【感想・ネタバレ】水の文化史のレビュー

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Jwa

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日本人は川とどう生きてきたか

1980年に発売された本。
主に中世から昭和の終わりまでの人々がどのように川と向き合って、時に生きる糧として利用しながら、時に生活を奪われ闘いながら生きてきたかを知ることができる。
川とうまく付き合ってきた山や農村の文化や産業、生活がいかに都市の論理だけで破壊されてきたか。

この本の発売から約40年。その間、都市に奪われるばかりだった川は一体どうなったんだろう。今でも山の民は奪われる一方なのだろうか。
土壌で水の汚染を浄化する方法。今はどうなっているのか。
その後の40年の「水の文化史」を知りたくなった。

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2020年05月21日

Posted by ブクログ

淀川、利根川、木曽川、筑後川の流域の文化を通じて、日本古来からの水と緑と土によるなりわいを考察する。日本文化に関する名著の一冊と言っても過言ではないだろう。

日本人の文化について水というしてんを通じて紹介し、環境問題について警鐘を鳴らした一冊。昭和55年の作品。

文化史と名乗るだけあって奥行きが非常に深い。淀川については上流の琵琶湖、そして日本海文化の京都への影響まで。今は死語と化した裏日本という言葉とは逆の豊かな日本海側の土地。

利根川では治水、木曽川では林業、筑後川では上流から下流まで無駄なく水を使い続ける文化について。

それらの水文化が、都市化や効率化などによりなくなりつつある姿、昭和55年当時の貴重な記録である。恐らくさらにその後40年経った今では、日本の国土はさらに危機的状況にあることだろう。

進歩史観というか、人は過去よりも高度な文化を築いてように考えがちだが、実は過去の方が高度な文化を持っていたことを本書は教えてくれる。

「日本文化史の名著」のようなカテゴリーがあれば間違いなく本書もエントリーされることだろう。

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2020年02月27日

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