【感想・ネタバレ】ルポ 居所不明児童 ――消えた子どもたちのレビュー

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Posted by ブクログ

担任の先生など、当該児童と密接に関わっている(いた)人の中には所在不明児童がどうしているのか真剣に調査し、関わろうとする人もいるが、それ以外の人・担当者はプライバシーなどを理由に「臭いものにふた」で終わらせてしまう。
そもそも所在不明児童には親身に関わってくれる大人が存在するケースが少ないのであり、社会としてどうやってこういう子どもたちを救いだしていくのか、考えなくてはならない。

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2015年08月13日

Posted by ブクログ

2014年、17歳の少年が実の祖父母を殺害する事件が起きた。その後の裁判で、少年は11歳から学校に通ったことがなく、家族でホームレスとなり、居所を転々としていたことが明らかになる。

義務教育であるはずの小中学校で、突然、児童が学校に通わなくなり、住民票の住所からもいなくなってしまう。そんな「居所不明児童」という子どもが存在するのだ。

自らの力で存在を証明できない子どもたちが一番に頼るのは当然、家族。しかし、その家族が頼りにならないとき、学校、教育委員会、児童相談所、市町村、警察などが救いの手を差し伸べるのは当然。しかし、これら組織が連携していないことが最大の問題だ。

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2015年06月17日

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383人。2014年の居所不明児童の人数である。1961年から2014年
までの累計では約24,000人になる。

神奈川県厚木市で白骨化した男児の遺体が発見された事件が
あった。両親は離婚し、父親が男児を引き取ったが週に数回、
コンビニの弁当やパンを置いて来るだけで、育児を放棄した。

男児が発見されるまで8年。その間のどこかで救いの手を差し伸べる
機会はなかったのか。

この事件は勿論、本書ではかなり衝撃的なケースを取り上げている。
詠めば「ああ、あの事件か」と思い出すものばかりだ。

地域から、学校から、忽然と姿を消した子供たちがいる。そんな子供
たちが発見されるのは既に死に至ってからというケースのなんと多い
ことか。

何故、子供たちを救えなかったのか。一番の問題点は親であろう。
子供を育てるということがどういうことなのか分からない親たち。
貧困の中で「助けて欲しい」との声を上げられない親たち。そして、
「命」への無関心。

例え行政が子供の不安定な生活を把握していても、情報共有が
旧態依然としている現状では居住地域を離れてしまえば追跡調査
が出来ないという。今時、不明児童のデータがFAXってなんだよ。

実際に起こったいくつかの不明児童のケースを追い、教師、社会
福祉士、児童相談所への取材を行っている。

誰が、どこまで踏み込むか。線引きは難しいのだと思う。でも、救えた
かもしれない命は確かにあった。

この世に誕生したのは確かなのに、どこにいるのか分からない子供
たち。出生届さえ出されていない子供を統計に加えたら、実際の居所
不明児童の人数はもっと増えるのだろうな。

社会から零れ落ちてしまう子供をなくすことを、もっと真剣に考えない
といけないんじゃないか。

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2017年08月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ほんと気の毒だ。そもそも虐待で子供を殺した親への刑罰が少なすぎると思う。そして事件を忘れるのは早い。ここに載ってる事件を検索してたら虐待をまとめたサイトがあって、県別になってたので見たら、糸魚川の65歳と28歳妻の連れ子との子供を殺す、というのを見つけて、こんな大事件を忘れてた、と思った。その後続報が一切ないのは性虐待がからむからか。障害があったからなのか。

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2017年01月19日

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 親の育児放棄や虐待などのために、住民登録がなく就学せず所在も不明の「居所不明児童」の実態を追ったノンフィクション。全面にわたって著者の「もどかしさ」が伝わる。親の幼稚さや関係者の怠慢への批判は厳しいが、他方でこの問題が小手先の対症療法でどうすることもできない現代社会の構造的矛盾の集約点であることも浮き彫りになっている。

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2016年07月05日

Posted by ブクログ

切り込みが甘い。
国家権力に対し、今後のジャーナリスト人生を考えたとき、ある程度仕方なく、突っ込めないのはわかるが、、、
もっと厳しく指摘して欲しかった。
みながどうしょうも無い職員ではない。
ほんの一部であろうけど、教員、児相、福祉事務所職員はガンバっている。

さて、お上には、制度や財源手当に深刻さがまったくもってもらえない。
それは、政治的に“票”にならないからだ。

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2015年08月09日

Posted by ブクログ

家庭・教育問題、児童虐待、などをテーマに
綿密で豊富な取材実績を誇るジャーナリスト、石川結貴さんの新刊です。
sashaさんが既に素敵なレポを書かれています。

居るはずなのに学校にも来ないし、
住民票にある住所にも住んでいないという、
居所不明児童について、実際に起こった事件を追い、
複雑な家庭事情や社会の落とし穴が鮮明に見えてくる作品でした。

この作品で取り上げられている事件は、全て現実に起こった事件です。
親しか頼るものがない幼い子どもたちは、
どんなに親から冷たい仕打ちをされても耐えるしかなく、
その結果行き着くところは、「死」でした。

