【感想・ネタバレ】短歌 2024年3月号のレビュー

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Posted by ブクログ 2024年04月09日

特集は桜、さくら、サクラ。


<世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし>
  在原業平『古今和歌集』

<夜半さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん>  馬場あき子『雪鬼華麗』

<夕闇の桜花の記憶と重なりてはじめて聴きし日の君が血のおと>  河野裕子『森のやうに獣のや...続きを読むうに』



大野道夫さんの論考 短歌の「桜」と俳句の「桜」
短歌の抒情・俳句の叙景
が興味深かったです。


短歌と俳句の比較の試み

<ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ>  紀 友則『古今集』
<ちるさくら海あおければ海へちる>
  高屋窓秋『白い夏野』

<清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき>  与謝野晶子『みだれ髪』
<夜桜やひとつ莚に恋敵>  黛まどか『B面の夏』

<さくらさくらさくら咲き初め咲き終りなにもなかったような公園>  俵万智『サラダ記念日』
<山又山山桜又山桜>  阿波野青畝『甲子園』

<いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほいぬるかな>  伊勢大輔『詞花集』
<奈良七重七堂伽藍八重桜>  松尾芭蕉『泊船集』

<梅雨の夜は重たく赤く濡れている小さき球のさくらんぼ食む>  小島なお『乱反射』
<夕日より濃き桜桃を竿秤>  有馬朗人『天為』


短歌、俳句と桜の魔力。
やはり短歌は抒情的で動きや<心>、「人生」などを詠みこみ、俳句は叙景的で、季語を駆使して時間や季節を詠みこむ傾向があるようである。



〇隠れた「桜」の名歌より
<二千年ここにたちゐて咲く花に人はほほ笑む花もほほ笑む>  武川忠一『翔影』

<この日ごろ桜ゆたかに咲きをりて風吹くときに幹あざやけし>  鈴木幸輔『長風』

<桜沢かずかぎりなくはなびらの散りゆく谷の奥処知らずも>  小見山輝『春傷歌』

<風寒き我が山かげの遅桜おくれたりとも知らんで咲くらん>  樋口一葉『樋口一葉和歌集』

<さくらのゆめの清流なればすずやかに桜が泳ぐ岩魚にまじり>  渡辺松男『牧野植物園』

<呼ぶ声に顔を上げれば夜桜がポップコーンのように明るい>  笠木拓『はるかカーテンコールまで』

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