あらすじ
自分の娘への強い愛情を抱える奈津子。助産院の事務をしながら、不妊と夫の浮気に悩む紗英。二人の異常な密着が恐ろしい事件を呼ぶ。「最後まで読んだら、絶対もう一度読み返したくなる」話題作、ついに文庫化!
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Posted by ブクログ
汚れた手をそこで拭かない の作者だった。面白かった記憶があって、悪いものが、来ませんように も最高に良かった。
ここまでミステリーだと思わず、"まさに騙される快感"を味わえた。
まさか自分が騙されていると思わないのと、ゆっくり考える間も惜しむほどストーリーが面白くて次へ進んでしまうからあれよあれよとどんでん返しが繰り返されて読みながら顔がすごかったと思う(笑)驚きと混乱と戻って読み返して感嘆するの繰り返し(笑)
最後、実はこれが真実でした〜ちゃんちゃん。ってミステリーの綺麗な形で終わらず、なんかいい話風になっていたのも個人的にかなり良いポイントだった!
Posted by ブクログ
感嘆!!!!!!!!てっきり、山本文緒的な、ヒューマンドラマ的な話かと思いきや、ミステリーだったとは!!!!
確かに、所々ちょっと引っかかるような、でもスルーもできてしまうほどの小さな違和感があったけれど、まさかそういうことだったなんて!と、一度読み終わった後、すぐ最初から読み直した。
ミステリーだけれど、ミステリーだけではなくて、夫婦、母娘関係にも深く刺さるものがあった。
奈津子と紗英は社会的地位が正反対(母と不妊、専業主婦と社会人、友人(表面的であれ)の有無)なのに、根底にある「母に愛されたい」という欲求は一緒で、どんな人であろうと誰かの子どもであり、親には無償の愛を求めるものなんだと思った。でもここに、父の存在がないのってまた不思議だよね。やはり家庭は母ありきというか…
夫同士も正反対だったよね。親の言いなりになって結婚し、妻を下に見る夫と、妻が居心地の悪くならいように親戚に根回ししたり、実親のことも悪く言える夫。(母親にべったりな紗英とある種自立している大志も対比だったのかな)
親への愛を求める、親に愛されることを主軸にした選択って、みんながみんなしている訳ではない(毬絵はしていない)のに、どこでその道が別れるんだろう。
自己肯定感?でも、自己肯定感こそ親子関係の中で築かれていくものだと思うし…
親が子どもを自分の写しとして見ることから始まるのかな。ずっと支配され続けているから、いつの間にかそれが普通になってる?
親はただただ子どもの幸せを願っている筈なのに、いつの間にかそこに尾鰭が付いて、気が付いた時には支配になっているのかな。
「娘は母を許さなくていい」には、救われた人もたくさんいるんじゃないかな。親は大抵子どもを愛して幸せを願うものだけど、行き過ぎたそれを、拒否する権利だってある。
そして、これって母と娘だとよくある(私が娘の立場だから共感してしまうだけ?)ように思うけど、母と息子、父と息子、父と娘では発生しないよね…これもなぜ…?
同性だから、なら父と息子にも存在する筈だし…この共働きの時代でも、やはり父の存在は家庭にはまだ薄いから、家庭といえば母の役割になるのかな。あと10年経てば、母と同じくらい父も家庭の象徴となるのだろうか。同性に自分を重ねやすい、というのはあるだろうから、そうすれば父と息子にも同じことが発生しうるのかしら。う〜ん、不思議。
それにしても、すごい小説だった。他の作品も読んでみるぞ!
Posted by ブクログ
最初は三姉妹なのかと思ったけど、途中から奈津子と紗英は友達なのかと思い、読み進めたらまさかの親子!
最初に「……?どうゆう関係なの?」って思ったけど勝手に姉妹って解釈したのは自分なんですよね。
大志が死んだ時も、毒を盛った描写が無いから「あれ?いつ麦茶に毒盛ったの?」って思ったけど、慌てようから殺したのは奈津子だって勝手に読み進めた。
謎が解けてから、「だよねー!?なんか違和感あったんだよー!」って。
違和感あるのに読み進めて勝手に解釈して騙されちゃう。
あー、面白かった!
