【感想・ネタバレ】古墳の古代史 ──東アジアのなかの日本のレビュー

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Posted by ブクログ

古墳をはじめとする「墳墓」に着目して、紀元前1世紀~4世紀の中国、朝鮮、日本という古代東アジアのダイナミックな歴史像を描く。当時の東アジアでは、漢王朝など中国の動きを軸に、大小さまざまな「渦巻」が発生するような大きな社会変動のときを迎えており、それぞれの地域で大きな墳墓を造営するといった「つながり」がみられるとともに、社会の仕組みや信仰といった人の営みの根本的なところでの身体感覚な「ちがい」もみられるということを、考古資料とそれに基づく考古学の研究成果をもとに明らかにしている。
大きな意味で同じ文化圏に属する中国、朝鮮半島、日本だが、古代から「つながり」とともにさまざまな「ちがい」があったということが、古墳などの墳墓を題材として取り上げられており、とても興味深い内容だった。特に、中国や朝鮮半島の墳墓とは異なり、倭の古墳には、墳丘に対する独特の「こだわり」がある一方継続性が弱いことや、副葬品から日常生活と切り離れた存在として機能していたことが窺われることなどの特徴があるということが面白かった。

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2019年11月24日

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古墳の登場を東アジア情勢を背景に捉えつつ、墳墓の大型化を中国王朝の衰退と連動した説を展開。倭国の独自性は日常生活から切り離された空間に存在する前方後円墳というオリジナルな造形。

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2018年08月18日

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古代の人々が古墳に込めた意味、彼らの生き方や国にとって古墳の存在にフォーカスしながら、中国や朝鮮半島の東アジアの歴史や墳墓との共通項や違いを比較しながら話が進み、とてもわかりやすくて面白かった。地方の古墳の埋葬品を調べることで輸入の独自ルートが築かれている事がわかったり、副葬品も装飾品から銅鏡や武具にうつっていくという過程も面白い。古墳を知るために、最初に手に取るべきガイドブックという感じ。

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2022年05月05日

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紀元前一世紀から紀元四世紀の期間を中心とした古墳時代において、東アジア(日本、中国、朝鮮半島)で人や文化の交流状況が解説されている。日本の古墳だけではなく、中国や朝鮮半島の墳墓の形状や埋葬方法などの違いから、共通性や日本独自のものを説明する。正直、難しい本だった。古代史は歴史的資料が少ないため、仮説(想像)で補う部分が多く、読者にとって古代を妄想する幅が広くなる。そこが古代史にロマンを感じる部分であり、古墳は古代の思いに耽る良い材料となる。研究者にとっては迷惑な読み方だろうが、一般人の楽しみかたの一つととらえてほしい。類書にも挑戦したい。

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2017年01月18日

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古墳時代がいつから始まったのかの学説の数々。それが邪馬台国の存在場所と大きな影響があるなどの説明が説得力に富んでいた。前方後円墳の出現は最近では3世紀中ごろから後半との説が有力で早まってきたという。最近の研究により大きく通説が変動しつつあるという背景が非常に良く分った。東アジアの漢・三国・晋時代、また3韓などの陵墓との比較など、日本の古代史を探る考古学が国際的な学問であることを改めて再認識した。日本において【平城天皇陵墓】が円墳だと思われていたのが、実は平城京を造営する際に前方部分が削られてしまったことが分った!楽しい話だが、それだけ300年前の天皇がこの時期に粗末に扱われていたとは興味深いところ。そして日本から逆に中韓に影響を与えた可能性があるとは全く考えもつかなかった。著者が繰り返し書いているように真実を探っていく幸せを痛感している方であることが良く分った。発想段階のレベルでこれから実証していきたいと謙虚な言葉だが、いつの日か真実が明らかになっていくことを期待したい。

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2016年11月29日

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<目次>
はじめに
第1章  前方後円墳とは何か
第2章  ものとひとの往来
第3章  古墳の発達と王権
第4章  つながりとちがいと
おわりに
<内容>
古墳時代を、東アジアの中で見ていこうとする内容。前方後円墳ももはや日本独自とは考えられず、中国や朝鮮半島の影響の中で、日本の独自のフレークがかけられた程度の違い。そういう点で、読んでいてややかったるかった。
第4章の内容がもう少し読みたかった。

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2016年11月11日

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