あらすじ
英語、韓国語、中国語など外国語を学ぶ人は多く、また日本語教育に携わる人も増えている。だが各種のメソッドや「コツ」は、果たして有効なのだろうか。言語学、心理学、認知科学などの成果を使って、「外国語を身につける」という現象を解明し、ひいては効率的な外国語学習の方法を導き出す「第二言語習得(SLA)」研究の現在を紹介する。
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Posted by ブクログ
第二言語習得の適性や習得する年齢による違いなどを科学的なデータに基づき分かりやすく解説している。
第一言語習得はふつう成功するのに、大人の第二言語習得はふつう失敗に終わる。この違いはどのからくるのかを明らかにして、言語習得のメカニズムを考えるという手法には目から鱗だった。
第二言語の習得には母国語との距離(文法や語彙がどれくらい似ているか)が大きく関係しているが、ほぼ同じ距離の他のアジアの国々に比べて日本人は英語ができないとされる。それは、日本は英語ができなくても困らない環境(翻訳書が用意されていたり仕事も日本語で完結する)が整っていて動機づけが甘いことが主な原因である。
• 似通った言語を学習するときには、インプットを大量に理解することによってかなりのレベルまで習得が進む。
• リスニングは聞いても20%しかわからない教材を聞くより80%以上わかる教材を何度も聞いたほうが効果がある。
こういう分野の本を飲むのは初めてだし専門でも無いので、内容の正誤については判断できませんが、第二言語習得という複雑な過程について色々な研究成果を紹介しながら、説明しています。インプットの理解とアウトプットの必要性が第二言語習得において大切ということですが、まあやはり近道はないのだなと思わされました。現在英語と中国語を勉強中ですが、意識するべき点を学べたという意味では読んで良かったです。参考文献も新書とは思えないほど豊富です。
Posted by ブクログ
第二外国語の習得が母語に比べて圧倒的に遅いのは、以下の2つの理由によると考えていた。
1)圧倒的なインプット量不足。相当勉強している人でも朝起きてから寝るまでに見聞きする外国語の比率は半分にも満たない。普通は1/100から1/1000位ではないか?そうだとすると日本で1年間に習得する日本語知識と同レベルの外国語知識を獲得するには100年から1000年かかることになる。子供が言葉を覚える時も、最初は文法も発音も稚拙だが、親が付きっきりで正しい表現を都度教えていく。第二外国語を学習するのにもネイティブが24時間付きっきりで間違いを正してくれたら上達が速いと思う。
2)記憶への定着が悪い。人は意味記憶よりもエピソード記憶の方が圧倒的に記憶しやすい。母語を覚えるのは一連の体験の中で文脈を持って覚えていくから言葉の意味や、それが使われた状況を含めて記憶している。一方で外国語はテキストを読んで覚えるから日常の文脈から切り離された意味記憶となり記憶が定着しにくい。自分の場合も海外で覚えた表現はいつまでも覚えているものだ。
本書を読んでも上記の確信は変わらないが、これに加えて最初に覚えた言語がフィルタになって新しい言語の習得を阻害する可能性があることを知った。なるほど、確かにそれはありそうだ。
第二外国語の習得に関する科学的なアプローチがこんなにも研究されているとは思わなかった。40年前に知っておけばと悔やまれる。
Posted by ブクログ
第二言語習得に関してエビデンス・ベースに科学した本。母語習得はほぼ間違いなく成功するのに、第二言語はなぜ失敗することが多いのか。子供ほど成功しやすいが、習得に臨界期が存在するのか。適性や動機付けの影響はあるのか。また、言語を習得するというのはどういうメカニズムか。母語と第二言語で異なるのか。などなど、この分野での現在までの研究結果の到達点を解説しています。効果的な学習法を手っ取り早く知りたいという人というよりも、第二言語習得という言語学に興味ある人にオススメです。
一番興味深かったのは、アウトプットが習得に与える影響の有用性に議論がある点。素人考えでは、効果あるのが常識かと思っていたが、内的なリハーサルだけでも効果があるので、インプットのみが習得に有用という見方もあるのだなと。
個人的に、4月から管理部門の有志を集めて英語講座のストリーミング放送を聴いているのですが、学ぶ立場だけでなく教える立場としてもどうしたら効果的なのか考える機会も多く、ちょいネタとしての活用の余地も含めて非常に参考になりました。
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同著者の『外国語学習に成功する人、しない人』の続編として書かれた本。
