【感想・ネタバレ】電氣人間の虞のレビュー

あらすじ

「電気人間って知ってる?」一部の地域で根強く語られている奇怪な都市伝説。真相に近付く者は次々に死んでいく。語ると現れ、人の思考を読むという電気人間は存在する!? ライターの柵馬朋康(さくまともやす)もまた謎の解明に乗り出すが、複数の仮説を拒絶する怪異は、彼を出口の見えない困惑の迷宮に誘(いざな)う――。ミステリか、ホラーか。ジャンルの枠を軽妙に超越する鮮烈の問題作!

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ネタバレ

読みながら何度後ろを振り返ったことかw

ホラー?ミステリ?と思いながら読み進めたら、まさかのホラーオチ。普段ならこの手のオチ(真犯人の正体は幽霊です的なやつ)は本を投げ捨てたい衝動に駆られるのだけど、この作品はそこへ行くまでのバランスがすごく良く出来ていて、オチも納得。

解説も遊びすぎw

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2016年02月14日

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再読。ホントによくできたミステリ。詠坂劇団オールスター総出演。最後の一行はめでたしめでたしという意味だよな。

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2020年06月20日

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非常に秀逸な技巧の施されたミステリ。架空の都市の架空の都市伝説をうまくディティールまで表現して読者に理解させ、そこから現出する疑問と、「ミステリ」であるが故に生じるミステリ読者であるからこそ思い至る猜疑心との擦り合わせが非常に巧妙。求めうる「解答」と伏線とが噛み合わず展開がいつになっても予想できない、そしてそうこう思い巡らせているうちに不意に衝撃の真相に襲われることになる。目眩のする様な呆然となる真相は必見。

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2017年08月01日

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「電気人間って知ってる?」一部の地域で根強く語られている奇怪な都市伝説。真相に近付く者は次々に死んでいく。語ると現れ、人の思考を読むという電気人間は存在する!? ライターの柵馬朋康もまた謎の解明に乗り出すが、複数の仮説を拒絶する怪異は、彼を出口の見えない困惑の迷宮に誘う――。ミステリか、ホラーか。ジャンルの枠を軽妙に超越する鮮烈の問題作!

遠海事件の時にも感じたのだが、この作者はミステリ通な人たちには、受け入れられる要素が多い作風だと思う。

電気人間という都市伝説に関わった人間が、不自然な死を遂げていき、物語の方向性(ホラーなのか?ミステリなのか?)がわからないままに、徐々に本格ミステリとしての形がとられていく。推理による仮説は、背筋が凍るような怪奇な事件と絡み、ホラーミステリとしての設定をうまく引き出している。しかも、これはバカミス!!納得できない強引な結論には苦笑い…

と油断していると、企みに度肝抜かれることとなる。不安定な既視感や違和感は確かにあったのだが、某作でも有名な〇〇〇を、恐ろしくも巧みに使うことで、本格ミステリとして、また、ホラーとして、圧倒的な作品へと押し上げている。「えっ!?」と声が漏れるほどのサプライズ。愕然としていると、ラスト1行で神作品へ…と思うのは私だけでしょうか?壁に投げつけるのはやめましょうね笑

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2017年06月23日

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なるほど。。。やられましたね。。。
ただ最後の展開は、いろいろな意味で「えっ??」というか「はあ?」となりました。

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2017年02月15日

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ネタバレ

綾辻行人氏推薦!
「本当に大好きなのです、この作品。
 一人でも多くの人に読んでほしい。読んで、
 喜ぶなり怒るなりしてほしい。そして――
 一緒にぜひ、詠坂雄二を語りましょう」
詠坂雄二・連続刊行第3弾!

“電気人間って知ってる?”
奇怪な都市伝説を軸に連続する不審死。その真相とは!?