周りの人たちや行政機関の人々が
居るはずなのに存在感がない子供に気が付いて
「おかしい」と思っても、助けてあげられなかったもどかしさ。
これが現代社会の現実なのでしょう。

なぜ助けてあげられなかったのか。
引っ越しから引っ越しと遊牧民のように移転する親。
所在する県が異なれば、
県から県への連絡も遅くなったり行く届かなかったり。
キチンとした親ならば
その都度手続きはちゃんとするはず。
それが出来ないのは、
やはり生活の困窮と親としての自覚の無さなのでしょう。
遊牧民族は家族の絆は強いようです。
同じように移転をくり返していても、全く違いますね。

「居所不明児童」を世に生み出したのは「大人」の責任と思え、
今後少しでもこのような子供たちを救ってあげたいと思いました。

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2017年11月09日

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居所がわからない子どもが少なくないことを知り驚いた。
居所不明児童が楽しく平和に過ごせているとは思えない。
本に出てきた児童は、祖父母を殺してしまったのだが、背景を知ると児童に罪はないのでは? という気持ちさえする。

児童相談所、学校、どこも忙しすぎて、なかなか一人の児童にかかりっきりになれない。どうしたらいいのだろうか……と考えさせられた。

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2015年06月26日

Posted by ブクログ

プライバシーや人権への配慮が叫ばれる社会で,声を上げることのできない子供たちをどう発見し助け出すのか。行政介入の難しさがもどかしい。
中心として描かれる少年のケースが印象に残る。貧困の中,実母とその愛人に支配され,小学校にも通えなくなり,野宿を含め居所を転々とした少年。産まれた赤ん坊の世話や金策を押し付けられ,果てに母親の教唆によって金のために祖父母を殺害してしまう。こんな悲劇に至る前に,劣悪な環境から解放してあげられていれば…と思わざるを得ない。
課題は地域を越えた学校,児相,警察の連携。特に学齢の子供がほぼ必ず通う小中学校段階で家庭状況をしっかり把握し追跡することが最も効果的だと思うのだが,それには多くのマンパワーを要するし,保護者の壁も厚い。財務省も教員削減などと言ってる場合ではないんじゃないだろうか…。

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2015年05月19日

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約2万4000人。

これは、1961年から2014年までの54年分の居所不明者の累計数である。ちなみに2014年の居所不明者数は383人である。この人数をどう捉えるかは人によって異なるだろうが、決して少ないとはいえない。またこの統計上の数字には計上されていない事例も数多くあるものと思われる。本書に登場する亮太(仮名)も統計には出てこない居所不明者の一人だった。

亮太は幼い頃に母と父が離婚し、その後は母と共に各地を転々とする生活をおくる。母の愛人と一緒に暮らしたり、母とその恋人とラブホテルで一夜を過ごすような生活をおくることになる。そんな彼は十七歳の時に強盗殺人の罪を犯している。実母から祖父母に金を無心するように要求されたうえでの犯行だった。

彼は11歳から学校に通えていなかった。だから、学校なり教育委員会なりが異変に気付いてもよさそうなものである。しかし、実際には異変は察知されず、最終的に彼は罪を犯してしまうことになる。住む場所もままならず、学校に行けない子どもがどうして社会から認知されず、助けられないまま厳しい人生を歩まなくてはならないのか。その原因はどこにあるのか。それが本書の主題である。

縦割り行政、公的機関の対応の不徹底、学校の教員数削減と評価システム、児童相談所の疲弊…。数多くの問題が複雑に絡まりあい解決を困難なものにしている。ここ数年、「子どもの貧困」や「虐待」に関する著書が多く出されているが、それらの著書とともに本書も子どもが置かれている不幸な現実を認識するうえで読んでおきたい1冊だといえる。

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2015年04月24日

Posted by ブクログ

平成27年5月1日現在居所不明者は全国で2900人を越え、その中に300名の子どもがいるという。住民票があるが学校に来ていない児童が居る。何かの理由で居なくなっているのだが、居場所を突き止めることは不可能。そういう児童は虐待、事件に巻き込まれていることが予想される。事件から救うにはどうしたらよいのか。細かく情報収集し、支援するしかないのだが。

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2015年08月09日

Posted by ブクログ

居所不明児童対策が急がれている。ここに描かれている子供達は、今の対策で見つかるのだろうかと疑問。ただ、何もしなければ誰も見つからない。

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2015年06月15日

Posted by ブクログ

子供や少年が係る事件や犯罪報道がなされる度に、教育の問題、行政の問題、親の問題等通り一遍の解説や批判がなされるが、どこか他人事の風潮は否めない。
この本は、そうして見過ごされていく居所不明児童の実態について、丹念な取材によりその実態の一端を赤裸々に暴き出している。
具体的な解決策がすぐ見つかるわけではないが、身近にこの悲惨な現状があることをまず知る上からも、より多くの人が読むべき本と言える。

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2015年06月08日

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