あらすじ
倫理学とは「倫理について批判的に考える」学問である。すなわち、よりよく生きるために、社会の常識やルールをきちんと考えなおすための技術である。本書では、「功利主義」という理論についてよく考えることで、倫理学を学ぶことの意義と、その使い方を示す。「ルールはどこまで尊重すべきか」や「公共性と自由のあり方」という問いから「幸福とは何か」「理性と感情の関係」まで、自分で考える人の書。
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Posted by ブクログ
思想が誤解されがちな功利主義を改めて入門する本であると同時に倫理学の入門書として本書は位置付けられています。結婚制度に絶対反対の立場であったゴドウィンがウォルストンクラフトと結婚することで転向し、結婚制度に積極的な態度をとるようになったエピソードはとても面白かったです笑
2人から生まれた子供がフランケンシュタインの著者で有名なメアリー・シェリーで近代フェミニズムの先駆けとなった母親の意志を受け継ぎ(当初母国の英国では全く受け入れられなかったけれど)、フランケンシュタインの中で家庭の天使とされた女性を批判し、フェミニズムを見事に描き出しています。
本書中では、倫理学の分野ではもはや忘れ去られている?幸福論についても言及が行われています。幸福とは何かについて再度問いをたて検討を行っています。著者の見解では、政治レベルでは最大幸福原理を追及、個人レベルでは時には己の際限なき欲求を戒めつつも、自分が現に持っている欲求を追及すべきだそうです。
うーん全ての人間の欲望が満たされるのが先か、地球が人類が真っ当な生活を送れる水準を保てなくなるのが先か、もはや地球環境レベルの話もふまえて議論していくべきかなと個人的には思います。
いわゆる先進国における欲望の肥大化を戒め、他の国々・地域に資源の分配を行うのであればすぐにでも達成できそうな話ですが・・・。本書中でも心理的麻痺の話がありましたが、意外とそこまで考えが至る人がまだまだ少ないということですかね。
また本書末のブックガイドが良かったです。次読む本の参考にしたい。
ところでJ美さんは序盤と最後以外全く出てこなかった気がしますが気のせいですか?