語ると現れる。
人の思考を読む。
導体を流れ抜ける。
旧軍により作られる。
電気で綺麗に人を殺す。

作中であまりにも繰り返されているのに単行本時では気づけなかった。
今回、視点に注意するという意味では韮澤少年が出てくるところは特に注意した描写がなされているように思われる。なぜなら、彼だけが……。

そして繰り返しになるがあまりにも大胆すぎるがゆえのトリックには驚かされるし、ラスト2行には苦笑を禁じ得ないところ。
2行なのとその内容から、どう考えてもあの作品へのオマージュではないか。

ミステリ  :☆☆☆☆☆
ストーリー :☆☆☆☆
人物    :☆☆☆☆
文章    :☆☆☆☆

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2014年06月06日

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いやー面白かった!綾辻行人のオススメということでこの人のやつを三冊読んだけどもどれもよかったけど、これが一番かも。

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2014年04月27日

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 ジャンルが何かを説明するのが難しく何をいってもネタバレになりかねないが、とある頁を目にした時心底驚いた。誰かに勧めるとき「とにかく読んでみてくれ!」としか言えないけど読んで後悔はさせない保証はできるぐらい面白かった。

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2024年09月23日

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ネタバレ

 『5A73』がそれなりに反響があったのか、詠坂雄二さんの過去作品が重版され、煽りの帯が付いていた。その中から、年末ランキングで見かけた記憶がある本作を手に取ることにした。過大な期待はせずに読み始める。

 過去ランキングを確認してみると、2010年版『本格ミステリ・ベスト10』第13位、2010年版『このミステリーがすごい!』第20位。微妙な順位である。読み終えてみると、まあそのくらいの順位かなあと妙に納得してしまった。

 一部地域で根強く語られているという「電気人間」の都市伝説。語ると現れ、真相に近付く者は死んでいく。事件性なしと判断された3人の死に、電気人間が関わっているのでは? ライターの柵馬が謎の解明に乗り出すが…。

 序盤の展開は、『5A73』に似ている印象を受ける。謎の後始末をどうするのか。『5A73』以上に、合理的な解決に持っていくのは困難では。『5A73』は幽霊文字というアイデアの秀逸さで興味を持続できたが、本作は電気人間だぜおい。

 内容よりも登場人物の癖の強さが目立つ。死んだ3人。中でも高校生の彼はかなりヤバい。つっけんどんな小学生。そして、棚馬に協力を依頼される、作者と同姓同名の作家・詠坂雄二…。本気なのかふざけているのか悩ましい。

 固定した探偵役がいないのが一つの特徴と言えるだろう。それぞれに謎に迫った面々。多重解決物と言えなくもない。最も確からしいのは詠坂説かもしれないが、残りページ数は少ない。このまま消化不良で終わるのかと思ったら…。

 ある意味、この手の怪異ネタを扱った作品としては、意表を突いた結末と言えるだろう。追い打ちをかけるような最後の1文に唖然とする。何だそりゃ。続きを読みたいような読みたくないような。続きが書かれることはないだろうが。

 失礼ながら、正直滑り気味な本作だが、解説はもっと滑っていると言わざるを得ない。解説者泣かせな作品だとは思うけれども。

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2023年11月18日

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個人的には好きな部類の内容でした。
人によっては壁本なのでは?笑

ただ物語のトリックがわかった時には鳥肌が立ちました。
最後の一文には失笑しました笑

解説がとても良きです。

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2023年06月01日

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ネタバレ

語ると現れ、人の思考を読み、電気で人を殺す電気人間。 真相を追う者は次々と死んでいく。
誰かの流した都市伝説なのか、それとも実在する殺人鬼なのか・・・。  あなたは電気人間を信じてる?

ホラーかミステリーか。 真実はあるのか無いのか。 物語の出口が見えないまま突然の終局へ、フェアとかアンフェアとかどうでもいい人ならたまらない作品だと思う。
全てが明かされることで物語は「電気人間」が主人公のストーリーに様変わりし、タイトルの虞というのが、「電気人間」が語る人を失い消滅することを恐れていることに繋がることが素晴らしい。

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2023年03月02日

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電氣人間の虞。
タイトル的に昭和の古い小説かと思えば、そんなことは無かった。
続きが気になってグイグイ引き込まれました。

ミステリとして、納得するかどうかは置いといて、フェアっちゃフェアだなーと。個人的には全然あり!

