あらすじ
高校生の頃から、これまでに訪れた様々な国々での出来事をつづりながら、「あの頃の私」が「いまの私」になっていくまでを書いてみようと思います。(メッセージより)*小説現代2013年1月号(2012年12月22日発売)から約2年間連載されたエッセイを書籍化! 受賞記念特別寄稿2編をあわせた、22編を収録。
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Posted by ブクログ
上橋さんの小説以外の本が出版されるようになり、創作のバックボーンや、細やかな感性をうかがい知ることができて、とても興味深く読みました。
簡潔な文章なのに、的を得た表現。すばらしいエピソードの繋げ方。
たとえば暗闇について書かれた「月の光に照らされて」は、リンドバークのことばからはじまります。こどもの頃体験した実家のある野尻湖の暗闇、「分かる」はなぜ分の字をつかうのか、たそがれのこと、そして、さいごにオーストラリアで見た圧倒的な日没。これだけのエピソードがたった8ページのなかで、なめらかに繋がっていくのです。
体験と、思いと、確かな知識が表現された、極上のエッセイだと思いました。
ご一緒に旅したとてもアクティヴなお母さま、表紙のために新たに絵を描いてくれたというお父さまも素敵です。
Posted by ブクログ
文化人類学者と二足のわらじをはく上橋さんの
海外旅行のエッセイ。
小説や色々なエピソードのつなげ方が素晴らしいと思いました。
アクティヴなお母さまも素敵です。
実は上橋さんの小説を読んだことがないのです。
ファンタジーとか、あまり読まなくて…
Posted by ブクログ
上橋先生のエッセイ。
期待以上に面白かった。
自分も十代の頃『指輪物語』を読んでどっぷりはまったクチだ。
辛い旅の中でレンバスや時々誰かの家で食べるご馳走、
そしてサムが作る料理がとても印象的なのだ。
頑固に鍋を持ち歩き、危険を顧みず火を熾して料理をしてきたサムが
遂に鍋を捨てる。彼の料理のことを、フロドが覚えていないという、それほど消耗している。
食べることが大好きなホビットが。
映画ではカットされているけれど、本当にこれは重要なシーンなのである。
上橋先生も、物語の中に出てくる食べ物を大事に丁寧に描かれている方だ。
羽海野チカ先生の漫画にも、食べ物はたくさん出てくるなと思い返した。
鎖帷子が着てしまえば思ったより軽い、というのは面白かった。
こうした経験を積むことでリアリティのある物語が紡がれていく。
表紙の絵は洋画家のお父さまが描かれたものと知って驚いた。
素敵なご一家だなと思う。