感情タグBEST3
Posted by ブクログ
福島原発事故は安全への投資決断をあいまいにしたことが招いたと言えるのかもしれない。今年、日本人は決断をしなくてはならない。春ごろには、エネルギー選択肢が提示される予定だが、果たしてどのような決断をしているであろうか?
Posted by ブクログ
福島第二原子力発電所の事故以来、反原子力や脱原子力という言葉が独り歩きしてしまっている。
大事故が起こり、人々は原子力の恐ろしさを改めて知ることとなったが、もう一度我が国が置かれている状況を多角的な視点で眺めてる。
本書の著者である田原総一朗氏は過去に原子力戦争やドキュメント東京電力等の原子力発電所に対する警鐘を鳴らし続けていた人の一人である。本書も最近の反原子力本の一冊かと思って読んでみると、全く異なっていた。
いや、著者は現在も原子力に対する懐疑的な考えは捨てていないが、中身の議論は他の書籍とは比較にならないほどの建設的な議論である。
原子力の専門家から見ると、さして目新しい議論はないが第一人者からのインタビューに基づき、著者の意見を述べて原子力の是非を問うている。
内容が多岐に渡るため、一つ一つに対するレビューは省略する。
が、一つ作者の鋭い意見が、原子力規制に対する日本的な姿勢である。
(引用)
日本独特のシステムがかえって硬直化した空気をつくり、日本人が自ら新しいものを生み出せないでいる。(p.109)
これは的を射ている意見である。
そもそも日本の原子力規制は米国のそれを基本としている。
米国の規制当局は日本とは比べものにならないくらい権限があり、かつ専門家を擁しているが。
規制の中身についても、米国はリスクに基づき合理的に作成されている。
それが理想的かは別としても、このような規制を日本に輸入すると、日本の規制当局は妙なプライドがあるためか、そこにジャパンクオリティを付け加える。それがなんと意味のないことかと辟易してしまうが、それによって規制だけはガチガチに固められ、本質である安全性が疎かになるのだから目も当てられない。
ポスト福島第一原発の事故に関するエネルギー政策に関する書籍の中で推薦書を挙げるとすると、本書はその一冊に入れたい。