【感想・ネタバレ】ナビゲート!日本経済のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

短期、中期、長期の経済の3つの波を一時的な風邪、慢性病、老化と見立て、一時的な風邪と老化では治療法が異なるため、それぞれの状況に応じた適切な診断を施していこうというのが本書の趣旨。金融政策、財政政策も、日本経済の状況をみながら適時適切に処理していかなければならないということ。当たり前のことかもしれないが非常に大切な視点と感じた。これまで日本政府は円高対策として低金利政策をとり、ひたすら安売り狙いの輸出産業優先でやってきたが、過大な金融緩和はバブルを呼びバブル崩壊が齎した過剰設備は長年にわたり日本経済を苦しめることとなってしまった。景気のサイクルを超えて金利を下げっぱなしであった金融政策は、効果に耐性を生ぜしめ、緊急避難策としてはともかく標準的なマクロ政策としては有効性を失わせてしまった。また、2003年の不況時に政府の円高介入がなければ円キャリートレードという問題はなかったかもしれない。また、2005年から2007年にかけての景気拡大局面においては利潤を賃金に回さず投資に回してしまったため、過剰設備を生み結果的にはこれが日本に大損失を齎すこととなった。製品価格は低下し物価を急速に下落させ賃金低下とデフレを引き起こした。不良債権問題に対して小泉改革は有効な手術を施したが、家計に所得を返さず企業の内部留保を高めただけであったため、消費は低迷し企業を過剰投資に苦しめることとなった。日本経済は過剰投資の結果、企業の資本収益率が著しく低い。少子高齢化にある日本で、もはや過剰投資と企業優遇を繰り返す余裕はない。一刻も早く正道に戻さなければならないのだが。

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2012年07月04日

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