あらすじ
正しく「考え」、正しく「伝える」ことで、「良い提案」が生まれる。現代ビジネスパーソン必修の「提案の技術」を明解なステップと臨場感あるストーリーで解説し、発売以来熱く支持され続けるロングセラー。「現場で使える」論理思考とプレゼンの技法がここにある。
「日本人の若手ビジネスマンが書いた、日本の企業社会を動かすための論理思考の本」。それが本書のコンセプトである。
昨今、色んな場面で「論理思考」の重要性が説かれているが、「欧米コンセプトの受け売り」の域を出た書籍を私は見たことが無い。「まずピラミッドで考える」「ロジックツリーを作る」「MECEを作る」…手を変え品を変え、だいたいどの書籍も書いてあることは同じだ。
外資系の戦略コンサルティング会社で働いていた私にとって、欧米流の論理思考も十分に理解は出来る。しかし日本に生まれ育った私には、やはり「日本的な論理思考」とでも言おうか、「欧米流ではない」物の考え方の方が、日本の会社にはしっくり来る気がしてならない。そして現在、事業会社の経営企画部員としてビジネスの現場で働く中で、日々それを実感している。
「ロジカル・プレゼンテーション」という横文字のタイトルを付けたが、内容は極めて和風である。それは私自身が、多くの日本企業をコンサルティングする中で考えた内容を体系化して書いたからだ。元のコンセプトは、サブタイトルにある「戦略コンサルタントの提案の技術」である。「ロジカル」とは「考える」という意味であり、「プレゼンテーション」とは「伝える」という意味だ。「きちんと考えて、伝えて、初めてビジネスは動く」。これが「提案の技術」であり、本書の根底に流れる考え方だ。「ロジカル・シンキング」ではない。伝えて、ビジネスが動いて、ナンボなのだ。
30歳の1人のビジネスマンが書いた書籍である。しかし、だからこそ「ビジネスの実践現場」の感覚を忘れず具体的に書き上げられたとの自負がある。皆様にお伝えしたいのは、「とにかくビジネスをうまく行かせたい」、それによって「社会を良くしていきたい」、そう考えて私自身は本書を執筆したということだ。
共感して頂ける皆様に、ご一読頂ければ幸いである。(本文より)
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Posted by ブクログ
印象に残った点(備考:各章末のポイントを読むだけでも十分まとまっている)
★★言いたいことを紙に落とせるレベルまできちんと考えないで作った「要約」は、単なる「手抜き」や「思い付き」に過ぎない。41
★★MECE。難しいのは「漏れ」。「漏れ」は全体が定義されて初めて議論できるから。全体がはっきりしない状況では、漏れているかもわからない。そして、その「全体」をどうとらえるかは、話す相手によって変わる。64
・「縦の論理がつながらない理由」①前提条件/知識の違い、②異質なものの同質化、③偶然の必然化。70 「この話はもっと細かく分けて議論する必要はないか」と問いかけることが大切。74
★★MECE「言葉のレベル感」。①まず大切なのは、「次元の違う話」を、言葉のレベル感をそろえて同じ平面上に移す。②その後、同じ平面内で「漏れ」「ダブり」を検討。82 「言葉のレベル感をそろえる」=「視点(5w1h)を考える」84
★★MECEマトリクス:二つの命題を縦軸・横軸にとり、Yes/Noでマトリクスを組成。集合関係で包含されてしまっている命題は、重複があるということ。90 →AがBに包含→「BのうちAでない部分」を定義する。
★ピラミッド・ストラクチャーはあくまで、縦横の論理を構築するスキルが身についたうえでの「集大成」。最初から描こうとしても難しいし、形式的に描き続けても論理思考力は強化されない。94
★納得=「相手の疑問」に答える。106 「相手の疑問を知る」=「論点を出す」。「その疑問に対する客観的な答えを準備し、相手の疑問に答える」=「仮説を検証する」。107
★★失敗例:「屁理屈」「絨毯爆撃」(仮説なき検証。目的・論点・仮説を明示しない「とにかく検証/調べてこい」を指示する上司にも問題あり。154-155)「根拠なき断言」。「的確な答え」を。109
★「前回のサマリー」からはじまり、「具体的な話で締め括る」118
・アナログ的スキルを強化するうえで重要なことは、相手の話を聴くこと。121
★論点を外さないポイント①意思判断を求める、②相手の要求を理解、③相手の意思判断項目を洗い出す、④相手がすでに答えをもっていることに意見しない。130 135
