【感想・ネタバレ】子育てのパラドックス ― 「親になること」は人生をどう変えるのかのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

妊娠、出産、初めての育児のスタート、と怒涛のように過ぎていったここ1年、今、少し立ち止まって、子どもがいる今の生活を見つめ直そうと思って手に取った本。ただ何となく子どもを産み、ただ何となく育て、何となくともに生きていく、そういう「ただ何となく」という状態は避けたい。流されるように子育てをするのではなく、子どもがいるからこその大きな体験ができていることを噛みしめて生きていこう、と思った。

・現代人はつきつめればどこまでも自由に生きることができる。どこでどんな仕事をするか、結婚をするかしないか、子どもをつくるかつくらないか、どこに住むか。そんな中で子どもは唯一、人生に制約を与える。制約のない人生が幸せとは限らない。自由だから幸せ、というわけでもない。むしろ、制約があるから、ある種の熱意をもって生きられるのかもしれない。
・母親は世間からの「良い母親像」というプレッシャーにさらされている。一方、父親はそういうプレッシャーから自由である。母親は「ママとしてこうでなければならない」という「べき」に縛られ続けて疲れてしまう傾向にある。
・自分のことをこれほどまでに無条件に愛し、必要とするのは子どもをおいてほかにいない。他の誰にもこれほどまでに愛されることはない。この愛を経験できるのは親であるからこそ。
・同時に愛を与えられるかどうかも試されている。反抗し世話をかけられ、裏切られるかもしれない相手をそれでも愛することができるか。もはや聖者の領域だが、子どもは親が人間として最良になれるチャンスを与える。
・先のことを考えない子どもの、独特な自由に流れる時間にともに身をまかせてみることは、子どもがいないとできないことである。
・「空はなぜ青いの?」というような問いかけに何度も遭遇する。大人にとってあたりまえのことが、子どもにとってはあたりまえではない。そういう問いかけを通して常識を疑う機会を与えられる。子どもが発した質問は全て書き留めておきたいほどに。
・親の自分たちが置かれている経済的社会的地位から子どもを落としたくない、何としてでも今の水準をキープするかそれよりも上を目指すために、スポーツや音楽などの習い事で子どものスケジュールを埋める。子どもが将来苦労しないように、現代の親はそういう強迫観念に縛られている。
・懸命に子どもを育てても、いずれ子どもは巣立ち、親離れをしていく。それが子育てのパラドックス。では子育てをすることに意義はあるのか?子育ての最中は苦しくて大変だけど、振り返ったとき、あんなこともあったこんなこともあったと思い出に浸る。昨日、できなかったことが今日できるようになるという子どもの成長、想像以上に子どもが親を超えるところを見ること、それが子育ての喜びなのかもしれない。

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2016年03月09日

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