同じような内容はあるものの、第二言語学の基礎が学べる王道の本。何度読んでもいい。読むに値すると思う。そして、この中から少しでも自分の第2第3の言語習得に役立てていきたいと思う。
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外国語をどうやって効率よく学ぶか」を、言語学・心理学・認知科学などの成果を用いて科学的に考察した本。
成功する学習者
・学習を始める年齢が若い
・外国語学習の適性が高い
・インプットは習得、アウトプットは自動化の基盤
・正しい発達段階を経てる
・背景知識のある教材の使用
・強い学習動機
目新しい情報は少なく、考えれば何となく想像がつく内容が多かった。しかしそれらを科学的に説明しているので信憑性が高い。
結論、モチベある奴が無敵。
Posted by ブクログ
外国語学習の研究史とプロセスについて書かれた本。
これを読むと、学生時代はこの本に書いてあることとまさに真逆のこと(文法優先、単語を単語として覚える、極端なまでの和訳読など)をやって見事に英語嫌いになったのが分かるし、その後社会人になってからTOEIC695点(全く自慢にならないからこそ書ける)までなんとか底上げできた理由(シャドーイング中心の勉強)もなんとなく分かる。
結局のところ、子供の頃にどれだけ興味を持てるかが勝負になる現実は避けられないのだなと。言語に限らないかもしれないが…。
Posted by ブクログ
言語学の知識がほんの少しあるからか、とても分かり易くスラスラと読めた。
新書って、書かれている内容の知識が少しあればこんなにも簡単に読むことができるんだなと初めて思った。
第二言語習得のメカニズムが第二言語習得論を通して書かれている。
その中で、具体的な第二言語習得方法として
1.アウトプットよりインプット
2.単文よりもダイアローグの暗記
3.アウトプットも毎日少しでもやるべき
の3つが重要ポイントなのではないかと思う。
言語学について学びながら、言語習得についてもためになる一冊。
Posted by ブクログ
読みやすかった。でも引用する研究の数が多すぎて結局何言いたいのかはよくわからなかった。
多分ようはインプット多めで、でもアウトプットも今の学校の量よりは増やすようにってことだと思う。
Posted by ブクログ
第二言語習得論について一通り網羅されており大変勉強になった。クラシェンのインプット仮説は聞いたことがあったが、インプット仮説が全て正しいというわけではなく、それだけでは説明できない点があること、自動化モデル説の存在など、第二言語習得論における位置づけや潮流も概観することができて良かった。
日本の英語教育には圧倒的にインプットが不足しているというのは薄々感じていたが、第二言語学習のために最も良いとされているコミュニカティブアプローチの真反対をいく文法訳読方式に問題があるという主張には深く頷かされた。
もともとは子どもの英語教育について関心があり本書を手に取ったが、幼児期の学習は無意識の学習であり、第二言語習得ともまた違っているように思う。子どもの言語習得について他の本も読んでみたい。むしろ、自分の英語学習法を振り返り、今行っているLearning Englishのリスニング、ディクテーション、英語ニュースのリスニングは理に適っていると再認識できたのは副産物であった。
Posted by ブクログ
言語学習ついて、とても分かりやすく説明されている。「日本語には、英語のような複数形がありませんから、いちいち複数形のsをつけるのは大変。一方、所有の’sの方は日本語の表現と非常に形が似ているので、やさしい。」という内容を読み、妙に納得した。しかし、なぜ日本語には複数形の表現がないのか不思議である。現在我々は世界中で異なる言語を使用しているが、もし世界が一種類の言語で統一されていたら、どのような世界になっていたのだろうか、という妄想が止まらない。
以下、本書より抜粋。
Listen more, speak less. Read more, write less.
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母国語で離れた言葉ほど、覚えにくい、近い言葉だと覚えやすいが、母国語との違いを気付ないまま転用する「負の転移」がある、などと書かれている。
最後に結論が書いていあるけど、なるべく早いうちから、モチベーションの高く取り組むこと、等が書かれています。
ちょっとカタめな研究書風。
Posted by ブクログ
"母国語以外の外国語を学ぶことについて研究している様々な事例から、効果的に第二言語を習得するにはどんな学習がよいのか!
