あらすじ
「若き詩人への手紙」は、一人の青年が直面した生死、孤独、恋愛などの精神的な苦痛に対して、孤独の詩人リルケが深い共感にみちた助言を書き送ったもの。「若き女性への手紙」は、教養に富む若き女性が長い苛酷な生活に臆することなく大地を踏みしめて立つ日まで書き送った手紙の数々。その交響楽にも似た美しい人間性への共同作業は、我々にひそかな励ましと力を与えてくれる。
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Posted by ブクログ
It was just so good…
一文一文が、とにかく美しかった。
リルケの幸福論 というタイトルもつけられると思う。
短いが、ゆっくり時間をかけて読むべきもの。
そして、リルケの詩を読んでみたくなった。
「あなたはあなたの孤独を愛してください。」
Posted by ブクログ
大学の時に読んで、あー、私、生きてていいんだと、涙した本!
人生は、すべて正しいのです。
涙したのは、上の一行ではないが、なぜかずっと覚えている。
つらい思いをしている友人に、同じ一行を書き添えたことは、今でも、?、と同時に、胸が、痛みます。
Posted by ブクログ
リルケ独特の、神聖さを思わせる世界の捉え方と生き方が
全ての人間のためになるとはいえない。けれども
真面目な作業に疲れている人にとっては、こういった詩的な文章は心を安らかにしてくれるはず。
Posted by ブクログ
未知なる「わたし」という
海へ飛び込もう
若き人よ
「わたし」という海を
どこまでも愛し
どこまでも豊かにしなさい――
カミュを読んだ後だと、リルケのことばは祈りにも似たあたたかさや開放を感じる。彼女はカミュを逆を歩んでいるひとだと。
反抗ではなく、必然。不条理ではなく、性。この性は肉欲ではなく、根源的な何かを求める力。ヤスパースのことばを借りるなら、無制約なものといったところだろうか。
カミュがひたすらに死に向かっていくことを叫ぶなら、リルケは生に向かって祈りを捧げる。そんな感じ。カミュは、無限に向かい届かないなら、開き直って問わない有限の実存を説いたが、彼女は問いそのものとして生きよと語りかける。2者分離の息詰まる対立から1なるものを見つけ出したカミュと2者合一によって1なるものへの回帰を目指すリルケ。
はじめこの手紙はリルケ自身の創作だと思っていた。仮想の相手に向けて、自分という相手に向けて励ますかのような。ところが、この手紙は実際のやり取りであったのだ。おそらく、リルケは語る対象が誰であっても、同じように語っただろう。彼女にとっては、自分も若き詩人も若き女性も広大な海で生まれた、畑に蒔かれたいのちなのだろう。だから、手紙が途絶えようと、詩人や女性がどのような道を歩もうと、リルケにとっては同じひとつのことなのだ。だから、少しでもよくあってほしいと「祈る」のだ。解説によると、結果として詩人がリルケのあれだけのことばを顧みず、ジャーナリズムに身を浸すことになった、という趣旨のことが書かれていたが、それでもリルケなら、「未知なるものが入り込んで、彼の運命となったのだから、わたしは構いません。わたしのことばを含め、彼が引き寄せた未来です」と静かに微笑んだことだろう。
リルケの語る偉大さとは、因襲ではない、ただひとり独力で「在る」というそのこと。カミュと対話させたくなる。
カミュ「在る、ということは決して偉大ではない。しょうがない受け容れてやっているのだ、不条理だ」
リルケ「まあまあそんなへそを曲げないで。若いうちからそんなだったらこの先生きづらいでしょうに」
カミュ「君はそうやって、若いひとから”在る”ということを巧く欺いたつもりでいるだろうが、俺はだまされないぞ」
リルケ「仕方ないでしょ。倦み疲れて八方ふさがりな若いひとに向かって、一回死んでみろだなんて言えないんだから。」
カミュ「それもそうだな。でも、俺ならナニクソってとことん反抗してやるがな」
リルケ「そういう風にできるひとたちばかりじゃないってこと。だからわたしもこの手紙のやり取りやめないんじゃないの。でも、書いてたってむなしいわよ。だってわたしのことばはわたしのことばでしかないんだから。届かないのを知って書かないとなんだもの。自分でいちいちどうしようもない孤独を確認しているようだし」
カミュ「だから不条理だというのだ。俺たちはどうあがいてもそこから離れられないのだから」
リルケ「そんなんだからわたしは祈らないとなんですっ」
リルケの女性という役割もまた面白い。これは池田さんの父という役割と見事に対になっているからだ。
女性というのは生を与える有限と立ち上がりそれを見渡せる死という無限を同時に併せ持つ2重のものだという。
家族というものにあてはめるなら、母というものは自分で子どもを産んだというのに、明らかに自分から生じたものなのに、この者は自分ではない、ということに気付いてしまう。一方、池田の父は、自分で産んだものではないから、自分ではないということに気付きつつも、自分から生じたものとしてこの者に出会わないといけない。
リルケにとっては女性でも男性でもどっちでもいいのだ。ただ、手紙のやり取りをしたのが女性だったから女性と書いたに過ぎない。
書くことで自分も差し出された相手をも浄化する。ことばが今もなお生きている。
Posted by ブクログ
詩作、女性、孤独、愛、生と死、命名についての考察に感銘。主に若き詩人への手紙の方だった。
手紙なので、個人的な色彩が出るのはしようがないにしても、時折、噴出する普遍に至る洞察が素晴らしい。
相手を対等な存在として、文面に敬意が満ちていることにも感銘を受けた。
文字が小さいのが残念なので、新潮社さん、改版をお願いできないでしょうか?
