【感想・ネタバレ】電子立国は、なぜ凋落したかのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

電子技術分野でなぜ稼げなくなり、衰退の一途をたどっているのか、を、非技術の視点で描く。

電機メーカの方とお話しすると、驚くほど賢い人がいる。のに、稼げない事業。
本を読むと、その理由が透けて見えてくる(技術へのこだわりが強すぎる)
事もあるし、「分かっていてもできなかった」事情があるのだろうなと感じます。

日本がグローバル化に乗れず、ガラパゴス化して世界市場で置いてけぼり的な
論調が(だいぶ落ち着いてきたが、まだある)ある中で、時代背景(米ソ冷戦終結によるアメリカの戦略転換)と日本人の持つ価値観(当初ファウンドリ事業を下に見ていた)等にも目を向けているのがポイントです。

雑誌の編集長らしく、章、説のタイトルも本質を捉えているので、すっと内容が入ってきます。

個人的には、各国人の持つ性格、価値観およびそこから展開される戦略は
企業の活動全般にも影響を与えるのかと改めて認識しました。

いくつか「なるほど」と言った視点を。
ー 売上と同相の投資、売上と逆相の償却負担
  製造工場への莫大な設備投資の償却負担コストへの意識の低さ
ー 真の半導体メーカは近年までなかった。
  総合電機メーカの一部門である半導体部門は、その半導体ビジネスの
  観点で投資を決める事ができない。
ー 垂直統合か水平分業かは雇用維持と無関係
  EMSとして、他社の製造も請け負えば(それができるなら)雇用は維持可能。
ー 出版と印刷会社の関係に似るファブレスファウンドリの関係
ー 銀行からの借入には、担保(土地)が必要で、株式を持ち合う独特の経営慣習
ー 新たな分業構造の実現はイノベーションそのもの
ー インテルの経験と近年のビッグデータが示す「因果から相関へ」
ー イノベーションは技術革新ではない。既存の物や力の組み合わせ方を革新し、経済的あるいは
  社会的価値を実現する行為(蒸気機関車ではなく、鉄道という社会システムがイノベーション)
ー 明治以降、通信機器は「国が仕切る」体質が造り付けられた
ー 成功は失敗のもと。

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2014年08月15日

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