なんだか、こんな本ばかり読みながらなかなか英語の勉強を始めない自分。
この本のようなやり方も参考にしながら学習していきたい。
この本で印象に残っているのが、アメリカがスパイ活動で情報収集するには、相手国の言語を操れないといけない。そこで、いかに効果的に外国語をマスターするかという研究をしていたというところ。
効果的な方法は最後の章にまとめてある。
好きな分野のインプットを基本に
例文の暗記
アウトプットは毎日少しでも
・・・
がんばろう!"
Posted by ブクログ
p97 の動画は今は見られないみたい。
p181の教授法、日本であるかなあ。
外国語で情報を入手するレベルまでなるべく早く到達する努力。
聴覚優先教授法、沈黙期を保証してやる。インプット+文法的言語処理のためのアウトプット(リハーサル)の必要性。インプットの量を増やす。例文暗記に必要語を入れ替える。
言語習得は、かなりの部分がメッセージを理解することによっておこる。意識的な学習は発話の正しさをチェックするのに有効。自動化により実際使える能力に貢献。普通に聞いているだけでは気づかないことに気づかせ、理解による自然な言語習得を促進する。
十分なインプット。分野を絞り、専門分野と興味のある分野について。リスニング、20%理解より80%理解のほうがいい。回数多く。自国のニュースを対象言語で聞く。
例文暗記。よく使う表現、例文、ダイアローグ。
アウトプット毎日。日記、独り言録音、学校や会話喫茶、ネットチャット。アウトプット時、まずは意味を通すこと優先。次に正しい文、正しい発音。正確さと流暢さのバランス。
コミュニケーションストラテジー。時間稼ぎ、パラフレーズ、得意でない分野の回避等の決まった表現。
文を作れる程度(高1くらいまで)の文法。適性と学習方法の組み合わせ。
文法は家庭学習に回し、教室では理解可能なインプットを与える。文法精読と内容理解多読。多量の英文を読ませる。TorFを英語で聞かせて判断。
カーネギーメロン。文法事項を使った学生同士のインタビュー。課ごとによく使われる構文表現が入ったダイアログ暗記。宿題で自分のことについて書く。
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語学はもっと科学されるべき、との思いで読んでみた本であったが想像以上に奥が深かった。また語学は言語学だけでなく、脳科学、心理学またバックグラウンドも大きく影響を与えることは何となく理解していたがここまでの複雑性は意外であった。筆者の仮説と実践を丁寧に示すアプローチはまさに科学であって論理的思考能力を見つめ直す機会となった。あれ、語学勉強法を知りたかったのではなかったっけ?笑
Posted by ブクログ
「第二言語習得研究」という学問分野の知見の概説なのですが、とても分かりやすく、また自分の英語学習のためにも有用な(有用と思われる)指摘多数でなかなか興味深く読みました。
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面白かった。
様々な角度から言語習得の仕方を述べているのが良かった。
やはり、学習において正解はない。気持ちが何よりも大切ということを分からせてくれた書物でした。
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外国語学習(主に英語を中心とした第二言語習得)の様々な研究や理論を紹介し、効率的な学習への示唆を提示する。
習得と自動化の違いなど、なんとなく感じてたことがわかりやすく言語化されていた。
理解できる範囲でのたくさんのインプットと、日々小さくても良いのでアウトプットをすること、自分も外国語学習者として継続したい。
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英語、ゆくゆくは中国語の習得の役に立てば良いなと思って読み始めましたが、特に新しい発見はなかったかな。インプットもアウトプットも結局大事だよ、ということと理解しました。
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どうしたら第二言語を習得できるか書かれた本。科学的に書かれている本なのでメソッドではありません。使えるようになるには聞くだけでなく話さなければいけないんだなぁ。
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英語,韓国語,中国語など外国語を学ぶ人は多く,また日本語教育に携わる人も増えている.だが各種のメソッドや「コツ」は,果たして有効なのだろうか.言語学,心理学,認知科学などの成果を使って,「外国語を身につける」という現象を解明し,ひいては効率的な外国語学習の方法を導き出す「第二言語習得(SLA)」研究の現在を紹介する.
