エコノミスト」誌の著名記者などが描く2050年の未来。技術ベースで語っていて、現時点から垣間見える未来を興奮と共に想像させる一冊。
とはいえ、それぞれの観点で条件付きとなっていることが、ただの絵空事ではない内容に仕上がっている。面白かったのは20,21世紀を通じて最大の技術的転換点はアンモニアの抽出だというくだり。結局ここから現代の技術進化ははじまっているという。
Posted by ブクログ
AI、遺伝子、医療、農業、エネルギー、VRなど20の分野に分けて、技術的な観点から2050年がどんなふうになっているかを大胆に予測した一冊。
基本的にテクノロジーの進化に期待しつつも、テクノロジー自体には進化する意図はなく(AIにおけるシンギュラリティはないと断言)、人間が新しいテクノロジーをどう受け入れ、社会、生活に反映させることができるかがカギと説いているが、これには同感。
遺伝子治療により医療が急速に進歩し、食糧難は避けられること。AIのサポートによって、長期的には人間の暮らしは最適化することなど、テクノロジーへの期待に満ちた予測が並ぶ中、環境破壊、温暖化については、すでに手遅れとの悲観的な見方がされている。温暖化、環境破壊、そして戦争という大きなリスクに対して、テクノロジーがどのくらいソリューションになり得るかが、2050年に向けた課題だと認識した。この先の人生後半戦、自分なりにこういったテクノロジーに少しでも関わっていければ、と少し気持ちを新たにした。
Posted by ブクログ
技術の進歩、社会、格差、観念など様々な側面から、2050年がどうなっているかを推測するもの。
基本的なスタンスとしては、訳者のコメントにもあるとおり非常に楽観的なものとなっている。特にエネルギー政策に関しては、エネルギーは潤沢になりかつ地球環境にも悪くないものである可能性がある、というもの。
一方で、テクノロジーによる「格差」の問題にも踏み込んでいる。政策立案者に適当に届かないものであれば、現状のとおり格差を広げ続けるものになる、というもの。
特に「教育」については重要で、労働生産性、賃金との兼ね合い、業務範囲の変化から、今後ますます重要になると思われた。加速する世界の中で、いかに取り残されず、かつ、あくせくせず。そうしたバランスを取っていくためには、やはり知恵が重要になる。
Posted by ブクログ
技術の観点から未来を予測した一冊。AIに関してはまだ割れている感じなのが興味深い。個人的には「世界は効率性と引き換えに因果関係を諦める」「テクノロジーは全て応急処置。ニーズを満たすと同時に新たなニーズを生み出す」がビッグデータ・テクノロジー過信への戒めとして印象に残った。
Posted by ブクログ
テクノロジーの未来を予測する際に目を向けるべき3つのこと。
1.過去の類似事例
歴史は繰り返す。
2.現在の限界的事例
特定の集団や国だけで広がりつつある事例のこと。
3.SFに描かれた未来
ムーアの法則はまもなく終焉を迎える。その後はプログラミングの質の向上や、専門性の高いチップの設計が進む。
コンピューティング能力はクラウドに置かれ、必要に応じて使うようになる。
音声で操作するコンピュータが普及する。また、ウエアラブル、電子コンタクトレンズが出現する。
これまでコンピューティングテクノロジーには6つの波が訪れている。
1.メインフレームとミニコンピュータ
2.パソコン
3.インターネット
4.クラウドとモバイルコンピューティング
5.ビッグデータ
6.IoT
そしていま7つ目の波はAI
19世紀後半のイノベーション。電気、自動車、水道、近代医療はその後、1世紀に渡る急速な生産性向上をもたらした。新しいテクノロジーによる経済成長はこれから本番を迎える。
また、経済指標をテクノロジーの変化に合わせる必要がある。
人間の脳がインターネットと直接繋がる世界。また、人間の組織を3Dプリンターで作られたものと交換する世界など考えられる。
人口増加に伴い、食料問題が起こる。それを解消するために、農場は機械化、自動化が進み、細胞培養による動物性食品の製造が進む。
医療分野にAIが入り、診断だけでなく、難易度の高い手術まてわ行うようになる。また、ウエアラブル端末やスマートホームが健康上のデータを収集するので、医療機関へ通う必要がなくなる。
脱化石燃料がこれから進む。
製造現場に3Dプリンターが普及する。車は編まれ、住宅は印刷される。
軍事にも当然技術の進歩は反映される。
避けられない事実だが、恐ろしい。
オンラインが普通になり、スマートフォンはARメガネになったり、スマートコンタクトレンズになる。
こうしたテクノロジーは監視社会とトレードオフを逃れられない。
