【感想・ネタバレ】投資される経営 売買(うりかい)される経営のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

○投資事業は付加価値が薄い(ベーシス・ポイントといった指標に代表されるように)ため、投資先企業への依存度が高い。
○投資家は種々雑多であるが、順張り短期志向が多い。
○長期にお金を預けてくれる金主が少ないこと、長期投資できる企業が少ないことが短期投資家の多さの原因。
○長期投資家は時価総額ではなく「絶対価値」を算定する。その際、過去の費用(研究開発費や広告宣伝費)も足し戻して算定する。
○収益バリューの算定は、損益計算上の利益ではなく、キャッシュフローベースで行う。その際将来の成長を織り込まない。
○「成長」と「膨張」は異なる。「膨張」は、超過利潤を出せていない(=資本コストを上回る成果を出せていない)状態で会社が大きくなることで、価値破壊を続けている状態。
○超過利潤を出せている会社に限って、成長バリューを心眼で算出する。
○投資される経営の例として、
・アインファーマシーズ(待ち時間の短縮という製造業の経営手法をサービス業に取り込んだことにより顧客満足度の向上や在庫回転率向上、薬剤師の生産性とモチベーションの改善等につながった例)
・大塚商会(販売事業における地域ごとに分業制から銀行業の業務・組織運営(中央集権的な体制)への転換により労働生産性の倍増につながった例)
・オムロン(100近い事業ユニットをROICで管理し、選択と集中を進めることでROIC13%を達成した例)
・ディスコ(WILL会計と呼ばれる管理会計制度の適用により従業員一人一人のレベルまで収入と支出を可視化することで業務効率化につながった例)
・エーザイ(BSのあるべき姿からM&A投資枠や研究開発費、株主還元をコントロールするバランスシートマネジメントの例)
・丸井グループ(最適資本構成の考えに基づく負債調達増加や自己資本縮小の例)
○日本のROEが低いのは、デュポン分解してみると、事業マージン(ROS=当期利益/売上)が欧米企業の半分しかないため。
○長期投資課はROEではなくROICを重視する。これは、事業に使われている資産のみを抽出して、それに対してどれだけの利益を生み出しているかを算出できるため。ROEは株主から拠出されたお金を株主に対してどれだけ還元したかを示す指標であり、財務レバレッジをかけることで人為的に高めることも可能。
○M&Aについてはウィッシュ・リストを常に持っておく必要。部屋の中の像と呼ばれる、問題の先送り(事業の撤退・売却判断)はしないよう、コーポレートガバナンスのソフトウェアが重要。
○CCCの改善、最適資本構成の考え方が必要。
○日本における社債マーケットの薄さも、企業の財務戦略の自由度の低さにつながっている。

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2016年09月24日

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