【感想・ネタバレ】チューバはうたう―mit Tubaのレビュー

あらすじ

太宰治賞受賞の名作待望の文庫版を電子化!

二六歳女性。独身。製薬会社勤務OL。仕事にも男性にも情熱を抱くことはできないが、情熱を傾けることができるものがひとつだけある。それはチューバを吹くこと。中学のブラスバンド部で背が高いからと割り振られた楽器がチューバ。社会人になっても、ひとり孤独な音楽家として演奏している。そんな時、彼女はバルカン半島で活動するバンドを知り、その音楽に衝撃を受ける……。第23回太宰治賞を受賞した表題作ほか2作を含む傑作小説集。

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第1章のチューバの話があまりにも詳しくて鮮明で作者自身の話を書いてるのかと思うくらい引き込まれた。あまりよさを理解してもらえないチューバを、それを吹くのを運命であるかのように受け入れ愛する女の話といいプラネタリウムを1人で作り上げちゃう男の話といい、周りがどう言おうと好きなことにまっすぐでそれを信じられる人には1種の芯があって強い。プラネタリウム、子供の頃に2回ほど行ったきりだからまた行きたくなったし、重低音が響くオーケストラの合奏も聴きたくなった。

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2024年10月26日

Posted by ブクログ

表題作を含む、音楽関係の2本と、プラネタリウム興行に集まった様々な人達のストーリー1本。

中学高校とブラスバンドで、なんとなく吹いていたチューバ。バイトのお金をためて購入し、河原で一人で吹くのが毎週のルーチンになっている主人公。ある日、ちょっと変わったバンドのクラリネット吹きに目をつけられ、時々慰問などでバンドの中でチューバを吹くことになる…。

音楽を主軸とした表題作と2作目『飛天の瞳』は、純文学というか、文芸というたぐいのものであろう。初見はめちゃくちゃ読みにくい。というのも、会話もすべてト書きの中に含まれており、カギカッコが存在しないうえ、改行がないのである。

そのせいもあって、評価は間違いなく、完全に分かれる作品群であり、さらには1本読み終えても、続けて次の作品が全く頭に入らなくなるという、強敵でもある(しかし一度休めば頭に入ってくる)。

しかしながら、全作品とも妙に引き込む独特の文章の魅力というものが有り、特に音楽作品2本は、終盤に向かってなんとも言えない熱のようなものが伝わってくる作りとなっている。

語彙力というか、あえて使っているのであろう引っかかるような言葉選びも独特で、そこまでやらなくても良くない?というような単語がちらほら見られる。これらもある程度慣れてくると読めるのである。

最後のプラネタリウムの話は、様々な人達が交差するというようなことが先にほのめかされていないため、この人の癖とでも言おうか、読みにくさが鼻について、特にブログで発信している人の立ち位置がよくわからぬままであった。そして、この作品だけカギカッコが使われている。読みやすさに対する配慮であろうか。しかし、視点が変わるたびに読みにくいと感じる。

楽器を扱っている作品かつ、同業者らしいので甘め評価ではあるものの、読みにくいのは覚悟の上で読んでみてほしい作品では有る。ワタシは好きだ。あと、映像化したら、つまらないだろうなこれは。

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2021年12月07日

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