★「論点のないところに仮説はない」。いきなり仮説は、ただの前置きに過ぎない。138
★「相手に考えさせない」141
・「仮説を出すため」と「出した仮説を検証するため」の作業では、求められる情報の内容が全然違う。146
・「縦横の論理が使いこなせれば、仮説が広がり、その精度も高まる」151
・「8割の当たり前のほかに、二割の気付きがあれば、その検証は成功」158
★★P173の「示唆を出す」(論点を絞り込み、方向性を提示する)方法の模範例。175
・「議題と論点を区別する」192 会議が紛糾するのは、「内容の不備」でなく「位置づけの不明確さ」に起因。203
★メッセージがついていないスライドは、「ついていない」のでなく「つけられない」場合が多い。
★★曖昧、抽象的、どちらともとれる表現は、何も言っていないに等しい。具体的にはっきりと表現。248 クリスタライズ。252
・レイアウトは4つ①連関図(因果関係)、②フロー図(流れ)、③樹形図(論理構成)、④テーブル図(縦横に意味を持たせた整理)261
★スライド作成の失敗例P275と模範例P276
★論理展開の型。281 285
★★会議資料パッケージの構成方法 289-290
Posted by ブクログ
全社会人におすすめしたい。
社会人歴10年以上になるが、今まで注意されてきた内容が多く書かれており、新入社員のときに出会っていれば、より多くの成果を出せていたと思う。
特に響いたのは、「示唆が無ければ提案ではない。」という言葉だ。
報告書や提案書では、ファクトや説明だけに終わらずに、相手の次の行動に繋がる「示唆」をしっかりと提示していきたい。
Posted by ブクログ
提案は常にしている。大きものから小さいものまで。その中で提案力を向上するために、縦のつながりと横のつながりを意識して資料作成、説明しようと思った。
Posted by ブクログ
▪️第一章
・紙にまとめるという作業は、自分の頭の中を整理し、矛盾を解決し、的確に物事を考えているということである。
▪️第二章
・論理的かどうかは、相手が決めること。
・人間は自分の頭の中に必ず隠れた前提を持っている。それを洗い出すためには、全く価値観の異なる人の話を聞くこと。
・論理的に話すためには、この話はもっと細かく分けて議論する必要はないかと問いかけること。
・自分の話している因果関係が偶然か必然かを考えるには、時間の流れに沿ってその経過がどうなるかを、極力否定的に考えてみよう。
・視点を揃える上で大事なことは、それは誰の言葉か?を考えること。
・切り口を揃える上で大事なことは、それはどういう場面の言葉か?を考えること。
・MECEは六次元(見える三次元+見えない三次元)
…時の流れ、人の気持ち習慣、情報の流れ
▪️第三章
・仮説検証とは、論点を洗い出し、仮の答えを推測したうえで、答えるための客観的な証拠を準備することである。
・仮説検証のステップは、
①相手の目的への理解
…どういうスタンスでこちらの話を聞いているのか?
②論点の把握
…話をする上でのポイント、相手が知りたいポイント
③仮説の構築
…答えのヤマカンを持つ、ぶつけて答えを探る
④検証の実施
…正しく客観的な動かぬ証拠を揃える
⑤示唆の抽出
…動かぬ証拠をもとに相手の疑問に答える
・コミュニケーションのポイントは、
「議論のスタンスのとり方」と「相手の要望の理解」
・コミュニケーションのスタンスは2種類ある
①何かの意思判断をしてもらいたい
②単に話を聞いてもらいたい
・意思判断を求めるには、具体的な話で締め括る
・まず「相手の話をしっかり聞いて理解をする」
・相手がどういう考え方で意思判断をするのかを知ることが大切である。
・仮説とは手近な情報を可能な限り集めて答えを推測すること。
・仮説構築のために行う作業は3つ。
①論点をしっかり頭に入れる
②つねに答えは何かを意識する
③とにかく多くの情報を眺める
・検証とは「8割の当たり前を証明すること」、そしてその作業を通じて「2割の気づきを生み出すこと」
・示唆とは、論点を絞り込むために役立つ情報を提供する。
・インパクトのある示唆を出すには、どこを相手が最も知りたがっているかを考え論点を絞り込むこと。
▪️第四章
・会議の設計がうまくいかないのは、以下の理由
①会議をしているという認識がない。
②議題は準備されているが、論点が準備されてない。
③提案全体と、今回の提案の区別ができていない。
④相手の論理で語られていない。
・会議設計では、「今日はどこまで話を持っていくか」という着地点と、「どんな形の会議にするか」という着地スタイルの設計が重要である。