【感想・ネタバレ】かわいい女・犬を連れた奥さんのレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2011年08月31日

谷間。もう少し救われないかと思う。少しずつ、少しずつ、さみしくて辛い。どんより、どんより初冬の小道をテコテコ行く感じ。なんにも変らない、ありそうな範囲でしか事は起こらない。なのにちょっとの温もりが、しんみり迫ってくるようで。

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Posted by ブクログ 2010年08月19日

リアリズム文学で知られるチェーホフの短編編集。
どうしようもない現実や残酷な運命に翻弄される人間は、しかし、そんな厳しい世の中で、不幸と比べてあまりにも小さな希望を見つけ、それを糧に生きていく。

チェーホフの物語は、どうしようもなく救いがなく、だからこそ私たちが共感できる部分を含んでいる話が多い。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

おもしろいと評判のチェーホフの短篇。やっぱり、おもしろかったです。
切なくて苦くて、(優しくないのかもしれないけど)優しく感じる所がいいです。

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Posted by ブクログ 2023年09月01日

このところ国木田独歩とチェーホフの短編を読み返している。
すごいなあ、ぎゅっと圧縮された人生模様、到達感、達成感の文章。

両作者とも早世、独歩37歳(1908年)チェーホフ44歳(1904年)で、その晩年に円熟したとある。
だからなのか?

読み比べているのだが「いづれがあやめか、かきつばた」
...続きを読む年の作品集は、国木田よりチェーホフがすこしはやく亡くなっているので、発表も少し早かっただろうが、国木田に影響があったのかどうか?ロシア文学と日本の文学の夜明け、明治時代にそんなにも伝わるのが早かったとしたらすごいなあ。

ともかくも、人生の機微をもりあげ、解剖していく文章は、胸を撃つこと、なおそこに詩心を加味されて、なんとも心揺さぶられる。

今回印象深かったのは

「イオーヌイチ」「犬を連れた奥さん」「谷間」

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Posted by ブクログ 2023年08月21日

嫌な事は見ないふり、都合よく生きていきたいという人々を情緒溢れる美しい文章で書き上げている。

かわいい女の主人公オーレンカのような女は、割とよくいる。
旦那の意見=自分の意見、と心から思っている。
うちの旦那が、うちの旦那が、とよく言うのでうちダンというニックネームをつけられる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2018年06月17日

「中二階のある家」のリーダと画家の会話が面白い。貧しい労働者の支援に働いているリーダに対して、そんなことではなんの解決もできないと画家。人間の価値は精神活動をすることなのだから、労働に縛られる時間を大きく減らさなければだめで、要求事項や経費を増やすのは逆効果だと。
今の時代でも同じことと感じた。生活...続きを読むを質素にすればたくさん働かなくて済むと思うので。

「かわいい女」…タイトルに惹かれて読んでみた。なるほど、かわいい女というのは人に合わせる人で、合わせることが自分の自然なんだな。逆を考えるとかわいくない女は、自意識がしっかりしていて人の幸せと自分の幸せは別物と思うタイプだろうな。私は確実に後者(笑)。

「犬を連れた奥さん」…全集に入っているので名作なのかなと思いきや良さがわからず。今と違って当時は自分の意思で結婚相手も選べず、周りと合わせる振る舞いが大事だが、それが個人の幸せとは違うことに気づいた、ということかな。

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Posted by ブクログ 2018年04月07日

「かわいい女」、「犬を連れた奥さん」の題名は知っていたが、チェーホフだから、てっきり戯曲かと思ってた。

短編なので、基本主人公中心の物語なのが演劇と違う処。
「かわいい女」、「犬を連れた奥さん」は現代の日本でも成り立つような話。
その他の短編から立ち上がってくるのは、不労所得を得ている地主や工場主...続きを読む、虐げられている自覚もない貧困層、理想を口にするが、地に足のついてない高等遊民。

やや長めの作品「谷間」。谷間の小さな村を牛耳る業突く張りな商人とその家に嫁いだ三人の女性の物語。如何にも有りそうで、救いようのない話なんだが、昔のロシアの大地にじんわりと包まれていくような感触。
チェーホフが何のためにこの短編を書いたか判らないけれど。暫く、頭の中で燻っていることになりそうだ。

