感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2014年02月02日
著者にゆかりのある土地を改めて訪ね歩いた紀行連載の新書化。
以前、著者の講演を聴いたことがあるが、その時の著者の印象は、「人にも、そしてご自身の行動という意味においても、壁が低い方だなあ」というものであった。
間口の広さと壁の低さが、人との交流を豊かなものにしていくのだろう。
Posted by ブクログ 2013年11月09日
なんだか椎名さんの本にしてはタイトルもカタイし表紙も明るくない。その予感通りに、割と重苦しい、というか切なくなるような話が続く。記憶というものが割と適当であること。その記憶と現代の風景を照らしあわせてみて、落胆したり、喜んだり。前半はなんだか本当に風景の退化ばかりが目立つような気がして、それが現実な...続きを読むのだろうなあとしんみりするのだけど、だんだん慣れてくると、椎名さんはいつのまにか、酒飲んでガハハっぽい雰囲気になってくる。とはいえ、劣化に落胆することや、懐かしがることはずっと変わらない。
僕も、近くまで行くと昔住んでいた所を見に行ったりすることがあるが、もうちょっとまじめに記憶と風景を照らしあわせてみたいなあ、と思った。僕がそうしても誰も喜ばないが、なんだか自分への義務のような気がする。
Posted by ブクログ 2013年09月27日
七月の講演会で椎名さんが「今年はこの後、ちょっとどうかしてると思うほど次々本が出ます」とおっしゃっていたが、まったく読むのが追いつかないくらいだ。雑魚釣り隊に続いて探検隊本隊(?)のもあるし、最後の赤マントも出る。とてもにぎやかだけれど、ここのところ椎名さんの本を読むとちょっと切なくなってしまう。こ...続きを読むれもそんな一冊。
椎名さんが、思い出深い場所を訪ね歩き、その風景の変わりよう(あるいは変わらない様子)を綴っている。子ども時代を過ごした千葉の海、新橋・銀座は「ストアーズ・レポート」社の頃、武蔵野の家で子育てをし、「ガクの冒険」は四万十川、新宿御苑近くのビルで「本の雑誌社」は始まった…。
いやまったく、なんとエネルギーに満ちあふれた熱い人生であることよ。長年の愛読者としては、老年にさしかかろうとする今、それら懐かしい場所に立つ椎名さんの胸の内を思うと、何とも言いようのない感傷的な気持ちに襲われてしまう。
私は「岳物語」に始まるシーナファミリーの物語が大好きなので、そこはことにしみじみした気持ちで読んだ。誰だったか、「子育てにはゴールデンタイムがある」と書かれていたが、まったくそうだなあと思う。子どもたちが小学生だった頃、一緒にどこかに行ったり、いや別にどこへも行かなくても毎日の生活の中で、笑ったり困ったりバタバタしていた頃が、今思えば実に黄金の時間だった。過ぎ去らないとわからないものっていろいろある。椎名さんもきっと同じような思いでかつて住んだ家を見上げたんだろうな。
著者自らの手になる写真がとてもいい。表紙も含めすべてモノクロで、そこがノスタルジックな気持ちをかき立てる。なんだかしんみりと読みました。