【感想・ネタバレ】マックス・ウェーバーを読むのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

元々は、「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」に興味があって岩波文庫の原本を買ったのだが、中々進まないのでこの入門書を手に取った。

読んでみると、最後の「職業としての学問」の第4章が親しみやすく、面白かった。特に、「世界を動かしている法則を知ることが可能である、という信念を人々が共有すること」としての「脱呪術化」の指摘に鋭さと現代の思想にもつながる先駆性を感じた。

私たちは、携帯電話の通話の仕組みをほとんど知らない。しかし、その動きを予測することができれば不便はなく、十分であり満足する。また、その働きに、神秘性や呪術が介在する余地は全くない。一方、「未開人」は、自分が使う道具の仕組みをとてもよく知っており、自分で作ることもできるだろう。しかし、自然現象や私たちが使う最新の道具を見れば、その働きの背後に神秘性を感じずにはいられない。

一見すれば、道具が精緻化しているだけで、我々は「 未開」の人々に比べて、何も進歩していないように思う。しかし、ウェーバーは、「欲しさえすれば、どんなことでも常に学び知ることができるということ、したがってそこにはなにか神秘的な、予測しえない力がはたらいている道理がないということ、むしろすべての事柄は原則上予測のままに意のままになるということ、ーーこのことを知っている、あるいは信じている」、こうした信念が個別の知識(携帯電話の仕組み)の伝達よりも重要であり、その「脱呪術化としての進歩」の推進の中心的な役割を「学問」が担っているとしている。

ここにプラトンの「洞窟の比喩」にある、囚人が自発的に向きを変えるように「教育」することを使命とする解放された囚人としての「哲学者」と、ソクラテスによる「真の存在」を把握することができる、事物についての「正しい概念」の話が持ち込まれる。

個別の知識伝達に対比された脱呪術化としての教育を具体的にイメージはできていないが、学問的探究と概念的思考は、個人的に興味を強く持っている分野であり、また道がそれてしまうが、「職業としての学問」を手に取りたい。

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2015年05月09日

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