あらすじ
「人は何のために生きるのか」。この根本的な問いに、本書で真正面から対峙し答えているのが、一代で京セラを世界的企業に育てた稲盛和夫である。戦後、私たちは物質的に豊かな社会を実現するべく懸命に働き、そして、荒廃した日本を見事再建に導いた。にもかかわらず、今、多くの人の心は満たされることなく、毎日不安を抱きながら過ごしいる。なぜなのだろうか? 本書で稲盛はこう答えている。「人間の生き方や考え方について真剣に考えることなく、また足ることも、人を思いやることも忘れ、ただ利己的に生きているからではないか」。現代のように自由な社会では、確かに私たちはどのような考えをもって生きようと自由であり、誰からの制約を受けるわけではない。しかし、人生に対する考え方により、その結果が大きく変わることを私たちは知っておかなければならない。「自分は何のために生きるのか」。本書は自分の人生を考える契機になるだろう。
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Posted by ブクログ
得度をすでに成されて、今ではお坊さんでもある稲盛さん。基幹となる思想は仏教ですが、真実の人生観、人間観、世界観を確立して、現実生活に活かすための実践行動に大変役立つ、珠玉の文章の数々、まさに精神的な宝の山です。
故松下翁が説かれた「水道哲学」や「PHP思想」にあるように、まずは「貧をなくす」ことによって、「衣食足りて礼節を知る」や「倉廩満ちて栄辱を知る」の言葉どおり、万人が人道に則した真っ当な生活を送れるよう、人間の本質、本性を覚醒して、物心両面の豊かさ(プロスペリティ)を通しての平和(ピース)と幸福(ハッピーネス)を世界大で実現するために、何よりも優先して為すべきは「照顧脚下」、すなわち自分自身の人間性を不断に高めることです。
「一燈照隅」が集まって「万燈遍照」へ、光(大智)と熱(慈悲、仁愛)の体得、実践が一人でも多くの人類に切望されます。
Posted by ブクログ
哲学、もとい仏教的な考えが織り込まれている本でした。
著者の稲盛和夫さんは科学者である一方で、こういった哲学や宗教的な考えも大事にしています。
思えば、スティーブ・ジョブズもそうでした。彼も禅から多くを学び、自然科学と人文科学が交差するような製品作りをしていました。
理論的なことも大事にしつつ、心情的なことも大事にする、一見両者は相反しているかもしれないけれども、両者を大事にする事が大事なのだと思いました。
本書にも、
「事業を展開していくときに、情で判断し、情で行動したら、収集がつかなくなります。また、情で判断して、理性で行動しても、道を誤ります。かといって、理性で判断し、理性で対応したら、誰もついてきません。」
「大事なことは、最初の段階では理性で考え、実際の対応について情をつけることだと思います。」と書かれています。
他にも、沢山の印象に残った部分があります。中でも特に、
「私は『人間が他の生命、他の動物と同じ存在』とする考え方が、結局は人間の価値を低からしめることになっているように感じます。もっとも価値ある存在だということをもっと強調して、その誇りに伴う責任を自覚するよう、私たちは自分自身に対する見方を変えていかなければなりません。」
という部分です。
僕が今まで聴いてきた考え方は、「人間は他の生命と同じだから、自然のサイクルに沿うような生き方をしていかなければならない。」というものでした。
それとは、全く正反対な著者の考え方。これは言うなれば、人間至上主義に通ずるのではないか、という疑問も持ってしまいました。
それでも、責任を持っていることを自覚すれば、確かに行動出来るかもしれない。そして、何よりも著書の考え方を真に正しいものにする為には、人の為、世の為という「利他の心」を持ってこそだと思いました。
だから、いつだって自分の心を高める必要性があると感じました。
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仏教、ブッダの教えを根本に
心のあり方、人間性を
高めることが大切。
布施、持戒、諸行無常、忍辱、精進
10年近く前に出た書籍ですが
内容はとても共感できます。
Posted by ブクログ
●人を助けるという「布施」、やってはならないことを示した「持戒」の二つを子供に教育すべし
●努力をするという「精進」、耐え忍ぶという「忍辱」の二つは自分で身につけるべし
●「運命」と「因果応報の法則」がまるでDNAの二重らせん構造のように縒り合って人生が作られている
●「因果応報の法則」は短い期間ではあわられない。が、十年、二十年、三十年という長いスパンで見れば必ずそうなっている。それでも証明できないと思える時がある。その場合は、現世・来世に証明される。
●あれこれ悩む人は、対策を立てたあと、結果が出るまでのあいだに悩んでいることが多いように思える
●考え抜いて出した対策が吉と出るか凶と出るか、それはわからない。わからないことを悩んでも仕方がない。
●大久保利通と西郷隆盛の「融合調和」⇒理性と冷徹の大久保、情の西郷
●労働の意義を、糧を得るためと限定していると、豊かな時代には勤勉性がうすれていく。ならば従来とは違った労働の意義を見出すべき
●勤勉に働いた成果で他国を助けるならば、それは強い安全保障とさえいえる
●善悪の分かれ目とは、自己を愛する「愛」と他を愛する「愛」のあいだにある
●自分の会社を立派にしたいという自己愛が強すぎると、会社は生きられなくなる
●災難に遭うのは、過去につくった業が消えるときです。業が消えるのだから、喜ぶべきです。今までどんな業をつくったかしらんが、その程度のことで業が消えるならお祝いせんといかんことです。