人間が、スマートテクノロジーの使い方を誤ることこそが、重大なリスクである。
AIの成功は、我々がAIに親和性の高い環境を作っていけるかにかかっている。つまり、世界がAIに合わせる。
イエスかノーかを常に正確に判断するアルゴリズムは構築不可能であると証明されている。つまり、コンピュータの限界はいくつか研究で、示されている。
AIは記憶と作業は得意。ただ、思考はできない。
AIによる変化の恩恵は万人で共有されるべきであり、雇用破壊などのコストは社会全体が引き受けなければならない。
プライバシーは富裕層だけの贅沢品になる。
テクノロジーが経済や教育の格差を縮める。
テクノロジーは進化を止めない。
先を見据えた話はその分振れ幅も大きいと思うが、刺激になる。
Posted by ブクログ
最先端の現場を取材している編集者から、科学者の権威まで様々な著者が執筆していて非常に面白い。楽観的な予測が中心なのは投資を活性化させてイノベーションの好循環を理想としているからかと想像。しかし軍事面に関しては西側の自由経済民主国が優位性を持続できるか、対テロも含めて新たな局面を迎えると指摘。SFも重要な要素と認識している点も好ましい。歴史についても多くの洞察があり、蒸気機関の発明が産業革命を起こしたのは認識違いと指摘するなど、的を得ている。
本書に出てくる著者や、紹介されている書籍を改めて読んでみたいと感じた
世界的に自然エネルギーへの投資・開発が躍進しており、本書でも日本は原子炉の廃炉に進むと予測しているが、腐敗に毒された経済産業省によって原発推進という有り得ない事態が生じている。無能政府によってどんどん取り残されて行くのが心配
過去のテクノロジーに対する賛否両論についても面白い、古代ギリシアでは紙に書いた文字が懸念の対象だったり、活版印刷でも同様で、ナポレオン時代の機械式電報システムでも詐欺まがいの悪用をする事例があったり・・
AIでのシンギュラリティは起きないとの主張や、技術革新に対するフェティシズムは幻想だとの見解は、やはりそうなのか・・
Posted by ブクログ
今後の世界を形作るうえで核となる力はなにか?
本書はそれを見出そうとしている。
本書は3部構成。第1部 制約と可能性、第2部 産業と生活、第3部 社会と経済。第1部では、テクノロジーの未来の大前提に関わる問題、変化、制約の要因を考察する。
第2部では、さまざまな基幹産業にテクノロジーがもたらす変化を考察する。特に農業が重要だと著者は語る。
第3部は、これからでてくるテクノロジーが、社会的、政策的に与える甚大な影響についての考察である。
テクノロジーがもたらす変化に、企業や経済全体はどのように対応していくべきか? 2050年まで我々が直面する最も重大な課題の一つである。
自動運転自動車が街を走り、人造ステーキなどによる食品の人造化により食糧難は起きず、医療は、学習機能を持ったAIが外科手術まで行う。全ゲノムから難病を診断。CTIやMRIなどの画像診断システムは分子イメージングが鍵を握る。
エネルギーは、再生可能エネルギーが増加。太陽電池と風力で全エネルギーの3割を占める。車はBMWのように編まれ、住宅は印刷される。
そしてAR(拡張現実)を眼球に組み込み、スマホは要らなくなる。
働き方は創意を必要とされる。
組織が生き残る鍵は「適応力」。
ミドルスキルは駆逐される。短期的には、スキルセットやキャリア開発。
優秀な人材は、正社員ではなく、フリーランスを選択する。
Posted by ブクログ
未来はすでにここにある、均等に行き渡っていないだけだという引用が印象的。技術革新は今後も積み重ねを繰り返し直線的に進んでいく。だからこそ本書のような予測が成り立つのだろうか。
Posted by ブクログ
1965年 「ムーアの法則」 の後押し
1974年 IBMロバート-デナードの「デナード則」
コンポーネントを小型化するほど、チップは高速、省電力になり、製造コストは低くなる。
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ムーアの2つ目の法則
チップの工場であるファンドリーのコストは4年ごとに倍増する。
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1993年 コンピュータ科学者、SF作家のヴァーナー•ヴィンジがシンギュラリティと表現した。
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●7つの波
第1の波;メインフレーム、ミニコン
2 ;パソコン
3 ;Web1.0
4 ;Web2.0
5 ;Big Data
6 ;IoT