Posted by ブクログ
著書から生きる力をもらい続けているといっても過言ではない。
外に向かって寂しさや孤独を誤魔化すことは実に一時的な心の誤魔化し方で成長に繋がらない、当にその通りだと思う。
私にはどれほどの人がこの本に賛同・共感するか分からない。
もしかしたら綺麗事の羅列、と一蹴する人もいるだろう。
それでも、兎にも角にも私はこの本が大好きで大好きで大好きだ。
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彼の言葉はエメラルドグリーンの湖の様に穏やか。
「気づかない方が楽」に生きることができるけど
「気づき、受けとめて生きる」ことを教えてくれる。
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天使にラブソングを2のDVD(LD)で、
リルケの若き詩人への手紙の一節の引用がでてきました。
若い人が、芸術への道を進むかどうか悩んだときに、
読むのと役に立つことがわかりました。
芸術家になる人への、一つの教訓を示しています。
「自分が作家だと思うこと」が大事とのこと。
この本を読んで、ピンと来なければ、
DVDの天使にラブソングを2を見てみてください。
Posted by ブクログ
フランス文学の授業でたまたま名前を耳にして、なんとなく手に取った一冊。
わたしにとって手放せない一冊になりました。
辛いときに読み返してはしおりをはさみ、また途中から読んでいます。
思い悩んでいる友人がいたら、この本を薦めたいと思っています。
こんなに真摯な手紙は見たことがありません。
Posted by ブクログ
リルケの往復書簡ですね。
リルケの赤裸々な心情を読み取れる書物だと思います。若い人たちに呼び掛けるように綴った手紙は、若い人には予期せぬ書き込みがあるように思えますが、リルケはしっかりと自分を見つめることを指差していることに気付いて欲しい思いに溢れていますね。
リルケの詩は真逆の言い回しがあるために、少し難解な部分があるものの、リルケ自分自身と読者に内面から呼び掛けいるのを感じますので、この書簡も温かく導き出そうとしているの感じて欲しいですね。
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内容も書き方も決して易しくはない。しかし、何度か読み直して、言葉を自分なりに噛み砕いて理解しようとするうちに、大切なメッセージが多く散りばめられていることに気づくと思う。何度も読みたい一冊。
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天使にラブソングを2で黒人シスターが若い女性歌手に力強く手渡した本。
リルケの熱き情熱を知る。いや、感じとる。
まるで時代を超え三次元的に現れた何かのように感じる。
孤独を愛し芸術の産声を感じとる。
私は春に咲く桜のようにリアルが彩りはじめる。
Posted by ブクログ
リルケ。
読んでみたいけど、と思う方は、解説にもあるように、やはり人柄がよくわかるこの本がよいように思った。
優しい愛情に満ちた言葉から得るものはとても大きいと思う。
偉大なる詩人に倣おう。
Posted by ブクログ
映画「天使にラブソングを2」でウーピーゴールドバーグが演じる修道女が歌手への夢を親に反対された少女に薦めていた.一度,読んで見たいと思っていた一冊.若き詩人の苦悩に対し,リルケからの誠実な助言.大きな慈愛と深い共感.また時間が出来たら読み返してみようと思う.
Posted by ブクログ
若き詩人が授業中に隠れてリルケの詩集を読んでいたら教師にばれてしまうものの、実はリルケもその教師の教え子だったことが発覚するという導入部の話には心暖められる。リルケはこの手紙で孤独や愛、苦しみといった困難なものに対する向き合い方に対して誠実に答えようとしており、その真摯な言葉が様々な縁の結果として自分にまで届いてきたことを思うと不思議な感じだ。この本の価値は、他人に送ったり受け取ったりした時にこそ発揮されるものなのかもしれない。人を繋げる手紙という風習が薄れても、本はまだ人を繋げることが出来るのだから。
Posted by ブクログ
この書簡集によって語りかけられることのできる「若き詩人」および「若き女性」とは、さて、今このとき何処に存在しているものやら。前者と後者は、それぞれに成立年代も難解さの種類も違います。だから、むしろお買い得。それにしても、これらのBriefeを受け止めて何らかの(正否どちらでもいい)反応をすることのできる者は……??300円余りで、かなりの歯応えあるのに、な。300円ならスタバかタリーズのほうがいい?そう言われると、私も返す言葉はないが。
Posted by ブクログ
■評価
★★★✬☆
■感想
◯日本語訳されていても、言葉や例えが非常に綺麗。
◯いざ自分が手紙を書こうと思ったときに、こんなような手紙を書くことができるかと言われると難しい。だからこそ、この手紙を読んで、形を真似たいなと思った。
◯手紙に書いた字は、自分の鏡なんだろうと思った。相手の途関係の中で浮かび上がる鏡。相手に向けているようで自分に向けているようにも思える。というか、それしか手紙には書けないのかなと思った。
Posted by ブクログ
若い詩人とリルケとの手紙のやり取りのうち、リルケが書いた手紙を連ねた手紙集だった。
なので、若い詩人が何を手紙に書いたのかがあまり想像できず、僕は正直入り込めなかった。
とはいえリルケは詩人の悩みに対して真摯に向き合っていたし、文章からは優しさを感じた。
僕が別の悩みを抱えた時に、また開いてみようと思う。