あらすじ
烈しくも切ない、桜と人生をめぐる7つの物語。あたたかい桜、冷たく微笑む桜、烈しく乱れ散る桜……桜の季節に、人と人の心が繋がる一瞬を鮮やかに切り取った、感動の短編集。ステージママを嫌う子役の女の子(「初花」)、謎多き愛人をめぐる二人の男(「花荒れ」)、見知らぬ女性から「青い桜の刺青の標本を探して」と頼まれる大学資料館のアルバイト(「背中」)……現代に生きる男女の幻想、羨望、嫉妬、自己回復、そして成長を、気鋭の作家が描き出す。
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Posted by ブクログ
夏に読んだ桜の短編を集めた本。
最初は日常風景を切り取るだけの話かなと進まなかったけど、途中から日常の中に溶け込むファンタジーがとても良いとはまって、一気読みした!
愛を確かめるための浮気とか、桜の木のゴーストとか、一見すると既視感があるように思われるテーマも千早さんの小説ではすごく視覚化されて鮮やかに目の前に広がるし、本当にいる人のような気がして、フィクションに現実味を帯びさせる手法がとても映画ぽくて、最近作品が映画化されたと聞いて納得した。
桜にまつわる広がりが花を愛でる以外のモチーフ、例えば刺青や雪、草木染めなどに発展していくのが面白かった。
Posted by ブクログ
まず、驚いたのがこの美しい表紙は蜷川実花さんが担当してたということ!とっても素敵でした。
話は桜にまつわるショートストーリーで、キャラクターがそれぞれ魅力的だった。大きく変わる訳では無いけど、過去と向き合って自分ってこう思ってたんだを見つける物語だった。
最初の「春の狐憑き」が一番好きだった。狐に憑かれてホントの自分をさらけだして、最後には笑いあって夜の桜を見ながらお花見を企てる。
微笑ましいラストで良かった。
ホッコリしました。
Posted by ブクログ
千早さん作品では珍しく、大切な人とつぎの約束があった。2度と会えなかったりしなかった。正直、私は桜があんまり好きじゃない。毎年「美しさ」を人間にしゃぶり尽くされて、アスファルトで黒ずむ花びらを見ると目を背けたくなる。私の喜びは、誰かの苦しさを踏みつけた上にあるんだろうなと自覚してしまう。どこまでを世の摂理として受けいれるべきなのか、最近よくわからない。
・画びょうで壁にぎゅっと貼りつけるような言い方
・人間なんて単純なものです。自分にとって価値があるものにね、金や時間を注ぎ込むんですよ。
・人が完全にわかり合うことはできないと私は思う。でも、繋がることはできる。美しいもの、優しいもの、鮮烈なもの、そういった心動かすものに触れた時、人の心は一瞬溶ける。そんな時に共感する誰かに出会えたなら、とても幸福なことだ。その瞬間はきっとその人の支えになるだろう。
Posted by ブクログ
7編、桜がモチーフでありながら、趣きが様々で面白い。
文章もとても綺麗で、それぞれに桜のイメージが湧いた。色彩豊かというよりもモノクロのシーンに時々、色がつくような感じだった。
好きなのは『エリクシール』『背中』
Posted by ブクログ
桜で繋がる短編集。
千早さんらしく、ちょっと変わっていて厄介な問題を抱えている人達の7つの物語。
特に『花荒れ』が印象深い。
桜はずるい。
あっという間に消えてしまうくせに、人を惹き付けて止まない。
毎年春になれば咲くと誰もが知っているのに、いつだって桜を見る度に目も心も奪われ切ない想いが込み上げる。
春先のちょっと肌寒い季節、桜に誘われて出逢う人達。
ぼんやり淡く漂う空気感がそんな迷える人達を一瞬で惑わす。
けれどどの短編もラストはほんのり明るい。
「桜」の不思議なパワーが人と人を繋ぎ合わせる。
「あとがき」にあった、アフリカのザンビアで千早さんが見たという紫色の桜が見てみたくなった。