【感想・ネタバレ】短歌 2024年3月号のレビュー

あらすじ

【連載カラーグラビア】
傑士の後姿…飛高 敬
野に咲く花のやうに…大川智子 選

【巻頭コラム】うたの名言…佐佐木幸綱

【巻頭作品28首】沖ななも・永田和宏・島田修三・小島ゆかり
【巻頭作品10首】阪森郁代・王 紅花・大崎瀬都・松村正直・松本典子

【特集】
桜、さくら、サクラ
●総論…井辻朱美
●論考…大野道夫
●各論…御供平佶・室井忠雄・黒羽 泉・難波一義・小見山 泉・小川優子・行方祐美・中山洋祐・飯田彩乃・長谷川 麟・石井大成

【人物特集】
三ヶ島葭子の見た世界
●総論…秋山佐和子
●論考…奥田亡羊・尾崎まゆみ・松村由利子・荒井直子・さいとうなおこ
●一首鑑賞…河野小百合・西之原一貴・岩内敏行・丸地卓也・雲嶋 聆・立花 開
●三ヶ島葭子の百首…秋山佐和子 選

【作品12首】矢澤靖江・小川恵子・茅野信二・武下奈々子・柴田典昭・上村典子・田中 槐・尾崎朗子
【作品7首】大西久美子・浦河奈々・三宅勇介・松木 秀・標 珠実・山内頌子・菅原百合絵・寺井龍哉・乾 遥香・狩峰隆希

【連載】
京子の居間…栗木京子
家族の歌…カン・ハンナ
言霊の短歌史…鎌田東二×笹 公人
かなしみの歌びとたち…坂井修一
ぼくは散文が書けない…山田 航
啄木ごっこ…松村正直

【連載エッセイ】
はるかなる言の葉…辻井竜一
うたよみの水源…寺本百花
一葉の記憶…藪内亮輔
嗜好品のささやき…畑谷隆子

【歌壇時評】岡崎裕美子
【月評】鈴木竹志
【歌集歌書を読む】佐田公子
【書評】


【角川歌壇】
【題詠】

歌壇掲示板
読者の声

第70回角川短歌賞応募規定
令和7年宮中歌会始詠要領

※電子版には「令和俳壇」応募専用はがきがついておりません。あらかじめご了承ください。

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Posted by ブクログ

特集は桜、さくら、サクラ。


<世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし>
  在原業平『古今和歌集』

<夜半さめて見れば夜半さえしらじらと桜散りおりとどまらざらん>  馬場あき子『雪鬼華麗』

<夕闇の桜花の記憶と重なりてはじめて聴きし日の君が血のおと>  河野裕子『森のやうに獣のやうに』



大野道夫さんの論考 短歌の「桜」と俳句の「桜」
短歌の抒情・俳句の叙景
が興味深かったです。


短歌と俳句の比較の試み

<ひさかたの光のどけき春の日に静心なく花の散るらむ>  紀 友則『古今集』
<ちるさくら海あおければ海へちる>
  高屋窓秋『白い夏野』

<清水へ祇園をよぎる桜月夜こよひ逢ふ人みなうつくしき>  与謝野晶子『みだれ髪』
<夜桜やひとつ莚に恋敵>  黛まどか『B面の夏』

<さくらさくらさくら咲き初め咲き終りなにもなかったような公園>  俵万智『サラダ記念日』
<山又山山桜又山桜>  阿波野青畝『甲子園』

<いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほいぬるかな>  伊勢大輔『詞花集』
<奈良七重七堂伽藍八重桜>  松尾芭蕉『泊船集』

<梅雨の夜は重たく赤く濡れている小さき球のさくらんぼ食む>  小島なお『乱反射』
<夕日より濃き桜桃を竿秤>  有馬朗人『天為』


短歌、俳句と桜の魔力。
やはり短歌は抒情的で動きや<心>、「人生」などを詠みこみ、俳句は叙景的で、季語を駆使して時間や季節を詠みこむ傾向があるようである。



〇隠れた「桜」の名歌より
<二千年ここにたちゐて咲く花に人はほほ笑む花もほほ笑む>  武川忠一『翔影』

<この日ごろ桜ゆたかに咲きをりて風吹くときに幹あざやけし>  鈴木幸輔『長風』

<桜沢かずかぎりなくはなびらの散りゆく谷の奥処知らずも>  小見山輝『春傷歌』

<風寒き我が山かげの遅桜おくれたりとも知らんで咲くらん>  樋口一葉『樋口一葉和歌集』

<さくらのゆめの清流なればすずやかに桜が泳ぐ岩魚にまじり>  渡辺松男『牧野植物園』

<呼ぶ声に顔を上げれば夜桜がポップコーンのように明るい>  笠木拓『はるかカーテンコールまで』

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2024年04月09日

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