こんなに一気読みした小説は久しぶりでした!
⭐︎−1なのは、ちょっとおピンクな描写や女特有の色々があって、子どもや男の人(特に思春期息子)にはオススメできないから。
Posted by ブクログ
タイトルはよく聞くけど、何となく機会がなく手に取らなかった本。
もっと早くに読めばよかったな〜
めちゃくちゃ面白いじゃんか!
というのが率直な感想。
複数人の視点の語りで真実に近づくところや、ドロドロした感情の描かれ方などが湊かなえさんの作品に似ている気がした。イヤミスはやっぱり面白い。
ミスリードされていることに気付かず、なっちゃんの母親が証言で「紗英が孫」と言った瞬間思わずページを巻き戻した。解説を読んで気が付いたが、たしかに在学中に妊娠していたら梨里の年齢から、なっちゃんが紗英の姉であるのがおかしい。
「騙される気持ち良さ」本当にこの通り。ラストにもどんでん返しがあってすごく良かった。
芦沢央さんの作品は3作目だけど、全て面白かったので、他の作品も読んでみようと思う。
なかなか
考えさせられる、深い話でした
トリックは、??となるセリフをきっかけに多分ほとんどの方が気づくとは思います。
あれはもう少し後の方が良かったかなあと個人的に、、、
ただ、もう一度時間のあるときにゆっくり読み返したい作品です。
残念!
かなり序盤で奈津子と紗英の関係が判ってしまった。
奈津子の専門学校、結婚のエピソードと紗英の年齢とで二人が同い年ではないことがわかる。
とすると、「同級生でかつ親友」という片方が否定されるので、ひょっとして綴られている二人の関係をそのまま理解してはいけないんだな?と思う。
同性愛者か?と思わなくもないが、それは文章がやんわり否定している。
「友人」以上にお互いのプライベートに踏み込み、同性愛者でもない女性同士の関係となれば・・・。
そしてオムツのエピソード。今時布オムツの効用にこだわるなんて、そんな年代って考えれば・・・。
(この作者、まだお若いはずだが、布オムツのことなんてよくご存じで)
伏線のつもりなのだろうがやややり過ぎたかな、と思える。
二人の関係に気づいてしまうとその後は「ミスリードのために頑張っている文章」としか読めず苦しいのと比例して予想の確信度が増していった。
例えば奈津子の「梨里と紗英の子が遊んでるところを見るのが私の夢なの。」という台詞があるが、ふつうならば「鞠絵と紗英」でなければおかしい。
で最後に「やっぱりね」となる。
だが、この作品が表現したかったホントのところは母親の無償の愛のようなものなのでは?と思い、「もし、からくりに気づいてなかったとしたら?」という思いで帯に書かれいるのとは全く違う理由で(笑)読み返してみると、伏線の張り方も人物の個性を表す心理描写もなかなか秀逸であると思える(風景描写にややクドさはあるが)。
芦沢央さんの作品はこれが初めてで、今回はうまく引っかけてもらえなかった(笑)が、是非他の作品を読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
読んでいてどれが誰?どの人が誰の何?と思ってちょっとイライラしたけど、種明かしでなるほど〜となった。
やたら冗長に感じて、このエピソード何のためにあるの、と思うところもあったけど、それも全部この二人の関係性に違和感を持たせるためだったのかな。
友達でこれはやばいだろ、だけならまだしも、親子であってもやばいだろ、の域に達してるから、友達なのか親子なのかって曖昧さを出すのは難しかっただろうな。
しっかりはっきり娘と言われるまでまったく気づかなかったから、分かった瞬間はすごく気持ちよかった。
どいつもこいつも難ありというか、良くない部分を強調させたような人物ばかりで、ずっと暗くて黒い雰囲気が漂う作品。
親子も友達も難しいなんて苦しいよ。最後一瞬救いがありそうにも見えるけど、ほんとにその一瞬だったな。