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2019年02月18日

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最後の最後で一撃が来ました。見えないものが見えるようになるのって怖いし、本当に面白いです。この作品は明日の読書会の課題本ですが、我々は生きて帰ってこれるのでしょうか……

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2017年07月07日

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この著者の作品は奇妙なテーマと設定で、結末が全く予想も付かない。この作品もまた同様で、ミステリー小説、ホラー小説、SF小説とも読み取れる作品に読み手は些か戸惑う。はっきり言って、先に読んだ『リロ・グラ・シスタ』『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したか』の2作よりは面白さには欠けるが、一定水準に達している作品だと思う。

舞台はまたも遠海市。遠海市で根強く語り続けられる電気人間の都市伝説。真相を探ろうとする登場人物は次々と死んでいく…電気人間の謎を解き明かすのは…

今ひとつスッキリしないラストに不満は残るが、ストーリーは面白い。

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2015年11月07日

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ネタバレ

意味深な表題に魅かれて読んだ。なかなか面白かったです。
特に最後、あとがきまで小説の一部であり、これから壮大なシリーズが始まる、と思わせ(思わず調べちゃった!)、終わるのも楽しい仕掛けです。

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2014年10月01日

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ミステリーといっていいのか、ホラーといっていいのか、非常に悩む作品です。ただ、とてもよく考えられた小説で、施された仕掛けと結末は、納得のいくものでした。文章のテンポもいいので、気持ちよく読めます。が、一部グロ注意です。

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2014年04月17日

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一部の地域で子どもたちに噂され、名前を呼ぶと現れて人を殺すなどとされる電気人間。民俗学の観点から卒業論文のテーマに選んだ赤鳥。電気人間発祥の地と思われる防空壕に入るが、その直後に変死する。外傷も無く心不全とされて処理されたが、それに疑問を感じた幼馴染の日積は、赤鳥の足跡を追いかけていくのだが…。

何だこれ?ミステリとしておくが、解決するんだかしないんだか、怪しい人、危なそうな子供たちに終わらず、とうとう作者(詠坂氏)まで出てくる始末。

前半は電気人間の怪談ぽい話で、怪しい人物などは出てこない。話自体も読みやすいのでスルスルと進んでいく。

後半になると、解決に向かって進んでいくようにしか見えないので、ついつい読み進めていき、あれ?残り30ページしか無いのに、これ本当に解決するの?という状態に。

帯に「ラスト2行の衝撃。先読み禁止」と書かれて入るが、いや、先読みしたところで意味が…。

うーむ、これは一体、ミステリなのか…?

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2025年01月28日

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ネタバレ

「電気人間って知ってる?」
一部の地域で語られている都市伝説。語ると現れ、人の思考を読み、電気で人を殺すという。真相に近づくものは次々と死んでいく、電気人間は実在するのか。
ライターの柵馬もまた謎の解明に乗り出すが……。


特定の地域だけで語られる都市伝説、「電気人間」をめぐる噂と事件を描いた一冊
ホラーなのかミステリなのか何なのか、一言でジャンル分けするには難しい本ですが、意外と楽しく読みました。
小学生のキャラクターは、大人びすぎていてあまり小学生っぽくないかな? 中高生でも良かったのではと思わなくもないですが、彼らが語る「普通でない理屈」の話や、作中で出てくる都市伝説論も興味深く面白いです。

結末は納得とかよりひたすら驚き。事件が解決するかと思いきや、実はこの小説一冊が壮大なプロローグだった……?。これはちょっと、続きが気になります(笑)

内容とは関係ない個人的好みの話なんですが、なんだか、登場人物の性欲・性的描写がねっとりしててちょっと気持ちが悪かったかも。そういう描写が頻出するわけではないので(1人の登場人物の語り部分で顕著なくらい)絶対に無理というわけではないんですが、そういう部分は少し苦手でした。

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2024年11月30日

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フーンという読後感だったけど解説のおかげで小説の仕掛けに気づきなるほどと納得した。
小学生ふたりの会話が不自然で頭に入ってこない

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2024年05月13日

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トリックはなるほど読み返しました。小説だからこそてすねー
そしてオチも好きでした。ビックリしたけど呆気にも取られたような感覚でした。その後気になります。

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2024年02月07日

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一体私は何を読まされたんだ?と思うくらいジャンル分けが難しい。
強いて言うならオカルトミステリーか。
『5A73』も含めなんか癖になる作家さんだなあ。
遠海市に伝わる電氣人間の噂。
語ると奴は現れ、電気で綺麗に人を殺すらしい。
実際にこの噂を調べた人間が不審死を遂げたことにより、謎は更に深まる。

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2023年09月22日

Posted by ブクログ

メフィスト向けな作品。
小学生そんな難しい事喋らんやろ…ってずっと思いながら読んでました笑
たしかに最後の展開は衝撃でしたが、全体的に「??」が多い作品でした。発想は良き。