7 ;AI
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1960年代にアラン•チューリングと共にブレッチリー• パークの暗号解読センターで活躍したアービング•ジョン•グッド
知性の爆発的進化。シンギュラリティ。
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CAPTCHA
Completely Automated Public Turing test to tell Computers and Human Apart
Posted by ブクログ
様々な技術をプロコンで評価していて、良書。ただ、人間が技術を過信せず、自然を謙虚に畏怖すべきという視点が欠けていて、インフラ整備に対する楽観的なところがあると感じた。
Posted by ブクログ
2050年という今から30年あまり先を見据えて、現在の技術とその展望をまとめた本。
雑誌エコノミストの手によるものですが、同誌のライターだけでなくノーベル賞受賞者やメリンダ・ゲイツが寄稿しているのが面白いところ。幕間にはSF作家の手による未来予想図的な短編が2編あり、そこまで本編と密接にリンクしている印象は受けなかったけど、読みやすさを意識した構成には好感が持てます。
全編を流れる考え方としては、基本的に未来はポジティブだ、というもの。
技術面でもムーアの法則はもう持続できないよね、など色々な問題はありそうなのですが、テクノロジーの変化・発展は基本的には続くという考えで、ムーアの法則が終わろうと、別のアプローチとの組み合わせや量子コンピュータの登場などを踏まえて賢くやっていけば効用は得られるよね、という論が展開されていました。
それぞれの章を別々の著者が担当していることもあって、読みやすさも書かれていることもまちまち。2050年の技術を語るにあたって必要な分野としては網羅されている感はあるのですが、纏まりはあまり無いように感じました。
(だからこそ各章の末尾に「まとめ」がついたのでしょうか。まぁこの部分だけをインデックス的に読む読み方もあるのかもしれません)
個人的に興味が湧いたのは第17章の「働き方は創意を必要とされるようになる」というくだり。人間よりもAIの意思決定の方が優れている場合も出てくる中で、人間がするべき意思決定はより重要性を帯びるものの、ただし中間管理職的な役割はあまり必要なくなってしまう。その中で能力開発がどうあるべきか、というくだりは参考になりました。
さらっと流し読みするには良い本で、ここから特定のテーマを深く学ぶきっかけになるかもしれません。
Posted by ブクログ
出版されてから数年経って読んでみても古さを感じない鋭い考察。テクノロジーが融合し、人間の能力を凌駕した時に、テクノロジーと人間の関係は。哲学的なニュアンスも少々。
Posted by ブクログ
2050年の未来をエコノミストの記者が予測した本書
オムニバス形式
データなど量が多くて読み切るのが大変だった。
1章ごとにある章末まとめを読んで気になるところをpick upして読んだほうが良さそう。
- アジア圏(中国、インド)の台頭 (途中からの鈍化)
- 世界の高齢化(日本筆頭)
- 日本のプレゼンスの減少
などが書かれていた。
人工が減り、インパクトが弱くなっていく日本の立場について考えされられた。
(突出した高齢化はチャンス?)
あと、5Gなどの台頭による「どこでも」働ける社会では逆にどこで働くかが重要視される社会になる
という逆説も面白かった。(起業家はシリコンバレー、エンジニアはインドなど特化地域に人がますます密集していく構図になるとの見方)
Posted by ブクログ
自動運転タクシーの登場によってほとんどの人は自家用車を持つ必要がなくなり、典型的都市の車両数は90%減少する。駐車場に使われているスペースが住宅や公園に転用される。
太陽光発電装置の設置は、2000年から2014年まで年間44%のペースで増加した。世界の総発電量のうち、太陽光発電は1%、風力発電は4%を占める。
AとHが結婚すると、Aは家事のほとんどを担うようになるが、融通がきかず頑固で、その性格が変わることは期待できない。Hは次第に怠惰になり、Aに依存するようになっていく。その結果、Aが関係を支配してHの行動を歪めていく。
ロボットがきちんと機能できる境界を定めた空間であるエンベロープは、住宅やオフィス、街中に浸透し、世界全体をエンベロープ化してきた。それにより、我々の物理的環境が決まり、その環境に適用せざるを得なくなる。
チューリングモデルとは、数学的論理をもとにコンピュータの能力の限界を示すモデル。