【感想・ネタバレ】P+D BOOKS 宿敵 下巻のレビュー

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Posted by ブクログ

同じ秀吉恩顧の武将である行長と清正の確執を近習の頃から描いていて、その相容れない性質にひりひりするのだがどちらにも感情移入してしまうほど心理描写がうまい...。宿敵である行長が関ヶ原の戦いに負け処刑されこの世からいなくなった時、清正は宇土城を攻め落としていたが、城内で一人悦びはなく茫然と佇んでたとこがとても印象的だった。
また行長の妻の糸が行長を深く理解し唯一の支えであり戦友として、最期まで夫を想い続けて行動していたのも泣けた。

特に信仰と野心との間で揺れ自分の生き方に苦悩するところや、朝鮮出兵を経て何もかもを諦め俗世から去りたいと思う行長の心情の描き方が個人的な解釈にぴったり合う行長像だった。
元は秀吉麾下でどう活躍し出世するかと水軍を作ったり模索して奮闘していた行長が、長い長い朝鮮出兵で生き残るためそして無駄な戦を終えるために秀吉を欺き、それも全て水泡に帰した時、この世の虚しさと儚さを感じて自分自身の人生を振り返る行長の心情を慮るとなんとも堪えきれない感情が溢れてしまう。
小西行長は、武将でありながら商人でもあり、そしてキリシタンでありながら誰よりも人間臭く戦国の世を生きた特異な人物であったのだろうと思いを馳せる。

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2024年03月26日

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