Posted by ブクログ
ビッグバンから始まった宇宙には、生成発展する方向へと向かう力が備わっている。その力あるものがすべての根源にあるのだとすれば、私たち人間も生成発展に向かうことが道理となってくる。発展せずに退行する意志は、宇宙の向かう方向とはずれてしまうので、世間一般に言われている理想の成功に程遠くなってしまうのである。
Posted by ブクログ
「人は何のために生きるのか?」と問いかけることが、
哲学のテーマのひとつだろうね。
「人はなぜ生きるか?」という問いかけは、
生きちゃっているから、その質問がしにくいのだろうね。
「人はどのように生きるのか?」というのは、
ハウツゥーのような 安易なものであり、
自分勝手に、好きなように生きればいいのだから、
何のために生きるのか?と言うのは、
自分のために生きればいいのだが、
他人のために生きているとしたら、
何らかの理由がいるのだろうね。
豊かになる為に、お金持ちになるために、家族のために、
家を建てるために、美味しいものを食べるために、
というのは、ちょっと、こまいことなんだろう。
その理由を、ビジネスで成功してきた人が、お金を得て、
そして、そのお金の使い道を、ある程度みえてきた時に、
後は、何のために生きるのかは、自分のためだったら、
ちょっと、寂しい感じがすると言うことなんだろうか。
まぁ。こんな風に考えると
素直じゃないなぁと言われるだけなのかも。
とにかく、素晴らしい人生とは、
周囲の人に言われるのではなく、
自分で思えるようにすればいいのだ。
しかし、自分の評価では、
素晴らしい人生と言うのではないようだ。
自分と言う存在の「価値」、
そして「意味」「必要性」を問う。
それは、人間と言う全体ではなく、
個として問われるべきでもある。
Posted by ブクログ
Kodama's review
稲盛さんの書籍は今までに何冊か読ませて頂きましたが、どの本を読んでも勉強させられます。人は何のために生きるのか、そして、素晴らしい人生を生きるためのヒントがたくさん詰まっていて、あらためて考えさせられる一冊です。
(08.8.3)
お勧め度
★★★★☆
Posted by ブクログ
言わずと知れた現在の日本で随一の経営者「稲盛和夫」が、京セラや第2電電の経営の中で得た哲学について、まとめられた本。
もう宗教としかいいようがないくらい仏教に傾倒しています。
経営哲学について学び取るというより、こういう人が語る仏教って胡散臭さがなくなるのはなぜなのだろうかとか、思ってしまいました。
Posted by ブクログ
「なんのために働くのだろう」
「なんのために生きているんだろう」
「なんのために、自分を磨いているんだろう」
こうした問いに、1つの答えを提示してくれる本。
道徳のような側面もあるので、人によっては好まれないかもしれません。自分は好きでした。
Posted by ブクログ
「人生の目的は自分を高めることにあり」という趣旨が一番心に残った。仏教思想が随所に取り込まれており、哲学が宗教と個人の思想によって完成している。
Posted by ブクログ
簡単に言えば、宇宙はどんどん膨らみ続けていくのが流れだから、人間も進化、発展するのが流れだよって言ってる。みんなちがって、みんないいけど、自分らしさを、自分の器の範囲で全うしつつも、世界の発展が流れだってことを忘れず生きようって内容。
「自分が最も楽しい取り組み方で、人生を楽しもう。そういった歴史が、未来の発展の糧になる。」自分なりに要点をこうまとめてみた。
もう一つ面白いなぁと思ったのは、宇宙には「意思」なるものがあるという説。宇宙は発展したがる「意思」があるから、人間も世界も発展せざるを得ないっと言っていた。
見方を変えれば、こんなに窮屈な考えはない。人間の運命は決まりきっているんだ!っと言われているようなもので、そんなのつまらないじゃないかっと思ってしまう。
だけど、また見方を変えれば、宇宙とはつながっているということ。この世で、自分を本当に理解してくれる人はきっといないっと絶望しても、それでも宇宙だけはつながることが出来るということ。
人間は辛い時には、宇宙とつながることができるし、いやなら歯向かって楽しめばいい。人生は完璧に決まっていて、完璧に自由だ。
そんな矛盾してる人生が楽しいんだ。なんだか彼の哲学からは、そうも
聞こえて、面白い。
Posted by ブクログ
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▼ 100文字感想 ▼
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一代で京セラを世界企業にした稲盛氏の人生哲学の書。
お釈迦様の教えについてもっと知りたいと、興味をかきた
てられました。いつも簡単な仏教の本を持ち歩き、繰り返
し読んでるけど実行できないんだよね。という一文に共感。
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▼ 5つの共感ポイント ▼
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■われわれは人間性を高めるために現世で生きている。
人間性を高めるとは、「心を高める」ということ
■お釈迦様の教え 「本能を抑えること」「欲望を抑えるこ
と」「足を知ること」「持戒をすること」
■まだ個が形成されていない幼稚園のときから自主性を
尊重するというのは、勝手気ままに育てることと同じです
■ならぬことはならぬものです(会津藩幼年者 「什の掟」)
■大事なことは、最初の段階では理性で考え、実際の対
応においては情をつけることだと思います