【感想・ネタバレ】ようこそ授賞式の夕べにのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

書店大賞事務局に不審なFAXが届く。
8年前に閉店した、金沢の飛梅書店からの告発状のような脅迫状のような文。
一体だれが何の目的でこんなものを送り付けたのか。

福岡の書店バイトの子とともに杏子と多絵が、謎を解くために奔走すればするほど謎は増し、それとは別ルートで同じ謎を追っていた、別シリーズの出版社営業員たちの調べた事実を突き合わせた時、初めて謎は真実の姿を現わしたのだ。

本筋の謎よりも、その背景である書店大賞(もちろん本屋大賞のこと)の内幕が興味深かった。
本が売れない今、どうやって本を売るかという気持ちから、本屋さんたちが立ち上げたこの賞は、回を重ねるごとに注目を浴び、規模が大きくなり、反面アンチの意見も大きくなってきた。

私ももちろん、「え?これが?」と思う本がなかったわけではないけれど、要は推薦する人が対象とする範囲に私が入っていなかったということなのだと割り切ることにしている。
若い人にぜひ読んで欲しい本、がメインなのだろう。
だってある程度年を経た読書好きは、特に勧められなくても読みたい本があれば読むからね。
もちろん作家と私の相性が悪くて面白く読めないこともあるけれど。

それよりも気になったのは、なぜ金沢の本屋が飛梅書店を名乗るのか。
少なくとも作者ともあろう人が飛梅伝説を知らないはずはない。
だとしたら、金沢に飛梅って…と思ったら、その理由はあっさり明かされる。
しかし、最後まで隠れていた飛松伝説。
こっちは知らなかったなあ。

いくつもの謎が次々と明かされる終盤。
犯人のゲスさはさておき、幾重にも重なる本への、書店への、そして飛梅書店主への想いに涙が出た。
よし、もっともっと本を読もう。

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2021年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今月2冊目の大崎梢。
本作品は大崎2大シリーズの登場人物が邂逅する「アベンジャーズ」的なやつ…なんだが、実は井辻君のシリーズは未読で、今後の課題である。。

舞台は書店大賞(リアルでいう本屋大賞である)、人死の出ない程度の犯罪事件が起こり(そうになり)、その解決に2シリーズの登場人物たちが活躍するという話。ミステリーとしてはまぁ普通かな、視点の入れ替えが頻繁過ぎて落ち着かないのは気になったけど、シリーズ両方のファンの人には、この頻繁さも味わいのうちなのかも。

ミステリー要素よりも気になったのが、書店大賞というものの存在意義。確かに読書通に言わせたら「小説に順位をつけて『あれがおもろい、これはその次』とか余計なお世話」って気持ちにもなるだろう。でも、その存在があるからこそ、未知の作品や改めて評価できる作家に出会えるという俺みたいな人もいる。

大賞はあくまできっかけに過ぎず、そこから自分なりの金脈を発掘していく面白さ。それも読書の醍醐味なんだけど、出版社が書店員に「うちの作品推してくれ」とかやりだしたら、なんだか値打ち下がってしまうんかな、とも思う。

出版業界の不況を打開するために「今我々ができることを行動しよう」と始まった本屋大賞。そんな気概を台無しにするようなことが現実にあるならば哀しいなぁと思う。そして俺も、昔みたいな積ん読はできなくとも、もうちょっと本を買おうかと、微力ながら思うのである。

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2017年07月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

成風堂コンビと出版社営業井辻君のコラボ。書店大賞受賞式当日、不穏な空気に振り回される書店員と出版営業。書店大賞は本屋大賞ですよね。本書にも書かれていますが、確かに大きくなりすぎて批判も色々あるんだろうなぁ。私も書籍購入のときに参考にしますね。書店=本屋大賞だから、実際こんな感じで運営されているんですかね。頭が下がります。今回成風堂コンビと井辻君たちが正式に出会ったので、これからはお互いの作品にもっと登場するのかな。それもまた楽しみです。

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2017年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

成風堂書店シリーズ4作目
同著者の他の作品の人物とのクロスオーバーがあり、邂逅編という副題になっています

本屋に纏わる謎を解く名探偵、ですが今作はちょっとした謎からどんどん陰謀めいた展開になっていきます
物理的に人が傷ついたりするのでこれまでとはちょっとテイストが違う感じがしました
長編だと多絵ちゃんの技のキレも鈍く読めるので、短編の方がいいですね

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2019年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本格書店ミステリ「成風堂シリーズ」第4弾。
しかも今回は邂逅編ということで、同一作者の「出版社営業・井辻智紀の業務日誌」シリーズとのクロスオーバー作品となっている。
私は後者のシリーズは未読だけれど、とくに不便はなく最後まで楽しく読むことができた。

邂逅編と銘打つに相応しく、この事件は本当に団体戦で乗り切ったなという印象だった。もちろん肝心なところでの頼みは本屋探偵・多絵ちゃんの鋭い洞察力と推理力だったけれど、それを裏付けるのに出版社営業チームの活躍も欠かせなかったので。
お互いの捜査を邪魔することなく、けれども必要なことはきっちり押さえてパズルを埋めていく…偶然というか、奇跡にも近い見事な連係プレー(?)が功を奏した結果だったんだなと思う。

本件最大の鍵を握っていた人物については、私なりに少し思うところがあった。
自分が過去にやったことっていうのは、やはりいつまでも付いて回るものなんだなぁと。それがたとえ既に解決済みのことであっても、きちんと償いをして誰かに赦されたことであっても…。
結局は自分の中で決着をつける以外に、過去から解放されることはないのかもしれないなと思った。
だけど、頑張っている人は報われてほしい。誰か、その人が頑張っている“今”をちゃんと見ててあげてほしい。――いち読者のそんな願いを叶えてくれたわけではないのだろうけど、結末はそんな思いを少しだけ汲んでくれたような気がして、ホッとした。

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2018年01月07日

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