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Posted by ブクログ
夏の北アルプス、吹雪の日本海、里山の無人駅―超ローカル線の車窓をぼーっと眺め、昭和の名残漂う駅前旅館に泊まる旅。JR地方交通線「身延線・大糸線」「水郡線・只見線」「日田彦山線・久大本線・豊肥本線・肥薩線」「鳴門線・牟岐線・徳島線・予土線・内子線」「陸羽東線・陸羽西線・五能線・津軽線」「留萌本線・宗谷本線」のほか、台湾・韓国のローカル線と駅前宿の旅コラムも収録。(表紙裏)
海外紀行作家・下川祐治さんの、珍しい日本紀行文。
シリーズのように読んでいた貧乏旅行と違い、制約があまりないので、いつもの七転八倒するような面白さは薄い。
じゃあ何が良いんだっていうと、ローカル線を乗り継いでご当地の旅館(駅前旅館?)に泊まるっていう行程がもう羨ましくて羨ましくて。
そこは勿論ローカル線だから、『何もない』辛さも繰り返し出てくるんだけど、それでも文庫本片手に…という妄想が噴出してしまう。
Posted by ブクログ
アジア格安旅行でお馴染の、下川さんの、国内旅行の本。
出版は新しく、ごく最近である。
…にもかかわらず漂う、昭和のかほり。
この本の旅のこだわりは、まずは各駅停車の旅。
特急や、リゾート列車などの、オサレなものには乗らない。
宿泊は、作者が思う、いわゆる『駅前旅館』に限る。
“温泉旅館”や、“ビジネスホテル”は対象外なのだ。
映画の寅さんが利用するような宿。
その時代の行商の人などが(唐草模様の風呂敷背負って?)利用するような宿。
そういう宿を探すのにも苦労したらしい。
まず一つには、ホームページが無いから。
だいたいが、老女一人で運営しているから、サイトなどは作れない。
中には、もう食事の用意はできないので素泊まりで、というところもある。
元気なおかみさんが運営する宿は、他人行儀な旅館とは趣が異なり、“下宿”の雰囲気。
『銀河鉄道999』のような列車で、なんというか、タイムスリップの旅のよう。
きっと面倒くさいのだろうが、現実逃避できそうで憧れる。
こういった路線がかろうじて残っているのは、高校生の通学のためだという。
朝晩だけでも列車を走られれば、彼らは遠くの高校に通うことが出来る。
でも、高校を卒業したら、都会に出てしまう人も多いのだろうなあ…
日本は、都会だけに人が住み、あとは荒野になってしまうのだろうか…
いろいろ考えさせられた。
ところどころはさまれる、韓国や台湾の旅行記…
日本の地方交通線から連想できる旅、ということらしいけれど、アジアの旅はなんとなく陽性。
比して、日本の旅は、冬の演歌のイメージである。
四国の旅も書かれていたが、印象に残るのは、北国の厳しい冬の旅…
こんな旅の本が書けるのは、下川さんしかいないなあ~
と思ってしまう。