あらすじ
僕は、二十二歳の自閉症者です。人と会話することができません。僕の口から出る言葉は、奇声や雄叫び、意味のないひとりごとです。普段しているこだわり行動や跳びはねる姿からは、僕がこんな文章を書くとは、誰にも想像できないでしょう。――(本文より)
会話ができないもどかしさ、意に沿わない行動をする身体を抱え、だからこそ、一語一語を大切に発してきた重度自閉症の作家・東田直樹。小学生の頃から絵本やエッセイなど、多くの作品を執筆してきた彼が「ひとりの22歳の人間」として書いた、鋭く、清冽な、驚異のエッセイ。
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Posted by ブクログ
すっきりとして、静かで、優しい文章。
本にしてくれたからこそわかる、自閉症の彼の世界。心を動かされた。
解説より
佐々木俊尚さん、東田さんの文章を引用しながら〈時間の感覚がない〉→中世くらいまでは春夏秋冬がぐるぐる回っているだけだったなど、源田の価値観が「正しい」ではないことを伝え世界観の多様化について触れていた。
Posted by ブクログ
この本は単に「自閉症」という障害について解説した本ではない。あくまで自閉症の一人である「東田直樹」さんという一個人の観ている世界を知るものである。そしてその世界を知ることで、世界の多種多様性に改めて気付かされる、そんな本だと感じる。
勿論、自閉症という障害自体の理解にも繋がる作品でもある。
自閉症というと、言語でのコミュニケーションが困難が故にその言動がなかなか理解されにくいところがあると思う。しかし本書を読むと、言語コミュニケーションが困難であるからこそ、実はとても色々なことを自身の中で考えているのではないかと感じた。
そして何より本書を読み、東田さんの観たり感じている世界観の豊かさに心がときめき、とても素敵だと感じた。自分に関心があるものにまっすぐであるからこその言動、思考だということを知り、その純粋さにも何だか癒され、安心感を感じられるような作品であった。
多種多様性や自分を受け止めることにも繋がるこの作品が、より多くの人の目に届けばいいなと心から思った。
Posted by ブクログ
前回は10代の時に書かれた本だったので、20代ではどんな考え方をされているのかなと。
障害者だけではなく、普遍的な話が増え、万人共通の内容になってきた。
あと、途中のインタビューでは、取材者から見た東田さんの行動も並列して記されている。実際のインタビューの内容と全く関係のない行動があっても、なぜそういう行動をしたのかご本人から説明があり、理解を深めることができた。
実際に自閉症の方に関わる人はすごく参考になるんでは。
以下付箋を貼ったところ。
「啓発活動をしている人は、障害の理解を広めれば、誰もが暮らしやすい社会がつくれると考えています。しかし、人の心は複雑にできています。理解ができたから、協力するとは限りません。正しさがいつも、世の中を動かすわけではないのです。〜」
「障害者は決して不幸ではないと思っていますが、幸せになるためには自分なりの価値観を持つことが重要です。
〜毎日を元気に過ごすのは、意外と難しいものです。気持ちはすぐに変化します。少しでも気になることがあれば、それを考えずにはいられません。
人はよりよく生きるために、自分の行動を反省します。どこがいけなかったのか原因を探し出し、次に同じ失敗を繰り返さないよう対策を考えます。
この戻らない時間の処理というものが、人生に対する向き合い方になるのではないでしょうか。 」
「必要とされることが人にとっての幸せだと考えています。そのために、人は人の役に立ちたいのです。ひとりが好きな人はいないと思います。ただ、ひとりな楽なだけでしょう。おわり。」
「〜予定を全て教えてもらえれば、安心するのかというと、そうでもないのです。今度は、スケジュールに縛られてしまい、身動きが取れなくなってしまうからです。
結局は、自分の気持ちに折り合いをつけながら、見通しのつかない現実に慣れていくしかないのでしょう。
一年後の未来がわかったとしても、人間はきっと、十年後、百年後の未来を知りたいとねがうでしょう。すると、未来は現実のものとなり、夢も希望もなくなるのではないでしょうか。」