プロローグ
第1章 母語を基礎に外国語は習得される
第2章 なぜ子どもはことばが習得できるのか ──「臨界期仮説」を考える
第3章 どんな学習者が外国語学習に成功するか ──個人差と動機づけの問題
第4章 外国語学習のメカニズム ──言語はルールでは割り切れない
第5章 外国語を身につけるために ──第二言語習得論の成果をどう生かすか
第6章 効果的な外国語学習法
あとがき
重要語
参考文献
感想
第二言語と母国語の文法の乖離や習得の動機づけ、会話の脳内リハーサルなど言語習得のメカニズムやテクニックをあらゆる研究結果や論文に基づいて知れた。そもそも音声認識能力、言語分析能力、記憶が必要不可欠であり自身の適正に合った学習法を採用する。
例えば:例文の丸暗記や音声を繰り返し聴いてから、実際に話すことが効率的な言語習得だったり、文化的に理解をしたいなどの動機を持つなど
Posted by ブクログ
子供は第二外国語を特別の学習なしに身につけることができるのに大人にはそれが難しいのはなぜか。言語系統が近い言語と遠い言語における学習過程の違いは何かなど第二言語習得に関する科学的なアプローチを紹介し、そこから効果的な学習方法の提案などに展開していく。
言語の習得に関してはまだわかっていないことも多く、決定的な学習方法というものも存在はしないが、本書ではインプットを重視することが学校教育でよく行われる文法訳読方式よりも効果的であろうと締めくくっている。
これさえやればペラペラに!という類ではないが、外国語を学習する上でどのように進めていくのが良いかを考える一つの指針となるのではないかと思う。
Posted by ブクログ
第二言語習得研究という新しい学問の成果を紹介した本です。
第二言語習得研究とは、外国語の学習のメカニズムを、言語学、心理学、脳科学などからのアプローチによって解明する学問分野で、第二次大戦後のアメリカではじまりました。当初は、言語学と心理学のそれぞれの分野で当時の主流だった構造主義言語学と行動主義心理学に基づく外国語習得論が提唱されましたが、これらの理論は言語学や心理学の理論からトップ・ダウン的に導かれたものであり、学習者に対して十分に目を向ける態度が欠けていました。
その後の第二言語習得研究の主流は、実際の学習者の詳しいデータに基づく実証的研究へと移っていきました。本書は、この新しい学問分野である第二言語習得研究の成果を示しながら、外国語習得のメカニズムについてわかりやすく解説しています。
ところで、第二言語習得研究はまだまだ発展途上なので応用はできないという意見も存在するが、著者はこうした立場に与していません。本書では、これまでの第二言語習得研究の成果を生かして、効果的な外国語学習法の提言にまで踏み込んで解説がおこなわれています。ただし、細かいトレーニング法が提唱されているわけではないので、読者がそれぞれ本書で参照されている研究成果を消化して具体的なトレーニングのプランを作成しなければなりません。それでも、このようにみずから主体的に学習プランを組み立てることで、習得への動機づけが高められるように感じました。
Posted by ブクログ
概要: 言語間距離(日本語と英語は遠い、日本語と韓国語は近い); 言語転移(母語の知識が外国語に影響); 臨界期仮説(思春期をすぎたらだめ):生理的な問題か人との関係の質の問題か不明; 適性はまあある; 動機付けも影響; インプット+アウトプットの必要性: 頭の中でアウトプットをリハーサルする; 流暢さと正確さはバランス
感想: 自分の勉強法の参考になるかというといまいちだった
Posted by ブクログ
一番驚きだったことは、アウトプットよりもインプットのほうが重要ということでした。もちろんインプットする際も、ただインプットするだけではなく、インプットされたものがいったい何なのかをしっかりと理解しなければいけないということでした。ですので、漠然と外国語の本を読んだり、音声を聞いたりするだけではNGということでした。やはりダイアログを通じて自分の中のデータベースを増やしていくことが重要、ということで、いわゆる暗記力により習得に差が出るというのが・・・。暗記は苦手な私は人一倍努力せねば、と痛感しました。