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Posted by ブクログ 2013年12月27日

アントン・パーヴロヴィチ・チェーホフの短編7編を収録。
どの作品もロシア革命少し前に執筆されたものだけあって、貧しく虐げられた農民・使用人の描写と働かなくてよい階級への批判、将来は誰もが少しだけ働き、皆で豊かな生活を送れる社会がやってくるという理想願望の主張といった思想がところどころ散りばめられ、当...続きを読む時の風潮がみて取れる。
自分としては、『中二階のある家』のリーダや『谷間』のアクシーニヤなど、主張の激しい美人が活躍する短編が面白かった。(笑)また、『イオーヌイチ』や『いいなづけ』のように結婚へのあこがれが一転、独り立ちへと心情の変化を描く短編も皮肉に富んでいて物語としては楽しめた。特に『イオーヌイチ』の主人公が墓場へ呼びつけられるシーンなどはぞくぞくするような面白さとともに男への深い同情を禁じ得ない。(笑)『往診中の出来事』は工場主の娘の心の病とそこで働く労働者の両者の抑圧を題材にしており、当時としてはまさにタイムリーで先鋭的な思想的物語だったと思われるところが興味深い。表題作の『犬を連れた奥さん』は旅行先で出会った婦人との不倫ものだが、それにのぼせ上っていく主人公の心情が面白かった。もうひとつの表題作『かわいい女』は度重なる良人の不運という運命に翻弄されながらも、感化されやすいが朗らかな性格の主人公オーレンカの愛すべき半生を描いた作品で、起承転結が明確な、なかなか印象深い物語となっている。
全体としてところどころ挿入される社会思想性にも興味深いが、それも含めてほどよくスパイスにしながら確固たる人物像を作り上げているところが面白かった。また、ときおり登場する永遠の生もしくは死への深みへの思いは、チェーホフ自身の信心を文学的な表現に高めたものとして大いなる魅せ場のひとつになっている。短編としての物語展開性にも優れ、短編であることを縦横に活かした作品群になっている。

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Posted by ブクログ 2010年02月21日

演出家の妻になると夫と共に芝居について語り、材木商と結婚すれば会う人ごとに材木の話ばかり。獣医を恋人に持てば、恋人との別れと共に自分の意見まで失くしてしまう。一人ぼっちになった彼女が見つけた最後の生きがいとは──。

チェーホフ晩年の短中編集を収めたもので、人間が懸命に生きようとするがゆえに生じる悲...続きを読む劇や日常の中で起こる何気ない感動を描いている。
本編の中で自分の心に最も残っているのは『谷間』で、一人の女性の運命の変転に初めは同情したが、最後には彼女は心優しき女性として描かれており、強く生き抜こうとする彼女の逞しさを垣間見た気がした。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

控えめに上品に適度な笑いをうまく絡ませ節度を忘れない人だったチェーホフ。そんな態度と「恋」というのは本来永遠に相容れない、はず。だから登場人物は途方に暮れる。その途方に暮れる感じがチェーホフ的。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

恋人、旦那によって自分がコロコロとかわる“かわいい女”。自分の周りにもいます。そしてもてます。やっぱりこういう女の人の方が“かわいい”のでしょうか?

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2019年05月30日

「犬を連れた奥さん」
最後までおじさまの魅力がピンと来ないままふわふわ読み進んで終了。

しかしいる、いるよこういう男。「新しい、素晴らしい生活」どころか「いちばん複雑な困難な途」すら歩み切らずにサッと安全圏に帰ってまた退屈を持て余す。そういう人も始めはこういう勢いで盛り上がってるのね〜と垣間見た気...続きを読む分。どんどん腹が立ってきた。
むしろ全くマイナスの感情抜きに中年の理想をきれいにまとめるチェーホフ。ご尊顔を拝するところシブいインテリで、自分の売りも分かって捨てることにも無自覚な主人公像に重なり納得してしまって悔しい。

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Posted by ブクログ 2016年04月21日

ロシアの文学には、どこか惹かれるものがあります。でも、いつも半分も理解できた気がしません。多分、時代背景や文化や、価値観が、現代の日本人とはかなり違っているので、その辺りをよく分かった上でないと理解できないのかと思います。
チェーホフの短編は、人間のあらゆる面、美しさも、醜さも、滑稽さも掬い取って、...続きを読むごちゃ混ぜに織り上げたようです。貧しい、辛い人生には心からの同情を、醜悪な、滑稽な人々にもひとさじの憐れみをもって描いているところに、単なる風刺小説でない、ヒューマニズムを感じます。

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Posted by ブクログ 2012年11月04日

かわいい女:オーレンカの夫に対する従順な姿勢と、付き従う対象(夫)を失った時の虚無のような態度が印象的だった。そして、立場の違いが人格をも変えてしまうという事実が面白かった。

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Posted by ブクログ 2011年07月15日

課題で読みました。同じく課題で読んだゴーゴリよりさらりと綺麗な感じで読みやすい。人物描写はわりと嫌いじゃなかったな。人間は誰でも変わってゆくけれど、良いだけの変化も悪いだけの変化も存在しないし、誰のせいにもできない。

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Posted by ブクログ 2011年10月21日

 『犬を連れた奥さん』は、まるで一つの映像作品を見ているかのよう。情景描写は勿論、心の機微までも細やかな文章で表現されていて、とにかく「凄い」のひとこと。

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