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2023年05月20日

Posted by ブクログ

ミステリなのか、ホラーなのか。うーん、微妙に迷うところだけどホラーに1票!
信じないと殺される、とかホラーにありそう。
結局よく分からなかったところもあったが、物語の大枠は興味深かったし、面白かったんだけど、詠坂がなんか好きじゃない。
人によって態度変わりすぎだろ、この人、と。物語と全く関係ないところに不満を抱いた。なんか不快なキャラクターだった。
それにしても、韮澤少年は本当に小学生なのだろうか。
嫌いじゃないんだけど、なんだか微妙に腑に落ちない部分が多々あり、消化不良気味。

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2021年03月10日

Posted by ブクログ

幻想?怪奇?ミステリー?
納得いく解答をつけることで、かえって曖昧というか、含みをもたせられない。続いてるのか?この作品?!
…解説読んで納得。叙述ミステリのくくりだったのか…。とすると、あるワードで書かれているので、フェア…ですね。

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2018年09月01日

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手の込んだ悪ふざけと評せばよいのだろうか。光文社にはミステリーの老舗的イメージがあるので、こういう【ザ・メフィスト賞】な作品も許容範囲とは新鮮な驚き。その謎に迫る者を死に至らしめる【電気人間】という都市伝説が題材。怪異を観念的に噛み砕く辺りは城平京「虚構推理」にも通ずる世界観で、ミステリーとホラー、どちらに転ぶのか見所だったが、見事にどっちつかず。コメディ全開な中盤の掛け合いに良い意味で拍子抜けしたおかげで最後まで楽しめたが、ラストの二行は流石になあ…。そして、こういうトリッキーな作風は一作品で満腹だ…。

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2018年06月20日

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ネタバレ

 一部の地域で根強く語られている都市伝説「電気人間」について描かれたミステリ。
語ると現れる。
人の思考を読む。
導体を流れ抜ける。
旧軍により作られる。
電気で綺麗に人を殺す。
とされている電気人間。電気人間についての論文を書こうとした女子大生,赤鳥美春が死に,その死の真相を調査していた日積享,赤鳥美春が調査の際に話を聞いた,小学校の元用務員の竹峰英作という老人が死ぬ。三人の死は心不全とされたが,これほどの短期間に電気人間に関わった人間が死ぬものか?
 フリーライターの柵馬朋康が,ビデオゲーム誌プレスタの特集,実在ダンジョン特集で,電気人間に関係する記事を書くことになる。柵馬は,フリーライター兼小説家の詠坂雄二を誘い,電気人間についての取材を行い,日積も会った韮澤という少年と剣崎という少女に出会う。
 裏表紙の紹介文にも書いてあるが,ミステリか,ホラーか,ジャンルを特定しにくい作品であるが…まぁホラーである。ミステリとすればバカミス。最後のオチ「人間に仇なす妖魔軍団と死闘を繰り広げることになろうとは,その時のわたしは知る由もなかった」という部分も含め,殊能将之の「黒い仏」を思わせる作品である。とはいえ,文章や全体の完成度で黒い仏ほどのデキとはいえない。
 この作品の最大の特徴は,全ての章が「電気人間」ということばで始まり,電気人間について語ったことで電気人間が現れているという設定にある。各章は,一見,三人称で書かれているように見えて,「人の思考を読む」ことができる電気人間の視点で描かれている。この部分は非常によくできており,素直に感心できる。
 しかし,文章・文体が非常に幼稚で,入り込めない。詠坂雄二が語る,ミステリとしてのダミーの解決も極めて平凡。各章が,実は電気人間の視点から描かれた一人称の記述だったというワンアイデアに頼った作品。
 もっと腕のいいミステリ作家がこのアイデアで書いていたら傑作になったかも。そういう意味では惜しい作品★3。

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2016年08月04日

Posted by ブクログ

評価が難しい…
ミステリのセンスはかなりのものだと思います。
しかし、これをミステリかと問われれば「ううん…」と唸ってしまう。
ルールに則り、仕掛けを成立させた点は素晴らしい。でも現実的解釈の部分が少しお粗末ではないでしょうか?
どうしても本作と似たような体裁をとった殊能将之の某作と比較してしまうのです。
あれは反則技を使いながらも、驚くほどロジカルにまとめて見せた良作ですが、こちらは仕掛けに気を置きすぎるあまりミステリの醍醐味である「推理」が全く楽しめませんでした。
それでも驚いたのは事実なので☆3かな。

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2015年02月10日

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